話題の記事

すぎやまこういち氏が斬る「報道の自由度ランキング」の嘘 「言論の自由が脅かされていると言う人が、言論の場に出てこない」

 今年4月にフランス「国境なき記者団」が発表した「報道の自由度ランキング」。

 国民主権に基づく民主主義のもと、政治について国民が正しく判断できるよう、公平公正な報道を放送局に対して求め、国民の「知る権利」を守る活動を行う任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」は、昨今、「日本における報道の自由度が急速に悪化している根拠」として挙げられるこのランキングと、国連特別報告者デヴィット・ケイ氏による「意見及び表現の自由に対する権利」に関する調査報告の中間報告が、特定のイデオロギー的偏向に基づいたものであり、事実誤認の可能性を孕んでいることに着目。

 その信憑性・公正性について疑問を呈すと同時に、この報告による国連干渉が日本における報道の自立を脅かすことに大きな懸念を抱き、公開での反論および声明文発表の場として、記者会見を開きました。

 本記事では、2016年11月24日(木)に生中継された『放送法遵守を求める視聴者の会 ~虚構の「報道の自由度ランキング」~ 声明文発表・記者会見 生中継』から、呼びかけ人代表であるすぎやまこういち氏、事務局長・小川榮太郎氏のスピーチと、会見後半に行われた質疑応答の模様をレポートします。


「放送法遵守を求める視聴者の会」声明文

司会:
 では、当会代表呼びかけ人、すぎやまこういちよりご挨拶を申し上げます。

すぎやま:
 すぎやまこういちです、宜しくお願いいたします。では会としての声明文を読ませていただきます。

 私達が「放送法遵守を求める視聴者の会」を発足してから1年が経ちました。テレビ報道が放送法を守っているのかという私達の問題提起には、一部の方々からご批判をいただきましたが、それに負けない熱いご支援をいただいております。ここに改めて、心から感謝を申し上げます。

 我々「視聴者の会」の活動は、当初から国会の議論で取り上げられ、その後も新聞・雑誌や放送業界誌でも扱われるなど、多大な反響をいただいて参りました。「視聴者の会」の活動をきっかけとして、放送法を巡る議論が広まってきたことは、この1年間の大きな成果としてあげることが出来ると思います。

 また、私達はさまざまな形で意見の異なる方々との討論を呼びかけて参りました。同時に、当会に対する批判にも積極的に応えて、まさに公正な議論を行ってきました。

 残念ながら一部のジャーナリストの方々は、呼びかけに応じないばかりか、報道の自由が脅かされているという根拠の無い主張の中で、当会の名を出して非難しておられます。

 しかし、当会はこうしたことに動じることなく、対話を求め続けて参ります。

 国民にとって大事な話を正確に伝え、フェアな議論を放送のなかで行ってほしい、視聴者の知る権利に応えていただきたい。私達視聴者の会の目的はそれだけです。

 その願いを実現するにはどうすれば良いかを常に考え、日々模索しながら、国民運動を展開してきた1年でした。

 最近はインターネットが映像メディアとして広がってきていますが、テレビ・ラジオなど電波放送の影響力は、依然として多大です。

 放送法第4条が求めている情報の公平さや事実の正確な報道は、限られた電波を独占的に使っている放送局に求められる、当然の責任であると考えます。

 一方、放送法第3条で示された番組編集の自由も、もちろん大切なものですが、大きな影響力を持つ放送局の自由には、大きな責任が伴うのは当然のことです。

 そうしたなか、視聴者の会は、今後のフェアな放送環境を実現するため、最も効果的な方法を考え、実行して参ります。皆様のご理解とご支援を、よろしくお願いいたします。

電波帯域に限りがある地上波だからこそ、公正な報道の責任がある

すぎやま:
 今、会としての声明文を読ませていただきましたけども、ここの席で真っ先にこうやって喋るのは、とりあえず私がこのメンバーの最年長ということで、仰せつかったものだと思っております。言論界の凄い方がいっぱいいらっしゃるので、ちょっとビクビクッとするぐらいなんですけれども、まぁ最年長ということで、お許しください。

 私たちがこういう声をあげた背景として、僕自身が考え、理解していることを、ちょっと申し上げたいと思います。

 まず地上波の電波帯域というものには限りがあるので、今地上波の放送局は、全部で7局しかありません。これ以上地上波を増やすことは、物理的に不可能なんですね。ですからこそ、放送法によって、事実に基づいた偏らない報道をする責任があるのだと思っております。

 その点、新聞・雑誌その他はいくらでも増やせるわけで。新聞で言えば産経新聞もあるし、朝日新聞も、赤旗でも自由に発行出来る。だけど、地上波だけは限りがあるからこそ、必要な縛りもあるのだと思っております。

