大人と10代の目線の違いを卓越した技術で合わせていく--GW映画のダークホース『スウィート17モンスター』を映画評論家と女優が語る
彼女はこの青春をどう乗り越えるのか
中井:
主人公にとっては、「なんじゃこりゃ!」っていう世界ですよ。
鈴木:
(ひどい裏切りをした)親友も親友だけど、お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ!
中井:
そこでひと悶着ですよね。主人公はただでさえ、家庭内で味方がいない。唯一、外界との接点があった親友は自分のお兄ちゃんとデキていて、自分と距離を置いてくる。主人公は、完全に孤独ですよ。「世界 vs 私」みたいなことですね。そんな彼女がどうやって、この青春を乗り越えていくのかを描いた作品です。
鈴木:
でもさ、青春時代はみんなにそういうことがあるからな。
岡村:
何かしらの形でありますからね。
中井:
いずみちゃんは裏切られたりとか、仲間はずれにされたりとかの経験はあるの?
岡村:
えっ!? 私、友達は少ない方です。割と1人でいることが多い(笑)。
中井:
友達は多い、少ない、じゃないもんね。
岡村:
友達の定義は人それぞれ。なんでも話せる子は2、3人はいるんですよ。でも、(この映画は)そういう子に裏切られたっていう話ですよね。そう考えると、もう辛いです(笑)。
10代の目線と大人の目線
岡村:
(青春時代は)対人関係とかじゃなくても、頑張っていたことで成果が出ないとか、うまくいかないっていう(挫折の)体験ですよね。
中井:
僕なんかでもそうですよ。10代の物事をよくわかっていない頃って、自分の目線でしか物事を見ることができないから。
鈴木:
まだ世界が狭い感じよね。
岡村:
大人になってから、「あの時は……」って。
中井:
そう、振り返ったときに「あぁ、なんか俺、痛かったなぁ」って(笑)。
岡村:
中二病ね(笑)。
中井:
ところが一方で、「大人も大人で(事情がある)」というところがあるわけですよ。
中井:
この作品は、その両面から迫っています。今の僕らの目線と、10代の時の目線の違いというものを、うまく合わせていくという、すごく特殊なことをやっているんです。(監督は)非常に卓越した技術があると思いますね。(今までのキャリアは)脚本を書いていて、ほとんど監督としては新人のような女性【※】です。
※本作の監督・ケリー・フレモン・クレイグ氏は過去に女優のデミ・ムーアが監督を務めた『Streak(原題)』や、2009年公開の『恋する履歴書』でも脚本を担当している。
鈴木:
才能あるね、この監督! これからブームが来るね。
中井:
今後にも期待したいなと思っております。