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朝鮮人民軍「5月は田植えで忙しい」過激化した北朝鮮が5月になると対話姿勢に変わる理由『5月1日の方程式』を有識者が解説


 拓殖大学教授の武貞秀士さんと、参議院議員の山本一太さんが「北朝鮮問題」について語った。北朝鮮の軍事演習が終わった後の「5月1日の方程式」とは。そして、金正男(キム・ジョンナム)暗殺の真相とは何だったのでしょうか。


左から山本一太さん、武貞秀士さん。

北朝鮮が毎年突然融和的になるのは田植えのため!?

山本:
 全体の流れとしては、アメリカと対話が始まるんじゃないかと思ったら、オフテッド軌道の新しいミサイルを飛ばしたりしました。しかし、それでもアメリカと話したがっているんだろうけれど、あえて国連の安保理でより強い経済制裁をするぞという声明を出させたりしましたよね。

 北朝鮮の意図はどこにあるのかなというあたりから伺いたいのですが。

武貞:
 4月に危機感が出てきて、朝鮮半島一触即発という雰囲気になりました。つい先日、アメリカのDIA【※】の長官が議論した中で、「これからも通常兵力による衝突はありうる」と言っています。しかし、全体としては、4月の危機っていうのは少し過ぎたかなという印象を受けます。毎年4月は米韓合同軍事演習をやっていますから、北朝鮮もそれを黙って見ているわけにいかない。国内にも示しが付かないから、批判もしなきゃいけないし、軍隊も動かなきゃいけない、ということがあるんです。

※DIA
「Defense Intelligence Agency」、アメリカ国防情報局。アメリカ合衆国国防総省の諜報機関。

 私は「5月1日の方程式」と言ってるんですけど、毎年4月30日に軍事演習が終わったら、突然北朝鮮は態度をボーンと変えるんですよ。「対話だ、軍事演習終わったね」と。朝鮮人民軍は5月10日過ぎからは田植えに出かけなきゃいけないからです。これは毎年そうなんです。人民軍は数十万人規模で田植えに行きます。そうしなかったら農業が壊滅しちゃうんですよ。

武貞:
 だから、5月1日から急に朝鮮人民軍も北朝鮮の発言も融和的になる。ということで、今年も同じように緊張も緩和されてきた。この流れは今年も同じで、もうしばらく続くでしょうね。ただこれは朝鮮半島の対立の構造が変わったわけでもなんでもないんですね。北朝鮮っていうのは、統一するときまで核兵器を作り続けます。

山本:
 そうすると金正恩(キム・ジョンウン)は赤化統一【※】を全く諦めていないということですね。

※赤化統一
朝鮮半島において、朝鮮民主主義人民共和国が主導して共産主義による朝鮮の南北統一を果たすこと。

武貞:
 もちろんです。赤化統一を諦めるのは、金正恩が金正恩でなくなるときですね。

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