 一部には「地上波の放送権利をいっそのことオークションにしてはどうか」なんて意見もあるみたいですれど、私自身の考え方としては、そのようなオークションには絶対に反対です。

 なぜかと言いますと、オークションにかけたら最低でもひとつの電波代は、一説によれば三千億円をはるはるかに超える競り値になるだろうと言われております。いくらになるかわかりません。

 そして、地上波の権利を売るためにとんでもなく高い、何千億円という投資をしたらば、その放送局はそれをいち早く取り戻すために、少しでも安い制作費で、しょうもない番組をいっぱい量産するのではないかと僕は予想するので、電波オークションには反対です。

 私たちの会では、さきほどの声明文にもありましたように、岸井成格さんに公開討論を何回も要請してまいりました。けれども、完全にある種の敵前逃亡といいますか、逃げられてしまっております。私たちはこれからも続けてどんどん声を上げ続けていこうと思っておりますので、皆さんのご理解をお願いしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

言論人である以上、土俵に立つ勇気がなければ辞するべき

司会:
 ありがとうございました。次に、事務局長・小川榮太郎より、本日の記者会見のテーマであります「報道の自由度ランキング及び国連特別報告者デイビット・ケイ氏に対する声明」を発表いたします。

 この声明文は記者会見終了後に出入り口で皆さんに配布いたしますので、必要な方はお持ち帰りください。また本日の夜以降、「視聴者の会」のウェブサイトにも掲載いたします。それではお願いします。

小川:
 皆さん、お忙しい中ありがとうございます。事務局長の小川榮太郎です。声明文を発表させていただきます。「報道の自由度ランキング及び国連特別報告者デイビット・ケイ氏に対する声明」。

※以降、以下のサイトに全文掲載されています。
国境なき記者団による報道の自由度ランキング及び国連特別報告者デビッド・ケイ氏に関する声明

司会:
 では、事務局長・小川榮太郎より視聴者の会の今後の方針などにつきまして、発言がございます。

小川:
 時間も迫っておりますので、簡単に締めさせていただきます。

 まず、視聴者の会、二期目に入りまして、先ほど声明で読み上げましたが、これは国連をある意味で悪用したものだと私は思います。国内の問題をですね、国際機関とキャッチボールしながら世論誘導した今回のこの件、私は絶対に許す気は無いです。その構造を認めた上で、今日、何故記者会見を中間報告の段階であえて先にしたかということを申し上げます。

 日本の報道というのは、出てしまうと追随するんですね。そして、検証機関ではなくて、洗脳機関になってしまう。ですから、報告が出る前に、報告の虚偽性について明確に申し上げました。

 今後もこの点については各報道機関やジャーナリストの皆さんに対して、公開できちんとこれを取り上げる正当性について問いかけ続けます。

 また、この件に限らず、我々のひとつのやり方として、報道機関及びジャーナリストの皆さんと、出来るだけ公開討論、あるいは公開の雑誌対談やインタビューなどの形で、意見が異なるもの同士、この言論の自由の問題を語り合っていきたいと思っております。

 「言論の自由が脅かされている」と言っている人が、言論の場に出てこないという、これはあまりにもおかしな話です。参考に、私から先述の岸井さんに出した手紙が皆さんのお手元にあるかと思いますので、あとで見ていただければと思います。

 彼はあちこちの講演で、我々の運動について批判をしていらっしゃる。「気持ち悪い目の広告を出した人達」というのがひとつと、あと「知性と品性のかけらも無い人達」と。私どもは日本中で「都政と品性の無い人達」と宣伝されているんですけれども。

 同時に彼は、「彼らには反論しない」と仰っています。「多くの方達から「反論するな」とアドバイスされているので、自分は反論しないんだ」ということを、講演の先々、早稲田大学でも私の母校である大阪大学の講演でも、他にも長崎や沖縄の講演でも、そういうふうにスピーチしておます。全部うちは関係者が日本中におりますので、把握をしております。

 こういうふうに、行く先々で「答えない」と言いながら講演をして歩いていて、これでジャーナリストと言えるのでしょうか。自分の方は取材対象に対して、人の人生を追い込んでいくようなことを平然とするわけです。

 私はやはり、言論人は自分が土俵に立つか、そこに立つ勇気がなければ職を辞して、引退していただくべきだと思います。

 岸井さん個人だけを私の中で、あるいは視聴者の会で問題にしているわけではありません。けれども、ひとつの象徴的な方、象徴的な事例として、公開の議論を呼びかけ続けていこうと思っております。

 また、この1年幅広く公開の議論を、相当数呼びかけ続けてまいりましたけれども、これからも3対3、1対1など、いろんな形態でこの問題について議論をしていきたいと思います。

