電子レンジが開発されたのはチョコレートのおかげ? 普及したきっかけは新幹線? 意外と知らない「電子レンジ」の歴史を解説!
今回紹介する、れいけも / RayKemoさんが投稿した『【ゆっくり解説】開発のきっかけはチョコレート!?『電子レンジ』の歴史』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)と博麗霊夢(はくれい れいむ)のふたりのキャラクターが、電子レンジの歴史を解説していきます。
投稿者メッセージ(動画説明文より)
今回は『電子レンジの歴史』です!
電子レンジってすぐに温められて料理などにすごく便利ですよね。
そんな電子レンジの始まりがチョコレートがきっかけだったとは…。
しかも開発中には、レンジで温めると卵が爆発するの分かってたんですね。
■電子レンジの歴史
魔理沙:
電子レンジは、最近色んな「電子レンジ料理」なんかも出てきて、家庭に一台は必須な家電となっていますね。そんな「電子レンジ」の歴史を解説していきます。いきなりですが、レーダーは知っていますよね?
霊夢:
もちろん知っていますよ。機体を発見したり漁業や気象用にも使われるあのレーダーですよね。魔理沙:
そのレーダーです。霊夢:
それが電子レンジの歴史と何の関係があるんですか?魔理沙:
実は電子レンジは、レーダー開発の副産物として生まれてきたものなんです。霊夢:
そうなんですか?
魔理沙:
第二次世界大戦が佳境を迎えていた1945年、航空機を探知するレーダーを開発していた『パーシー・スペンサー』はマグネトロンの生産性を向上させる研究をしていました。霊夢:
マグネトロンって?
魔理沙:
マグネトロンは簡単に言うとマイクロ波を発生させる機器で、マグネトロンを介して発生するマイクロ波は波長が電波よりもかなり短いので敵を発見する精度が高い上にアンテナは小型で済むという第二次世界大戦中には敵航空機を探知するレーダー技術に欠かせない存在だったんです。そんなマグネトロンを開発していたパーシー・スペンサーは、ある日、お腹を空かせていてポケットにチョコレートをしのばせて、実験室の中を歩き回っていました。しばらくして、パーシー・スペンサーはポケットの中に手を入れてみると、チョコレートが溶けていました。
パーシー・スペンサーはこの瞬間、チョコレートが溶けていたのはマグネトロンから出ている放射線の影響だと直感したんですよ。
霊夢:
ただ単に体温なんかで溶けたような気もしますが……。
魔理沙:
マグネトロンから出ている放射線の影響だと思ったパーシー・スペンサーは、まずマグネトロンの前にトウモロコシの穂を置いてみました。するとトウモロコシの穂は奇妙な動きをするや否や、すぐに弾けてポップコーンになりました。霊夢:
本当にマグネトロンの影響だったんですね。魔理沙:
次に生卵でも試してみました。マグネトロンの前に置いてみると卵は小さく揺れ動き始めました。同僚が不思議そうに顔を近づけた瞬間に生卵は破裂し卵まみれになった同僚の姿を見て、パーシー・スペンサーは、マイクロ波を使って加熱ができることを確信しました。霊夢:
同僚の人ついてないですね……。でもこれで、マグネトロンの影響で加熱されるのが本当だと確実になりましたね。魔理沙:
マグネトロンの影響で加熱されると分かったパーシー・スペンサーは早速、同僚のローリー・ハンソンと共に開発プロジェクトを始動しました。ちなみにこの開発プロジェクトの名前は『スピーディ・ウィーニー』という名前で日本語だと「即席ホットドッグ」という意味になります。霊夢:
この名前は、すぐにホットドッグが作れるからってことですかね。
魔理沙:
そうですね。開発プロジェクトの実験として、金属の筐体を作りホットドッグを入れ、その中にマイクロ波を送り込んでみました。すると、あっという間にホットドッグが温まりました。これは図のような仕組みで食品内の水分子が、マグネトロンから出るマイクロ波によって振動することで熱が生まれ、食品を温めることができます。こうして今でもほとんど変わらない電子レンジの基本原理が出来ました。
霊夢:
電子レンジってこんな原理で動いていたんですね。それで、この後電子レンジが製品化されるまでどのくらいかかったんですか?魔理沙:
約2年後です。霊夢:
意外と短いんですね。魔理沙:
しかし家庭用に普及するまでにはさらに数十年かかりました。霊夢:
2年で製品化されたんですよね? なんでそんなに時間がかかったんですか?
