拘置所の死刑はどのように執行されるのか? 実際の刑場の写真を使って解説「ボタンを押すと床が抜けて首が…」
刑務所では豚を飼っている?
安田:
これは昼食。どこの刑務所、あるいは拘置所でも同じだと思うんですけど、昼食が一番豪華と言うんでしょうか。その日の一番良いものが出るんですね。これを見ますと、お皿に乗っているのはポーク。豚肉ですね。これはいろんな刑務所の中で、豚を飼っている刑務所がありまして、そこで生産された豚がこういう形で出てくるというふうになっていますね。
ご飯は白いご飯に見えますけども、これは麦飯です。朝は簡単な食事です。夜も昼食よりも簡単な食事となっています。
ジョー横溝:
「結構豪華だな」というコメントも寄せられていますね。
安田:
確かに、美味いのは美味いんです。しかし、新鮮な物がまったく食べられない。例えば、刺身とかそういうものがない。ラーメンのように作り立てのようなものは食べることが出来ない。
ほとんどがこういう形で焼く、魚などは揚げる、つまり油で揚げたものが多いですね。ですから、どうしても栄養過多になって、そのまま与えられた物を食べていくと、どうしても肥満になってしまうというのが実情ですね。
鳥小屋!? 運動場は奥行き15mの天井には網
安田:
これは運動場です。夏ですと、運動は週2回各30分。戸外で出来るんです。戸外と言っているんですけども、外の空気が吸えるという意味では戸外なんですね。鳥小屋とも呼ばれるんですが、こういう細長い長方形の箱の中で運動するわけです。
この中、奥行き15mぐらいあるんですけども、ここを走るわけですね。ぐるぐる回る。あるいは縄が多用されるあるんですが、縄で縄跳びをやっている拘置所もあります。
最近厳しくなってきて、そういうふうな凶器に使われたり自殺の道具に使われる物はなかなか使わせないと。よって、現在では何も道具なしでこの小さな空間の中で走っているという状況ですね。
これは上から見た運動場ですね。屋外と言っても、こういう形で天井は網が貼ってあるんですね。ただ、直接外気に接することは出来るということですね。
今、死刑確定者は、全国七箇所にある拘置所で収容されているんですね。今見ていただいたような施設の中で生活をしているんですけど、これは東京拘置所という場所で、現在のところ一番新しい施設なんですね。今、大阪拘置所が新しく作り変えていますけども。他には仙台とか広島とか、あるいは名古屋、札幌、福岡というところがあるんですけども、これよりもう少し老朽化していまして、設備が良くないというのが実情ですね。
公開された刑場は実態を反映していない?
ジョー横溝:
これ、たぶん鳩山政権の時の千葉法務大臣の時にこの東京拘置所の模様が公開された、その時の写真じゃないかと思うんですが。
安田:
そうですね。
ジョー横溝:
それまでは実際に刑場がどんなものであるかということも知ることは出来なかったということだと思いますが。
安田:
実はここは1階でして、死刑囚の人が実際に死亡に至る場面、あるいは苦しむ場面、首に縄を掛けられて苦しんでいる状況というのは、この地下なんですね。
ですから、一番奥を見ますと、向こうは検察官とか拘置所長があそこに座って、死刑執行の模様を見ているんですけれども、実際に見ているのはこの地表でして、見えている場面は絞縄を首に巻いてスッと自分の目から消えていくという場面しか見えないわけですね。
死刑の、本当に人の命を絶つという場面は地下で行われているわけですね。それがこれを見てみますと、縄がないわけですよ。死刑というのは「絞縄」といい、縄で執行するものですから、肝心の物が写ってない。ですから、これを見ても拘置所の刑場を実際にはこれで理解できないだろうと私はよく言うんですけども、お寺を拝見するときに、本尊のないお寺を見させられているのと同じで。これは実態を反映していないというふうに思うんですね。
ジョー横溝:
なるほど。ひとまず、そうした安田さんの指摘はあるものの、現状公開されている資料でいうと、こういう形ですね。
そして、今回のオウムの一連の執行で、さらにその執行の様子などもみなさんメディアで知ったんじゃないかなと思いますが、基本的には執行の当日の朝に執行が告げられて、先ほどの刑場に連れて行かれるという、そんな手順だったと思うんです。
このこと自体が国際的にも批判されていたりするんじゃないかなと思うんですね。例えば、アメリカですと、絞首刑ではなくて薬による処刑ですし、それから死刑確定囚も家族の方と自由にコミュニケーションが取れるという状況だと思うんですが、日本がそこと比べると死刑囚の人権というような言葉も問題になっているんじゃないかなと思うんです。
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