廃墟巡りの初心者に最適? 関東最大級の廃村『ニッチツ鉱山』写真レポート「まさに陸の孤島、空気が止まったまま」
潜入ライターとして活躍するニポポ氏(@tongarikids)がMCを務めるniconico公式番組「ニポポのニコ論壇時評」。9月28日の放送では“廃墟”について特集。
廃墟愛好家であり『ダークツーリズム・ジャパン』編集長の中田薫氏がゲスト出演し、廃墟の魅力について力説。本記事では、ニポポ氏が廃鉱となってしまった「ニッチツ鉱山(小倉沢集落)」を撮影した写真を見ながら、中田氏と現地の模様について語った様子を、実際の写真とともにお届けします。
―あわせて読みたい―
・人はなぜ廃墟に魅せられるのか?「日本の廃墟ベスト5」を愛好家が選出理由&写真付きで解説【ブルーシャトー・長崎刑務所・大仁金山etc…】
・【ザ・新興宗教】心霊スポット化した山奥の宗教施設に潜入したら500円払って修行体験することになった話「みなさんめちゃくちゃ親切でした」
廃墟初心者におすすめ! ニッチツ鉱山(小倉沢集落)を探索
ニポポ:
僕が見てきた鉱山の画像です。
結構有名なものです。
中田:
これは木造工場の跡?
ニポポ:
これは入り口ですね。ここから鉱山道路になりますよ、ということで入って行くんですけれども。実際問題、この奥にあった郵便局とかは、ちょっと前まで営業していたんです。ということで、普通の生活道路として利用できるということなので、道路沿いから望遠レンズなんかがあれば、いろいろなところが覗けちゃうという。
これがそうですね。
中田:
これはニッチツ鉱山ですか?
ニポポ:
もう出てきましたね(笑)。さすがです。
中田:
病院には行きました?
ニポポ:
はい。本当に遺産ですよね。
中田:
ここはいいですよね。
ニポポ:
素晴らしいですね。空気が止まったままなんですよ。ここに入るまでのトンネルがあるんですけれど、手掘りですからね。(スタッフに向かって)いつ頃に行ったの?
スタッフ:
3年前くらい。
ニポポ:
結構最近ですね。
中田:
僕は20年くらい前に行っていますね。
ニポポ:
早い(笑)。
中田:
その時は廃墟の状態としては、まだ綺麗でしたよ。荒らされていなかったです。
ニポポ:
僕が行った段階では荒らされてはいないですけれど、やっぱり雨ざらしなので、水や湿気でやられている感じが結構ありましたね。床が落ちているとか、天井が抜けたとか。
中田:
日窒鉱山診療所が非常に写真映えしてね。
ニポポ:
僕らが行った段階では、もう中は床が全部……。
中田:
抜けちゃっていた?
ニポポ:
はい。
スタッフ:
入れない家がいっぱいありました。踏み込めない感じ。
中田:
一番患者さんが多かったのは、性病なんですよ。
ニポポ:
ここでも? 鉱山内にそういったサービス施設があったんですか?
中田:
あったんですね。結局、同じ人間が複数人数を相手にしますから、性病が蔓延してしまうわけですね。
ニポポ:
なるほど。深いですね。
中田:
鉱山や炭山など、山に女はつきものだったわけですね。陸の孤島ですからね。映画館もあるし病院もあるし、学校もあるんだけれど。
ニポポ:
そこではすべて手に入るじゃないですけれど。
中田:
そこで世界が完結しているわけですからね。
ニポポ:
次の写真にいってみましょうか。
ニポポ:
比較的新しいほうですね。つい最近まで使われていた住宅になっています。
中田:
僕が見た時よりみすぼらしくなっていますね。
ニポポ:
着の身着のまま出られたみたいな。子供たちの遊ぶグッズが置きっぱなしで出られていますね。
中田:
ここは車でぐるぐるできますからね。廃墟の入り口としてはエントリーしやすいところですね。
ニポポ:
絵的にも美しいですね。どういう感じで出て行ったのかなっていうのは、確かにバックボーンは気になりますよね。
中田:
鉱山住宅というのは、たいてい生活の痕跡がそのまま残っているんですよね。
ニポポ:
あれはなぜですか?
中田:
閉山が決まって、そのまま出てきちゃうんでしょうね。
ニポポ:
出て行くにしても、身の回りのものを持って行きなさいよって。
中田:
やたら一升瓶が多いんですよね。
ニポポ:
多い。
中田:
酒飲むくらいしかやることがないっていう。
ニポポ:
僕も最近はにっちもさっちもいかなくなっちゃった人たちの家に、行政の人と一緒に入るという仕事をしているんですけれど、あの大五郎の多さ(笑)。
集落の共同浴場と比較的最近まで営業していた商店を発見
中田:
ここ、こんなになっちゃった。残念ですね。
スタッフ:
こんなのになっていました? 何年前でしたっけ。私が行った時は両方開いていました。
ニポポ:
本当に? 誰か剥がしたのかもしれないですね。
中田:
だいぶ荒らされちゃいましたね。前は木材が残っていたんだけれど。
ニポポ:
昔の住宅はお風呂が一軒一軒になかったものですから、共同浴場みたいなものがあったわけですよね。
こんな感じで、お風呂があるわけでございます。時空がねじれていますね。
浴槽があったり。タイル貼りは風情があっていいですね。
昔、この辺に脱衣場が設けられていまして、この奥に家族風呂というのがあったわけですね。たとえば娘と入るとか、お父さんとお母さんと一緒に入るとか。
これはお部屋です。床は完全に抜けちゃっていますね。
家族風呂。ここでみんなで入ったりということがありましたよ、ということでございます。
中田:
これは?
ニポポ:
奥のお家がガタガタになっているのがお分かりになりますでしょうか。あそこの棟もちゃんと立っていたんですけれども、柱が……。
中田:
潰れちゃったんですね。
ニポポ:
そうです。ガタンと斜めに倒壊してしまったという感じです。
中田:
これはなかった。
ニポポ:
たぶん、まだ当時は立っていたと思うんですけれども。
これが最後まで経営していた、いわゆるここら辺で言うコンビニです。
中田:
ひどい有様。
ニポポ:
当時と違います?
中田:
もっとまともでした。
ニポポ:
中にはレジがあって、本当にコンビニと言ってもいいぐらいの感じになっているんですけれども、今は残念ながらこんな形に。
中田:
これが日本の廃墟ですよね。木造だからどんどん朽ちていく感じが。