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まるで映画のようにシアトリカルなステージ──はるまきごはんワンマンライブ2020「ふたりの結論」ライブレポート

 シンガーソングクリエイターのはるまきごはんが、11月15日(日)『はるまきごはんワンマンライブ2020「ふたりの結論」』を、品川インターシティホールにて開催した。現地観覧チケットは完売し、ネット配信とのハイブリッドな公演となった。

 スタジオごはんによる、新規書き下ろしアニメーションとライブで織りなす、まるで映画のようにシアトリカルなステージの様子を本稿でお届けする。

文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)


 はるまきごはんとは、作詞・作曲・編曲、イラスト、映像、アニメーション制作まで、すべてのクリエイションをひとりで手がけるシンガーソングクリエイター。そのポップな名前とは裏腹に、切なくエモーショナルな唯一無二の世界観を描く。
 8月26日にリリースしたアルバム作品『ふたりの』は、ナナとリリというふたりの主人公の再会からはじまった、まるで絵本のようで小説のようで映画のようでもあるコンセプチュアルな作品となった。

 コンサート用に作られたポスターはまさに映画そのもの。そこには“宿命の「ふたりの」物語”とキャッチコピーが記されていた。演出にもこだわり、前後二枚組(前面が紗幕による透過スクリーン)で立体的に映像を映し出す特殊スクリーンを用いることで、より一層はるまきごはんの世界観へ没入体験することができた。

 コンサート本編は、静かなるピアノと風の音が合わさり、アイコンとなるお掃除ロボ、マカロンが登場するオープニングムービーからスタート。
 暗転して、バーチャルシンガーヰ世界情緒(いせかいじょうちょ)によるナレーションで「遠く、遠くにひとつ星がありました。音のない静かな銀河の隅っこ。はじめて宇宙に行った誰かがこう言ったそうです。真っ黒のキャンバスの上にひとしずく落ちた涙のようだ」と物語のプロローグが語られていく。

 タイトルが映り出され、「ふたりの」からライブがスタート。ステージの真ん中で、アコギ片手に優しくたゆたうように歌うはるまきごはん。
 途中、アニメーションがスクリーンに融合するなど、現実と非現実の境界線が曖昧になるようなファンタジーが繰り広げられる。アレンジされた「約束」ではより深遠なる雰囲気を奏で、途中バンドサウンドへと展開する。ステージでは自走式の手作りマカロンが稼働するなど見所がいっぱいだ。
 続く「秘密」での、幻想的な雰囲気のままにロックするアッパーな世界観も素晴らしい。途中、ピアノによる儚い伴奏、そしてポエトリーのようなナレーションが感情を刺激する。

 そして、物語を彩る重要ナンバー「ナナ」と「リリ」を披露。「リリ」を、ボカロではなくはるまきごはんヴァージョンで聴けるのは新鮮だ。そして、疾走するギターロックチューン「彗星になれたら」、歌謡ポップなメロディーがキャッチーながらも怪しいリリックが中毒性高い「夜魔」をプレイ。アルバムの構成をなぞるように曲が続く。

 ライブにおける重要パート「再会」では、青とピンクで生み出される色彩が印象的であり、白の世界で歌詞がリリックビデオとして流れる感動の「誕生」では、井上薫がサポートキーボードで参加。心を震わせる生演奏のピアノを聴かせてくれた。ラスト、和田たけあきによるギターソロもエモかった。

 その後、映像とともに「結論(inst)」が流れスクリーンには“FUTARINO END”の文字が。そして、突然、前回ライブに出演したメルティ(声:春野杏)がアニメーションでスクリーンに降りてきた。「なんか今日はここでワンマンライブをやるって聞いてきたんだけど 〜中略〜 みんなも夢の見過ぎにはご注意を!」、本公演を別世界から観に来たというメタ的な構造がユニークだ。さりげなく続編!?を示唆するメッセージが告げられたようにも思えた。

 キラーチューン「メルティランドナイトメア」からラストスパートへ。
 この日最初のMCでは「本日は集まってくれてありがとうございます。配信で観てくれている方もありがとうございます。今日は、会場にいる方が声出しができないので拍手と僕の言葉との会話というやりとりになるのですが、まずは無事に開催できて一安心です。“ふたりの”シリーズは物語なのでMC無しで10曲やらせていただいたんですけど、その影響で11曲目にしてやっと喋られるという感じで」と優しく語りかけた。

 そして、謎めいたポップチューン「アスター」ではダンサブルなビートをグルーヴィーに楽しませてくれた。
 この日2度目のMCでは「次の曲で最後となりました。僕からは目の前に映像を映す紗幕があって、みんなの姿がめちゃめちゃ影の何かがいっぱい集まっているように見えます」といい、「僕は視力が0.2しかないので、なのにコンタクトが怖くて付けられないので何も見えないままでやっています(笑)」と笑いを誘った。

 続けて、「1年ぶりのワンマンなんですけど、ワンマンを作るのは例のごとく毎回大変で。昨日、夜中の4時ぐらいに最後のデータをスタッフさんに送って。いまは意外と清々しい気分です。なかなかアニメを描いていると歌を練習する時間がないんですけど」と心境を打ち明け、「最近は歌いながらアニメを書くという技術を習得したので、今後のライブで活かしていきたいと思っています。あ、拍手する話じゃないね(笑)。でも、みなさん口を封じられているので拍手でお願いします!」と会場を盛り上げた。

 本編ラストは超絶ポップなサマーチューン「コバルトメモリーズ」で“声のあげられない”フロアに熱狂を生み出し扇情していく。なお、バンドメンバーは、はるまきごはん(Gt,Vo)、和田たけあき(Gt)、伸(Ba)、ぐーさん(Ds)による鉄壁の4名による熱いステージとなった。

 アンコールでは、まずMCとして「僕のワンマンは短いことで有名なのですけど、なるべく長くしたいと思ったらMCが重要で話を考えてきました」と述べ、「ヤドカリを飼いたいと思っているんですよ(苦笑)」と話始め、「昨日、最後らへんの映像を作っているときにペット系の動画が好きで観ていて、特殊なペットってなんだろう?と考えたときにヤドカリの動画を観て。住み心地のいい、変わった模様のヤドカリの貝を作ってヤドカリに選んでもらいたいと思いました」とゆるめに語りかけ、初期人気チューン「銀河録」を熱唱した。

 「次の曲で本当に本当に最後です。僕の好きな曲で終わろうと思います!」と宣言し、軽快なビートが気持ちのいいロックチューン「フォトンブルー」をプレイし終演となった。スクリーンには手書きによるスタッフのクレジットがエンドロールとして流れた。盛りだくさんの表現と情報と感動でいっぱいの1日となった。

 なお、2020年11月15日(日)に品川インターシティホールで開催され、LINE LIVE VIEWING、ローチケ LIVE STREAMING、ニコニコ生放送でもライブ配信された本公演は、11月23日(月・祝)23時59分までアーカイブされる。今からチケットを購入すれば、公演の配信映像を視聴できるので、まだ体験できてない方、もう一度観たい方も要チェックだ。

■「ふたりの結論」ライブ配信(ニコニコ生放送)
https://live2.nicovideo.jp/watch/lv327958547

■はるまきごはんオフィシャルサイト
https://harumakigohan.com/live

【セットリスト】
1. ふたりの
2. 約束
3. 秘密
4. ナナ
5. リリ
6. 彗星になれたなら
7. 夜魔
8. 再会
9. 誕生
10. 結論
11. メルティランドナイトメア
12. アスター
13. コバルトメモリーズ

<アンコール>
14. 銀河録
15. フォトンブルー

 

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