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ビッグサンダー・マウンテン横に置いてある“アレ”にはディズニーマニアにもあまり知られていない秘密の物語があった

 毎週日曜日、夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。6月3日の放送では、「平日に1人で遊びに行きたくなるディズニーランド特集」と題して、パーソナリティの岡田斗司夫氏が、ディズニーランドに関する、一般客にはあまり知られることのないような、隠された秘密を紹介しました。

岡田斗司夫氏

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ディズニーランドの建物は「本物よりも本物らしく」作る

岡田:
 これは有名な“ワールドバザール“という、ディズニーランドの入り口にあるお店なんですけど。この建物には“7:5:4の魔法”が掛かってます。

 まず、1階の部分が、実際の世界の8分の7の縮尺、2階が8分の5の縮尺、そして3階が8分の4、つまり2分の1の縮尺で作られているんですね。ディズニーランドの建物は、上に行けば行くほど小さくなっていくんです。

 だからといって、これ、上に行くほどどんどん小さくしていけばいいのかというと、そうではないんです。この手法が通用するのは、実は3階か4階が限界なんですよ。なので、このワールドバザールでは、すごく上手く、3階建てや4階建ての建物というのをずらっと並べているんです。

 これ、人間の目線で見るからこそ、この縮尺が効くんです。だから、こういうふうに真横から写真を撮っちゃうと、マジックの効果も薄れてしまうんですけども。これが、ウォルト・ディズニーが言った「全ては縮尺で印象が決まる」ということなんですよ。

 こんなふうに、実際の建物と縮尺を変えて作る理由は、コストダウンというよりは、本物をそのまま作るよりも本物らしく見えるという理由があるんです。この辺りの考え方が、僕は面白くて好きです。

 「本物を作ろう!」じゃないんですよ。そこに行った時に、「一番楽しいと思える映画のセットを作ろう!」という考え方だから面白いんです。

シンデレラ城に隠された“目の錯覚”のからくり

 ディズニーランドのお城“シンデレラ城”です。シンデレラ城というのは、高さが51mあります。……まあ、「51mある」というよりは、「51mしかない」んですけども。ビルでいうと、だいたい16階建てくらいだと思います。

 もちろん、この建物も縮尺で嘘をついているんですけども、縮尺以上に面白いのが「色使い」なんですよ。というのも、本当の城にはないような色使いをしているんです。本当の城だったら、例えば屋根とかにオレンジや赤を使うんですけども、ここでは絶対に使わないんです。なぜかというと「城を大きく見せるため」なんですね。

 シンデレラ城は、基本的に壁の部分はベージュっぽいホワイトで、屋根とかの部分を青で塗装してあります。こういう寒色系の色というのは、明度を落とした場合、“後退色”と言って、実際の場所よりも後ろにあるように見えるんですね。

 ちょっと離れたところからこの城を見ると、それがわかりやすいと思います。園内の少し離れた場所からシンデレラ城を撮ると、手前の方に必ず緑が入るように配置されているんです。緑というのは“前進色”で、実際の位置よりも前に見える。そして、城自体は後退色なので、目の錯覚によって本物よりも遠くにあるように見えちゃうんですよ。

 おまけに、デイズニーランドの中というのは、入り口近くとか人目があるところで風船を売っている。この風船の彩度、明度の高い派手な色が入ると、やっぱり風船の方が前に来るように見えるから、その効果で、お城はさらに遠くにあるように見える。こういうことをやってるんですね。この辺りの“ごまかし方”というのは映画屋特有なんですよ。まあ、舞台も同じだと思うんですけど。

 映画屋さんや舞台屋さんというのは、「どうやって、狭いセットや舞台を広く見せるか? 奥行き3mしかない舞台を、50m100mに見せようか?」ということばかり考えているんですよね。

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