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えっ、土って美味しいの? 「土スープ」「土グラタン」など世界中の“土食文化”の歴史と衝撃グルメを紹介してみた

 今回紹介する、「奇妙な文化」ゆっくり解説さんが投稿した『【ゆっくり解説】土を食べる土食文化について』では、音声読み上げソフトを使用して、世界中で発展してきた“土食文化”について解説していきます。


そもそも土は食べられるもの?

魔理沙:
 土を食べる文化、土食文化は人間史にしっかりと残されている。土は食材としての機能を果たす。

霊夢:
 食材って……。野菜とかお肉と違って全然栄養がなさそうだし、食べちゃいけないものって感じがするわ。

魔理沙:
 土には炭水化物やたんぱく質の栄養素はないが、ミネラル補給としては優れているんだ。

霊夢:
 ミネラル?

魔理沙:
 マグネシウム、ナトリウム、鉄などのことだ。

霊夢:
 じゃミネラル不足になったら土を食べるといいのね!

魔理沙:
 安直だな。間違ってはないが、その時代の食事の位置づけによって話が変わってくる。食べられた理由に、消化促進、滋養強壮、解毒の効果があるとされているからだ。

 土食文化は、現在より昔のほうがよくみられた。それにはちゃんとした理由がある。土を食べ物として捉えなくなったこと、医療技術の発達と昔より栄養補給が容易になったこと、現代では食事は栄養補給のためより、食事そのものの美味しさを楽しむものとしての意味合いが強くなったからだ。あと、土を採取するのは、思いのほか手間がかかることだ。

霊夢:
 そこらにある土じゃだめなの?

魔理沙:
 ああ。記録に残っているものでは「珪藻土」や「ベントナイト」などが食用とされている。海外では何メートルも掘って採取した赤い土、黄土などの特定の土に限定し、食べることがほとんどだ。加えて土に含まれる不純物の除去、病原体をなくすため加熱などしなくてはならない。

霊夢:
 現代ではあまり食べられない理由がわかった気がするわ。

日本における土食文化

魔理沙:
 土食文化が受け継がれた理由の多くは、古くからの伝承、先人からの知恵と教えられて伝わることがほとんどだ。メソポタミア文明や古代エジプトの書物を参考にすれば、人間は有史以前から土を薬として運用していた可能性が高い。あくまでも推測だから注意してくれ。  

 人間が確かに土を食べていた時がある。中国の本草学の書物には、土を食べ物としてではなく医薬品として使っていた記載がある。

霊夢:
 本草学?

魔理沙:
 1000年以上の歴史を持つ中国や東アジアで発達した医薬に関する学問のことだ。日本の土食文化について語ろう。日本ではアイヌ民族が珪藻土を百合の根、タデやウドなどを潰して加え、油を加えて食べていたとされている。

 珪藻土をアイヌ語でチエトィと呼んで、アイヌ語の意味で「我らの食べる土」としていたそうだ。あと、熊本城を建てた加藤清正は、当時籠城戦を想定し、土壁にカンピョウや芋がらをつなぎに塗り込んだ珪藻土を使っていたんだ。

霊夢:
 いざとなった時の非常食ってわけね!

魔理沙:
 保存がきくのは土食のいいところだな。 

海外における土食文化

霊夢:
 日本だけじゃなくて海外でも土食文化があるのよね?

魔理沙:
 ハイチでは「テーレ」「土のボンボン」といった名前で土を使った料理がある。ショートニング、塩、砂糖などを混ぜた泥粘土を、パンケーキやクッキー状にして天日干しにして食べられるようだ。

 次はアメリカ。ネイティブアメリカンの間では特定の土のことを「イワーキー(癒やしの土)」と呼び、疲れ果てた心を癒やすために食べられていたんだ。蒸したり炒ったトウモロコシに粘土、種子、ハーブなどをまぶして食べることもあったようだ。

 インドの一部地域では新しく作った粘土製のティーカップにお茶を注いで、そのまま食べてしまう文化がある。さらにシロアリをティーカップに入れたり、はちみつを加えたりして食べるそうだ。

霊夢:
 世界にはまだ知らない文化が多いわね。

魔理沙:
 ベネズエラのオトマコ族という民族が、土を10センチほどの団子状にして、直接かじるか煮炊きのときに溶かすコラーゲンボール的な使い方を1800年代にしていたそうだ。これもまたミネラル分の補給だと学者によって言われている。あとフランス調理には煮込んだ土にルッコラの根を添えた「土スープ」という料理もある。

 ベトナムにはおもてない料理として客人に振る舞われる「土の網焼き」というものもある。ベトナムに行く時には、あらかじめ「土料理は食べられません」って言っておくように。

現代では宇宙飛行士のミネラル補給に

魔理沙:
 各国の土食文化を紹介してきたわけだが、最後に現在の土食について語る。

霊夢:
 現在はもう廃れる一方の文化なんでしょう?

魔理沙:
 それがそうでもないんだ。かの有名なNASAでは、宇宙飛行士のミネラル補給に粘土を使っているんだ。長時間の無重力空間に身を置く宇宙飛行士は、カルシウム不足、骨粗鬆症に悩まされるんだ。一般的な食材やサプリメントより粘土のカルシウムのほうが吸収率が良いんだ。ミネラル補給に関してはNASAが認めるほど優れているというわけだな。

 注意してほしいが、そこら辺の土を使っているわけではない。こんな動画を見て「土食いました」なんて言われても困るからな。最後に世界で一軒しかないといわれている日本にある「土レストラン」を紹介して終わろう。五反田にある「ヌキテパ」というお店だ。

霊夢:
 おいしくて安全な土が日本で食べられるのね!

魔理沙:
 土のフランスコース料理を楽しむことができるんだ。「びっくり土」という料理だ。ふかしたジャガイモの中にトリュフとバターを入れ、土でコーティングしたものになっている。

 この料理は「石鯛の土ソースがけ」だ。

 この料理は「土のグラタン」に「土のシャーベット」だ。食べたお客たちは「体の中からすっきりとした気分になった」と言っている。味は一流シェフが作っているから保証できるだろう。

霊夢:
 どんな味がするのか気になるわ。

魔理沙:
 土を食べたいってなったらここ一択だな。

霊夢:
 話を聞けば聞くほど、食べてみたくなったわ。

魔理沙:
 土にミネラルが豊富だとは言ったが、病原体を摂取してしまうリスクのほうが高い。知識のないものが食べないように。この世の中にあるものの多くは、大地から生まれているのは、そういうことなのかもしれないな。

 びっくりするような「土食」ですが、さまざまな文化圏で伝統的に行われてきたようです。より詳しい解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます▼

【ゆっくり解説】土を食べる土食文化について

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