男に裸を見られると体が成長する?『かぐや姫の物語』に隠された”性を暗示する場面”を解説
気になる男に触られると更に成長する
岡田:
タケノコは、その後、何日かして、本当にあっという間に成長していくんですけども。おじいさんと一緒に竹林に行って、竹を取る手伝いをすることになり「危ないから向こうに行ってなさい」と言われた時点でのタケノコは、まだ着てる服がブカブカです。袖も手首まであって、裾も足首の辺まであります。
その後、イノシシの子供と遊んでいたタケノコは、うっかり母親のイノシシに襲われてしまいます。そこを危うく捨丸(すてまる)兄ちゃんに助けられるんですけども、捨丸兄ちゃんに抱きかかえられるようにして藪に落ちたタケノコは、あっという間に大きくなっているんですよね。捨丸兄ちゃんも、「あれ? お前、急に大きくなってないか?」というふうに驚くんですけども。
タケノコが成長して、かぐや姫と呼ばれるようになってから、「あの頃に帰りたい。野山の中に帰りたい。みんなと一緒に」と言うんですけども、ここで彼女が言う「みんな」とか「あの頃」というのは、“男の子ばかりの世界”であるということが、こういった描写からわかるんです。
この作品の中では、「男性社会の中で、かぐや姫という1人の女性の人権が、いかにして侵されていったのか」という女性問題的なテーゼがわかりやすく描かれているんですけども、それと同時に、高畑勲は「かぐや姫というのは、実は男ばかりを相手にしてるような女なのだ」ということも、わかりにくくも、しっかり描いているんですよね。
まあ、それは本人の性というよりも、おそらく、かぐや姫が地球に持ってこられた時に植え付けられた、属性とか能力みたいなものとも関係しているんじゃないかと僕は考えてるんですけど。これについては後でゆっくり話します。
とりあえず、ここでは「画面の中から巧妙に女子が外されている」ということだけ覚えておいてください。
子供の頃から“男の欲望”を掻き立てる存在だった
次の成長は、水浴びのシーンです。子供たちが水浴びをしている時に、男の子たちが「こっちこいよ!」と言うんです。そう言う男の子たちは全員、素っ裸です。つまり、「女のタケノコが裸になるなんて、恥ずかしくてできないだろう」と男の子たちは思っているんですね。
しかし、呼ばれたタケノコは、ためらいもせずに素っ裸になって、水の中にドーンと飛び込むんです。素っ裸で飛び込んだタケノコを見た男の子たちは「えー!?」って見ているんですけれども。水から出てきたタケノコは髪の毛も伸びて、美少女になってるんですね。
これもやっぱり「男に裸を見せると成長してしまう」ということなんですね。
カエルの抱接を見たら成長して、男とおじいちゃんに交互に呼ばれたら成長して、捨丸兄ちゃんに抱かれたら成長して、村の男の子たちに裸を見せるとまた成長するという。もう言い逃れができない状態になってるんですね。
かぐや姫というのは、このように極めてエロティックな……というか、性的な話です。
ちなみに、このシーンでは一応、端っこの方に赤ちゃんを抱えた他の女の子も立っているんですけども、この女の子はここでは何も活躍しません。
他にも、後で村の中で藁とかを叩いている女の子なんかもいるんですけど、タケノコはその女の子たちの仲間に入ろうとせずに、すぐに男の子たちと一緒に遊びに行っちゃったりするんですね。
『かぐや姫の物語』を見ていると、ついつい「前半は幸せだったかぐや姫は、後半からは男から欲望の対象にされるようになった」というふうに見えがちなんですけど。実は、前半の最初から“そういう世界にいる存在”だったことが、ちゃんと描かれているんですよね。
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