魔理沙:
それは最初に製品化された電子レンジを見れば理由が分かります。これが最初に製品化されたビルトイン型電子レンジ「レーダー・レンジ」で全長は2メートル近くあり、重量はなんと340キロもありました。霊夢:
こんなもの、一般家庭には置けませんね。魔理沙:
大きさや重量から一般家庭では全く売れず、主にレストランや鉄道で業務用として使われました。霊夢:
たしかにレストランなんかにあったら調理が楽になってすごく便利そうですね。魔理沙:
この製品は便利ということで非常に売れ行きがよく、他社も相次いで参入してきました。
パーシー・スペンサーのチョコレートがきっかけで電子レンジの開発が進んだことが分かりました。
■日本の電子レンジの歴史
魔理沙:
ということでここからは日本の電子レンジの歴史を紹介して行きます。まずはこの電子レンジです。この電子レンジは1959年に東京芝浦電気(現在は東芝)が開発した電子レンジで、国産初の電子レンジです。霊夢:
国産で一番最初に開発したのは東芝だったんですね。
魔理沙:
しかしこの電子レンジは一般には販売されず、防衛庁に納入されました。東芝が開発した3年後の1962年、早川電気工業(現在のシャープ)が国内初の量産品業務用電子レンジ「R-10」を販売しました。これが国内で初めて一般向けに販売された電子レンジといわれています。霊夢:
最初の一般向けの国産電子レンジはシャープが作ったんですね。ところでこの電子レンジってどのくらいの値段なんですか?魔理沙:
54万円です。霊夢:
結構な値段ですね……。魔理沙:
ちなみに当時の大卒の初任給は約1万7000円だったので今の価値に換算するとさらに高いことになります。霊夢:
そんな高いなら業務用とはいえあまり普及しなさそうですね。魔理沙:
とても高価だったことや、火を使わずに加熱調理するということに当時の人は困惑してあまり普及はしませんでした。しかし、この後電子レンジの知名度を一気に上げる出来事が起こりました。
■新幹線の開業
魔理沙:
それが新幹線開業です。新幹線には『ビッフェ車両』という特別な車両があるんですが、そこにまだ開発されたばかりだった業務用電子レンジが搭載されました。新幹線はたくさんの人が利用することもあり、電子レンジの凄さが瞬く間に知れ渡り、一気に電子レンジの知名度が上がりました。霊夢:
新幹線に搭載されたなんて凄いですね。でも、なんで開発されたばかりの電子レンジが新幹線に搭載されたんですか?魔理沙:
それは、新幹線の乗車時間が非常に短いから、出来上がった食事をすぐに提供できるようにという理由で搭載されました。霊夢:
たしかに電子レンジはすぐに温められるから、新幹線にはピッタリだったんですね。
魔理沙:
そして1966年、早川電機工業が国産初のターンテーブル方式を採用した電子レンジ『R-600』を販売して、大きな話題となりました。ターンテーブル方式はムラなく温められるということで、とても画期的な商品でした。霊夢:
ターンテーブル方式は今だと主流の方式ですよね。魔理沙:
そして1970年代に入ると、電子レンジは手頃な価格になり庶民の間でも大人気の家電へとなっていきました。ということで、これが『電子レンジの歴史』でした。霊夢:
電子レンジの始まりがレーダー開発から、しかもチョコレートがきっかけなんて全く知りませんでした。魔理沙:
最近では、インターネットに繋がるなど、様々な機能が追加された電子レンジが発売されいますが、基本的な構造は昔からほとんど変わりません。
パーシースペンサーと同僚の電子レンジ開発から日本に電子レンジが渡り、多くの家庭に電子レンジが普及していきました。そこには新幹線の開業が大きく関わっていたことが分かりました。
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