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「オタク文化とラップが結びつくとは誰も思ってなかった」 ニコニコ動画黎明期に花開いたラップ文化をレジェンドが語り尽くす【らっぷびと×タイツォン】

『オーディエンスを沸かす程度の能力』バズったきっかけは「踊ってみた」だった

――ちなみに、動画を投稿した時の反応ってどうでした?

らっぷびと:
 覚えている?

タイツォン:
 いや? ……最初からそんな伸びたんだっけ。

らっぷびと:
 どうだったっけ?

タイツォン:
 あんまり覚えていないんだよな。

――「あ、 これバズるわ」みたいな初動ではなかったんですね。

らっぷびと:
 でもそんなに一気には確かに出なくて、ゆるやかだったと思いますよ。ランキング10位以内くらいには入っているけど、その当時、オリジナルというか、こういう二次創作をやる人たちがあんまいなかったんで。あとは替え歌とかそういう文化だったから、珍しいって意味で10位以内くらいには入っていたんですよ。ただ、そのあとに『オーディエンスを踊ってみた』というのが出来て、そこで注目を浴びたっていうのはありますね。

タイツォン:
 そうだね。

らっぷびと:
 謎だったなあ。全国でオーディエンスオフ会をやったの。すごいよね。うん。俺よく分かってなかったもん。
 
タイツォン:
 確かに(笑)。何が行われているのか?

らっぷびと:
 知らない間に踊っている動画がたくさん上げられている。

――ちなみにそのオーディエンスオフ会っていうのはどういったものなんですか?

らっぷびと:
 『オーディエンスを沸かす程度の能力』を使って踊ってみたを数十人でやるオフ会が全国各地で行われていて、振付をエリツィンという子がつけてくれて、それをみんなで踊ろうみたいなのが、その当時めちゃくちゃオフ会が流行って、そのおかげで『オーディエンスを沸かす程度の能力』で、踊っている人たちの楽曲はこの動画なんだ、という感じで導線が出来て、『オーディエンスを沸かす程度の能力』が伸びた。で、丁度あの時代、「踊ってみた」がやり始めくらいで、『踊ってみたの祭典!Nico Nico D@nce M@ster』とかが出来て。それに呼ばれたりもしたんで。

イベント出演でますます盛り上がる『オーディエンスを沸かす程度の能力』

――『オーディエンスを沸かす程度の能力』きっかけで起こったことと言ったらどういうところですか? ライブに多く呼ばれるとか、何か他にあれば。

らっぷびと:
 『オーディエンスを沸かす程度の能力』は確かに、ドワンゴの公式のイベントにめっちゃ呼ばれたから。『ニコニコ大会議』とか。そういうのでは、その時は確実に呼ばれていましたね。

――基本的にその時のライブとかって、ふたりセットで全国回るような感じだったんですよね。

らっぷびと:
 そうですね。「ニコニコ動画のラッパーだったら、らっぷびととタイツォン」みたいな感じで。

『オーディエンスを沸かす程度の能力』続編制作の経緯

――ちなみに去年の10月に『オーディエンスⅡ』が、アップされていると思うんですけど、それのきっかけは。

らっぷびと:
 きっかけは、はしやん。

タイツォン:
 現在に至るまでのプロジェクトの中に入ってる。

らっぷびと:
 ZEIIITA[ゼタ]っていうプロジェクトをやりまして。らっぷびと、タイツォン、アリレム、はしやん、トラックメーカーのK’s、この5人でのユニットプロジェクトのCDをYAMAHAさんからリリースさせてもらって、そのCDを引っさげてツアーもする、というプロジェクトで、今は一旦終了したんですけど。じゃあどういう曲を作ろうかってなった時に、「らっぷびととタイツォンで『オーディエンスを沸かす程度の能力』やりなよ」ってはしやんが言ったんですよ。「オーディエンスⅡ」 聴きたいわ~、みたいな感じで。

――ノリで(笑)。

らっぷびと:
 じゃあやるか! ってなって、「オーディエンスⅡ」を作りました(笑)。K’sもトラック作ってくれて。

――「オーディエンスⅠ」が滅茶苦茶バズってたじゃないですか。それのⅡを作るにあたって、乗り越えなくちゃ行けなかった気持ちの壁みたいなのはなかったですか?

らっぷびと:
 いや、なかったですね。結構、ZEIIITAのCDはカツカツで作っていて、夏の時期でコミケもあったし、自分が主催するWorld Wide Wordsっていうネットラップの祭典もあったり、ALTOLITSもCD作っていたんで、みんな夏忙しくて、どこで作るの?ってレベルで。

 で、8月の終わりくらいで、この一週間で歌詞確定まで行かなきゃ行けない、もう全部作んなきゃいけないってバッて作る中で、最低限のレスポンスで出来ました。

タイツォン:
 ここでラップする、みたいなのしか決めてない(笑)。

らっぷびと:
 そう(笑)。で、作り始めたらお互いに「オーディエンスⅠ」リスペクトみたいな感じで歌詞上がったんで、「やっぱり俺とタイツォンはすごい」って思いました。

タイツォン:
 相性抜群だって思って(笑)。

らっぷびと:
 短い期間だったからこそ、そんなにプレッシャーを感じることもなくできたのかなって思いますね。

 しかもいい具合にトラックメーカーのK’sが、「オーディエンスⅠ」を意識しつつも、それとはまた違うエッセンスを加えて、すごくラップしやすい、かっこいいトラックを作ってくれたんで。だからすごくラップしやすかったというのはありますね。

タイツォン:
 普通に考えてお互いのパートを一切聴かないで曲作るって(笑)。なかなかないよね。

らっぷびと:
 もう締め切りまで時間も無かったんで、ミックスしてくれるK’sに投げて、完成したのが返ってくる。もはやお互いにプリプロ聴いてない。

タイツォン:
 でも完璧じゃん! って。

――完パケされたものしか聴いてなかった。

タイツォン:
 そうです。

らっぷびと:
 「こういうラップするから」という連絡もなく、お互いがK’sにアカペラ提出してミックスしたら、ああなったみたいな。

一同:
 (笑)

らっぷびと:
 まあ10年後くらいに、『オーディエンスⅡ』に飽きたら同じように『オーディエンス3』が出来るんでしょう。

――10年間隔なんですかね。

タイツォン:
 2年、3年じゃ早すぎるね。

らっぷびと:
 2まで8年ちょっとか、やべーなあ。オリンピック2回やってるよ。
 
――じゃ次は2025年(笑)。

らっぷびと:
 (笑)

タイツォン:
 やばいですね。

――では、最後にファンに一言お願いします。

ふたりからファンに一言

らっぷびと:
 ニコラップって今ぱっと見廃れていますけど、個人的にはそうはあんまり思っていなくて。僕はネットラップって見方をするんですよ。なので、YouTubeで活躍しているやつもいれば、ネットでやっていたけど今メジャーでやっている奴もいるし、個人的にはネットラップという点で見ればすごく活性化しているなと思うので。まあもちろんニコラップも盛り上がって欲しいっていうのはあるんですけど、リスナーの人たちに言いたいのは、別に衰退しているわけではないし、むしろ全体で見れば盛り上がってるので、これからもネットラップという文化を好きでいてほしいな、というのがあります。

――タイツォンさんは。

タイツォン:
 そうですね、まあニコニコ、ニコラップに飛び込んできたように、今はALTOLITSという形ですけど、今後もいろんなところに飛び込んで、色々挑戦していきたいなとは思っているんで。タイツォンとしてというよりは今はALTOLITSとして今後も応援していただきたいなと思います。

――ありがとうございました!

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