ネガティブ思考と恋心の全力せめぎ合い。『ブスに花束を。』の喪女JKの壮絶な自虐っぷりが切なすぎて応援したくなる
モテない女、略して“喪女”。
ニコニコ漫画「ヤングエース」で連載中の『ブスに花束を。』(作者:作楽ロク先生)は、“喪女”であることを受け入れてモブに徹するJKが主人公のラブコメ作品です。
彼女がくり出す怒涛の自虐ネタの数々の合間に、わずかながら見え隠れする青春の兆しをどうぞお見逃しなく!
ブス(美化委員)の朝は早い
田端花(たばた はな)は、失礼ながら“ぬぼーん”という効果音がなんとも似合う女子高生。
そんな彼女は、だれに言われるでもなく自身がブスであることを信じて疑わないネガティブ思考の持ち主でした。
父親との朝の会話で学校のことをいろいろ聞かれるものの、入学以降ずっと“ぽつんぼっち”な花は「ぼちぼち?」と、ごまかすばかり。
「彼氏なんてまだ早いぞ!」などという言葉に将来を悲観しつつ、さっさと朝食を済ませた彼女は足早に登校します。
彼女がだれよりも早く教室に向かったのは、美化委員であるから……なのですが。
それ以上に、ブスのお花いじりが似合わないと後ろ指刺されるのが怖かったのと、お花に触れる至福の時間を邪魔されたくなかったというのが大きい模様。
すると、ひとり乙女タイムを堪能する花の背後から突然の乱入者が! ……乱入者の正体は、同じクラスのイケメン男子の上野くん。
さらに、不運にも花は、調子に乗ってお花を髪に挿しながら悦に浸っていた最中。恥ずべき瞬間を見られた、と絶望をあらわにします。
このままでは笑い者にされかねないと恐れた花は、口止め料をお付けするべく財布を瞬時に用意。これぞ喪女の悲しき思考回路か……。
けれども上野くんは、彼女を笑うどころか「可愛いの付けてんね」と気さくに話しかけてくるではありませんか!?
それでもなお、花のネガティブ思考は止まりません。
上野くんの言葉を「お前なに色気づいてんだ?」という詰問ではないかと、斜め上すぎる解釈をした彼女は全力で逃走。
その場に残された上野くんは花の様子を不思議に思いつつも、ふと花瓶に挿された花が昨日と違っていることに気付くのでした。
イケメン男子とふたりだけの秘密を共有……!?
早くも上野くんが類まれなイケメンぶりを見せつけてくれた一方、花は依然トイレで悶絶中。
今日から自分のあだ名は“花挿しブス”だと(被害)妄想、後悔しつつも観念して教室に戻ってみると……。
無論、心までイケメンな上野くんが花を笑い者になどするはずもなく。
彼女にとっては意外でも、教室はあらゆる意味でふだん通りなのでした。唯一、上野くんが花に気さくに話しかけてきたことを除けば。
しかし上野くん、朝のできごとに触れるのだけは(おもに花のメンタル的な観点から)マズイ!
幸いにもHRが始まったことにより、花の恥ずかしい一面は暴露されずに済んだものの、いまだ危機的状況であることは変わらず。
彼女はなんとかして口止めを図ろうと機会を伺いますが、リア充である上野くんの周りには絶えず人だかりができており、とても近付くことなどできません。
そんな上野くんのことを疎ましく思うかといえばまったくの逆で、花には彼の見せた笑顔が「太陽みたい」とすら思えていたのですが……。
さておき、「話しかけられないなら手紙にすれば」と妙案と思いつき、手紙作戦を実行しようとするも、上野くんの下駄箱に集まるファンの女子たちに圧倒され断念。
万策尽き、失意のままに放課後を迎えてしまった花。
かくなるうえは神頼みか……と思ったそのとき、彼女は願ってもない事態に見舞われます!
なんと、またもや上野くんが花の目の前に。しかも何やらわざわざ自分を探して駆けつけてくれた雰囲気。
これは胸キュン必至な展開ではありませんか……!
……が、花にはときめく余裕などなく、絞り出すような声で「今朝見たものを皆には内緒にしてもらえないでしょうか……?」と伝えるのが精一杯です。
花が「花瓶の花のこととか……」と続けると、なぜかぱぁっと顔を輝かせる上野くん。
そう、じつは彼は花が美化委員の活動の一環で世話をしていた花にいたく感動し、だれの手によるものか確かめたい一心で彼女に話しかけたのでした。
その後も気さくに会話を続けた上野くんは、最後にこんな殺し文句を残していきます……。
「田端、二人だけの秘密な!」と、爽やかに笑う上野くん。
彼にとっては花の必死さを気遣っての言葉ではありましたが、見ようによってはイケメン男子との甘酸っぱい秘密の共有……!
花自身「きっと私には訪れない……」と諦めていた憧れの青春ストーリーが、まさにこれから幕を開けそうな予感に胸が高鳴ります。
染み付いたネガティブ思考を払拭できる日はくるのか!?
かくして、花は上野くんに対する淡い恋心を小さく芽吹かせた……かに思われました。
しかしながら、やはり彼女に染み付いたネガティブ思考の根は深く、ちょっとやそっとのきっかけで払拭できるレベルではありません。
じつは先ほどの渡り廊下での運命的なシーンですら、花は直前にこんな邪推を展開していました。
花を世話していたのが自分だと知られ、上野くんを「凄い期待外れな気分にさせてしまったのでは!?」と焦る彼女。
いや、こんなステキな笑顔を浮かべる彼が、そんな失礼極まりないことを思うはずないでしょうに……。
その日の夜も、彼女のメンタルは負のスパイラルに囚われたまま。
今度はあの少女漫画のワンシーンのような彼のセリフを深読みしすぎた末、悪夢にうなされる始末です。
上野くんが美化委員の仕事を手伝ってくれることになったシーンでも、トキメキよりいろいろな申し訳なさが先行。
この場面については、繊細な乙女心ゆえにしかたなかったと言えなくもありませんが……。
美化委員の仕事終わりに、ふたりで買い食い。……なんて胸キュンなシチュエーションで、彼女が炸裂させた卑屈極まりない行動はもはや弁解の余地もないでしょう。
花のとめどない自虐っぷりを見ていると、もっと自分を大切にしてほしい……というか、幸せになってほしいと応援したくなるのが人情というもの。
果たして彼女に芽生えた小さな恋心は、自身の自己肯定感の低さに圧殺されることなく花開くことができるのか!?
そんな本作は、現在コミックス1~6巻まで刊行中。第7巻も2019年12月28日に発売されますので、続きが気になった方は一気読み推奨です!
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(画像はニコニコ漫画『ブスに花束を。』より)
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