 そして、放送法4条。これは極めて国民常識に適ったものだと思います。政治的公平性、あるいは事実を曲げずに報道するという、ごく常識的な報道が実現され、両論併記あるいはディベート的な討論がテレビの画面で活発になれば、国民が自ずから政治判断をすることができる。

 そういう自由な言論空間を目指して、二期目も活動を展開していきたいと考えております。私からは以上です。

他国と比べて日本のランキング評価は妥当なのか

司会:
 それではこれより質疑応答に移らせていただきます。ご質問のございます方は挙手のうえ、質問の前に所属とお名前をお願いいたします。

質問者1:
 「放送の自由度ランキング」にちてお尋ねしたいのですが、日本が72位であることに対して、タンザニアの順位などについて少しご指摘がございましたが、他国と日本の比較において、このランキングの妥当性についてどう思われているかを、もう少し詳しくご指摘願えますでしょうか。

山岡:
 それは私の方からお答えしたいと思います。日本よりも上位にどんな国があるかと申しますと、まあ70カ国もあるのでたくさんあるのですが、例えば58位にエルサルバドルが入っています。

 この国に対してどういう論評がウェブサイト上で書かれているかと言いますと、「世界で最も危険なこの国において、メディアは広範囲な暴力の被害にあっている。近年数人のジャーナリストが殺されたり襲われている。2014年に大統領となったサルバドール・サンチェス・セレンのもとで、情報の自由は失われた。政府の不正や財政を調査しようとするジャーナリストは脅迫されている」と、こう書いているんですね。

 それからディズニーのアニメにもありました、マダガスカルという国は56位と随分上にランキングされています。ここには「民主的議論は引き続き限られている。2013年の選挙に際しては、多くのメディアが検閲を受けたり閉鎖させられた。民間メディアと特定の政治家達の関係が露骨であった」とあります。

 ずっと上にいきまして、26位にガーナという国が入っています。こちらには「2014年、西アフリカメディア基金は9人のジャーナリストへの物理的攻撃、数件の逮捕や新聞社への踏み込みを記録している」と、こんな感じで書いてあります。

 じゃあ日本についてどう書いているか。
 実はですね、「日本のメディアは正解でもっともパワフルであり、国家機密を除いては自由に報道できる」と。「国家機密は曖昧な定義であり、非常に厳しい法律がジャーナリストの調査を非常に難しくしている」……これは特定秘密保護法のことだと思うのですが。また、「国家機密に含まれるものは、福島原発事故、皇室の私生活、そして防衛などである」とあります。

 つまり、全然逮捕とか暴力だとか、そういうことは一切書いていません。むしろ実際には、世界で最もパワフルなんですけどこの新しい法律が引っかかって72位になってしまったということで、日本より上位には、非常に暴力的で明らかに言論の自由の無い国がいっぱい来ていると、こういうことなんですね。

質問者2:
 デイビット・ケイさんが、報告書をこれからまとめるということだと思うんですけども、「視聴者の会」としてアプローチをされるのでしたら、批判するというのももちろん大事なことだと思うのですが、日本についての報告書の内容を少しでも良くしてもらうように、皆さんで働きかけをしては。

 つまり国連が反日勢力と組んで「日本がダメだ」という報告書ばかり出させていると。だったら、民間でも働きかけることはいくらでも出来るわけですから、報告書の内容に影響を及ぼすような働きかけをすることも運動としてありなんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

小川:
 そちらも充分検討しています。

山岡:
 それについては私からも補足させていただきます。例えばさっきの特定秘密保護法に関する指摘などは、潜在的な問題に対する指摘だと私は読むわけなんですね。

 ですから、それをもって、即日本の言論の自由がのっぴきならない危機にさらされているという論理にはならないと思われるけれども、しかし潜在的な問題について指摘するのであれば、それは膝をつきあわせて議論すればいいわけです。

 その点についてケイ氏は大変一方的な、先ほど説明したような経緯で一方的な見解をお持ちのようですので、丁寧な議論をしていきたいと思っております。

小川:
 すでにケイ氏から出ている、この中間報告に対するひとつひとつの項目についての、非常に詳細な事実関係の確認と、反論と言いますか、対話が可能な反論の仕方でありますけども、これについては今精密な議論を組み立てているところです。

 反論・批判といっても一方的に「あなた方は間違っている」というものではなく、緻密な形で対話を開始していく、基本的にはそう考えていると、ご理解ください。

司会:
 はい、では他にいらっしゃいますでしょうか。いらっしゃらないようでしたら、これにて記者会見を終了します。それでは本日はどうもありがとうございました。

「報道」の最新記事

新着ニュース一覧

アクセスランキング