『ジュラシック・ワールド / 炎の王国』は“パニック映画”の域を超えた! 評論家も大興奮の理由を解説
スティーブン・スピルバーグ監督が手がけた第1作『ジュラシック・パーク』から数えて5作目となるシリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が7月13日から公開されています。
映画解説者の中井圭さん、女優の岡村いずみさん、放送作家の鈴木裕史さんが出演する映画情報番組「シネマのミカタ」では本作品をピックアップ。中井さんは本作品のあらすじを紹介した後、近年の“恐竜パニック映画化”の域を超えて、「この映画はジュラシックシリーズのひとつのターニングポイントになると思います」と話しました。
島が噴火の危機に! 恐竜の生死を自然にゆだねるか、または助け出すのか
岡村:
何シリーズ目になるんですか。
中井:
シリーズ5作目ですね。『ジュラシック・パーク』が1993年から公開されているわけです。それから『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』と『ジュラシック・パークIII』があって、一旦それでシリーズが終わるんだけれど、その後に『ジュラシック・ワールド』が2015年に急に復活するわけですよ。
急に復活して、さらにその新作として『ジュラシック・ワールド/炎の王国』ということなんですけれども。
鈴木:
外さないね。
岡村:
間違いないでしょうね。
中井:
(コメントを見て)「放つ?」ってありますけれど、結構いいところ突いています。
岡村:
ストーリー知りたい。
中井:
前作は見ましたか。
岡村:
どれがどれかわからなくなっちゃった(笑)。
鈴木:
そうなんだよね(笑)。俺もわからなくなっちゃった(笑)。
中井:
前作、こうやってたやん! ラプトル。
岡村:
あの小さいやつ?
中井:
そう、あの小さいやつ。ラプトルは頭がいいんですよ。
ものすごく獰猛だけれど、頭がいいラプトルがいるんですけれど、前作はジュラシックパークみたいなものが復活していて、 イスラ・ヌブラルという島があるんですけれども、復活していてそこで人間がまた同じことを繰り返すわけですよ。
やいのやいの言いながら、恐竜を見世物にするわけですよ。という中で、ラプトルを飼い慣らして、コントロールできるようにしていた。そんな中、また人間が自分たちの力を過信して、命を軽んじた結果、恐竜たちが放たれて、人間がやいのやいのするっていう。
食べられたり、つままれたりするわけですよ。人間、俺たちアホだよねっていうのが基本フォーマットじゃないですか。前回も同じで、そういう状況になっていたんですよ。という中で、今回の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』がどういう話かと言うと、それから何年か経ちました。島は野放しになっているわけですよ。恐竜天国。ラプトル放題ですよ(笑)。
だけど、そこの島の中に、基本島って火山があるんじゃないですか。その火山が活性化しはじめるということで、噴火するぞと。
噴火すると恐竜が全部死んじゃうじゃないですか。それ、どうするの? という議論が起きます。元々人間が勝手に乱したものだから、なすがままに滅びたらいいんじゃないの、という意見もあるし、一方でちょっと待てと。
あれを勝手に作ったのにまた勝手に殺すのはどうなのかと。ちゃんと残していくということも、ひとつの義務なんじゃないですかという意見とで、わかれるわけです。
そんな中、前作のメンバーたちが島に行って、何匹かサンプルを生き残らせようとするわけですよ。ブルーというラプトルがいるんですけれど、そいつを助けていこうという中で、いろいろなことが起きていくというのが今回の作品なんですよ。
鈴木:
毎回設定はちゃんと説得力があるもんね。
今までのストーリーラインの一線を超えた! 今作はジュラシックシリーズのひとつのターニングポイントに
中井:
このプロットを聞いた時に、今までの延長線の『ジュラシック・パーク』の夏のブロックバスター【※】ですよねというふうに思っていたんですよ。
※ブロックバスター
大規模の宣伝を行う大作映画のこと。
見たんですけれど、僕は自分の過ちを本当に恥じました。この映画、絶対見た方がいいと思います。
岡村:
そんなに?
中井:
めっちゃ面白いですね。この映画、今まで『ジュラシック・パーク』の時とかとも結構共通することがあるんですけれど、基本というのが人間の傲慢さ、生命への敬意というのがテーマとしてあるんですね。恐竜アクション映画としての側面も当然強くあるんですけれど、一方でそこが常にある。
マイケル・クライトンという原作者がいるんですけれど、その人がそこを描こうとしていた部分というのがあったわけです。だんだん恐竜パニック映画化していったのが近作なんですよ。だけどこの新作はそこに立ち戻り、かつ、もう一段上のレイヤーに行きやがったっていう。
鈴木:
それはいいですね。
中井:
1作目が93年なんですよ。つまり90年代というのは、科学技術が空想上だったわけ。こういうことができるんじゃないですかね、みたいな空想を描いていたんですよ。でも現代技術というのは、追いついたんですよ。
鈴木:
そうだね。それがリアルになってきた。
岡村:
なるほど。
中井:
現実にできるレベルに来ているという状況の中、じゃあ世界はこれから何と直面していくんですかと。90年代は恐竜を復活させて、人間の傲慢さみたいたものを描いていましたけれども、今は技術的にはそこに来ているから。
来た時に、世界はさらに先を描かないといけないじゃないですか。そうすると、映画で描こうとするものは、これから起こりうる事態をそれまでの延長線ではない一段上のレイヤーで描いたのが『ジュラシック・ワールド/炎の王国』なんですよ。
岡村・鈴木:
なるほど。
鈴木:
2018年現在のさらに先のSF映画になっているわけだな。
中井:
だからこそ、今までのストーリーラインから完全に一段上に行っているので、人類が完全にある一線というものを超えていくということが描かれているわけですよ。この映画の、もちろんブロックバスター的なわちゃわちゃしている、恐竜が襲ってくるよ、パニックだよというのは描かれているんですけれど、だけどそうじゃないんですよ。
そこの域を一線超えたなっていう。そこが描かれているので、僕はこの映画はジュラシックシリーズのひとつのターニングポイントになると思います。
鈴木:
今の小学生が見ると、我々が一番最初に『ジュラシック・パーク』を見た時に、琥珀のDNAで恐竜ができちゃうの!? と思ったのが、2018年の小学生がこれを見ると、こんなふうになっちゃうの!? っていうことが出てくるということだね。
中井:
僕は『ジュラシック・ワールド3』がすごく気になります。
鈴木:
続く感じ?
中井:
ジュラシックシリーズはしばらく続いていくと思うんです。その中で、次をどういうふうに描くの? っていうものを、ものすごく期待させる映画だと思いますね。