三十路を迎え悲観する大人に疑問。“20代までが人生”と思わされ過ぎだし「何も知らなかった20代」が素晴らしいという事はないんじゃない?
『30過ぎてわかった事』とタイトル付けられた、2ちゃんねるのスレッドが話題に。「テレビやゲームは時間の無駄」「最終的には真面目な奴が、勝つ。」「大切なのは金よりも、健康」と様々な意見が寄せられました。
4月5日配信の『ニコ論壇時評』では、漫画家の山田玲司氏が上記の話題について言及。「この国って20代までが人生と思わされ過ぎているんだよ。」と語った。
健康面、金銭面に気を使うようになったという意見が多かった
乙君:
「テレビやゲームは時間の無駄。」「健康の大切さに気づいた。」「若いというだけで、東大卒と同等かそれ以上の価値がある。」「若さというものが、どれだけ尊かったかとかに気づいた。」とか、「歯は大事にした方がいい。」とかそういうのが多かったということなんですけども。
山田:
なんか、変わった?
乙君:
僕ですか? いろんなことが楽になりましたよね。30歳を超えて。簡単に言うと、孤独に慣れた。大丈夫かな。「しょうがないよな」っていう諦めがついた。人への執着心とか、だけどつながっている人は大事にしようみたいなことは、いろんなことから思って。
玲司さんはどうだったんですか?
山田:
それがね。今に至るまで、ずっと戦闘態勢に生きている感じがあるわけ。旅の途中だし。だから、別に何か変わるわけでもなく、別にそんな。そんなことよりも、漫画が売れるか売れないかで、人生が変わるので、漫画家というのは。だから30歳に境はなかったなって感じがするなって思うんですよ。
乙君:
玲司さんの30代の頃と違って、今はまた社会状況も違うから。
山田:
30代になる頃に、バブルが崩壊していますからね。
「何も知らない20代」が素晴らしいという事は無い。
乙君:
ここにありますけど、「最終的には真面目な奴が勝つ」とか、「大切なものは金よりも健康」って、めちゃくちゃ当たり前のことに着地するのが面白いなと思って。
山田:
なんかさ、この国ってさ、20代までが人生と思わされ過ぎているんだよ。20代が終わるともう何もかも終わるんだ、みたいな雰囲気になりがちなんだよね。それってさ、就職しちゃって、忙しくなっちゃって、結婚なんかすると、もう自分の時間なんかないっていうのが、背景になってると思うんだけど。
実際のところさ、20代素晴らしいなんて言うじゃん。素晴らしくないからね。何も知らないし。ただのバカだし。
乙君:
そうですね。
山田:
20代に持っていたものみたいなものがあって、それに頼っていたことに気がつくというのが、30代であるっていう話だと思うのね。例えば、「テレビゲームは時間の無駄だ。」というのは、後でわかる。これはさ、20代10代ってさ、時間って無限にある感じがあるからなんだよね。
乙君:
無限にありましたねー!
山田:
ね! 大学生の春休み思い出すよね。
乙君:
思い出しますね。
山田:
何年続くんだ、この休みは? みたいな(笑)。なんでこんなに何もしなくていいんだ? みたいなそういう時期があったんだよな。それをバイトで埋めるみたいな感じでさ。
そんな時間が無限だった、特に精神的にも、身体的にも、時間の流れがゆっくりだから、子供の時の夏休みが長かったみたいなことと一緒で、大学時代ってやっぱり、長く感じているんだよ。
乙君:
そうなのかなー。
山田:
そして社会人になって生活がルーティーンになってくると、時の流れが速くなる。歳をとるごとに、1年が早くなってくるということがあって、そこで時間は無限じゃないんだということに気がつくのが30歳くらいなんだと思う。
乙君:
そうですね。
山田:
その時にハッ! と気がつくんだよ。「あの時間はどこにいっちゃったんだろう?」と振返った時に、「ゲームやっていたんだ、おれー!」 となって、凹むというのが、1個あると思うんだよ。それを後悔していると「健康イイよな」みたいなこと言いだす。