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平成のアイドル史を総ざらい! モー娘。ももクロ、AKB…アイドル冬の時代から現在に至るまでの30年を徹底的に解説【話者:久田将義・南波一海・吉田豪】

 今年の春で平成も終わりを迎えます。久田将義氏吉田豪氏がパーソナリティをつとめるニコニコ生放送「タブーなワイドショー」。今回の特集は「平成のアイドル史振り返り」です。

 ゲストに音楽ライターの南波一海氏を迎え、昭和後期から現在までの平成の時代に活躍したアイドルの歴史について語りました。吉田氏は、平成アイドルは「AKBでビジネスとして大きなものになって、ももクロのおかげで地下もどんどん増えてジャンルとして面白くなった」と語りました。

左から久田将義氏南波一海氏吉田豪氏

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平成アイドルの歴史――「おニャン子クラブ」以降がアイドル冬の時代だった

吉田:
 平成は30年以上あって長いから簡単には説明できないんですけど、この年表でいえばまず『夕やけニャンニャン』【※】が平成じゃないですからね。アイドルの歴史でボクがよく言うのが、もともと昭和のアイドルというのは、不良が権力を握っていた時代がずっと長くて、コンサート会場でもテレビの公開収録とかでも親衛隊が現場を制圧していたんですよ。問題になるオタは不良が排除していた時代があって、おニャン子クラブの時期がそのピークで、その後にアイドル冬の時代が訪れるわけです。

※夕やけニャンニャン
バラエティ番組、通称『夕ニャン』。1985年4月1日~1987年8月31日にかけて放送された。番組内の「アイドルを探せ」というコーナーのオーディションに合格した女性は「おニャン子クラブ」としてデビューし、レコードはオリコンウィークリーランキングの上位常連となった。新田恵利や国生さゆり、城之内早苗、渡辺美奈代、渡辺満里奈、工藤静香、生稲晃子などのメンバーは、現在も芸能界で活躍している。

 小泉今日子が『なんてったってアイドル』でアイドルのネタバラシ的なことをやって、おニャン子がアイドル幻想を破壊するようなことをやって、要は秋元康によってアイドル冬の時代が訪れ、不良がアイドル現場から離れていった。そして、カメラ小僧とか、今につながるいわゆるインターネット的な人種、当時は同人誌文化とかですけど、そういう人たちがファンの中心となる時代になって、しばらく下火だったのが、モーニング娘。【※1】でブームが一回高まり、それが落ち着いた頃にAKB【※2】でさらにドカンときて、客層がもう一回変わる時代がくる。

 その時代まで、まだおニャン子でアイドルを追っていた40歳ぐらいの人たちが客層の中心だったんですよ。ファンの高齢化が深刻になっていたところで、AKB効果でピンチケ【※3】と呼ばれる若い層が入ってきた。ところが、ピンチケって呼ばれるている中には常識のない人も多くて、それまでのアイドルオタとはかなり違ってトラブルも増えてきた。そして、それまでは収入は全部アイドルのために使って自分の身だしなみとか気にしない人が多かったのが、AKBの握手会とかで、まずトイレで握手の前に髪の毛を整えていいにおいさせてみたいな、アイドルを付き合える対象と認識している人が、そこで増えたんです。

※1モーニング娘。
女性アイドル・ボーカル&ダンスグループ。ほぼ全楽曲の作詞・作曲を同グループの生みの親でサウンドプロデューサーのつんく♂氏が手掛ける。過去には『NHK紅白歌合戦』に10年連続出場した。

※2AKB
AKB48。秋葉原に専用劇場を持ち、「会いに行けるアイドル」をコンセプトとして日替わりメンバーで、ほぼ毎日公演を行うことを特徴としている。公演は全てオリジナル曲で行われ、一部の楽曲を除き、総合プロデューサーの秋元康氏が作詞をおこなっている。

※3ピンチケ
AKB48劇場で販売される中高生向けのピンクのチケット(一般男性は青色のチケット)のこと。 中高生は、学生証を見せることで3100円の公演を1000円安い2100円で見られる。

 実際にそれでピンチケとアイドルが付き合うケースも増えたし、若いファンが地下アイドル現場にも流れてきてシーンが活性化されたのはいいことだけど、ファンとの恋愛トラブルとか現場での暴力沙汰とかも増えてきて。だから親衛隊以来、またアイドル現場が不良の時代になったとも言えるんですよ、ある意味。

久田:
 今も?

吉田:
 そうですね。ピンチケの悪いやつが各地に流れていったことによって。

久田:
 不良って、本当の不良ってこと?

吉田:
 そんなに本格的な不良じゃないんですけど、要はアイドルはヤンキー文化のものだったのが、またある意味ちょっとヤンチャなやつらが暴れる世界になってきた。要は最前列を確保するために他のおとなしい客をぶん殴ったりとか、そういうやつらがアイドル現場で出てきて、それまでの草食的な人たちとの激突というか溝がどんどんできているのが現在ですね。

久田:
 面白い。

90年代は歌手だけじゃなく、グラドルや女優がCDを出すことが多かった

南波:
 歌手のアイドルみたいな、歌うアイドルみたいなものの一方で、それこそグラビアアイドルみたいなのが広まっていったのが……。

吉田:
 平成ですね。アイドルって、もともと歌手デビューしたというかシングルの発売日をデビューの日づけにするルールだったのが、その辺が曖昧になってくるんですね。グラビアでずっと活動してきた人が、かなり経った段階でCDを出すとかで。

南波:
 そうそう。

吉田:
 歌手デビューがそんなに大きな意味を持たなくなってきて、そもそも歌手デビューしないとかも出てきた。

久田:
 それもアイドルか。

吉田:
 そうです。昔はレコ大【※】がもっと重要な時代だったから、何月何日デビューから何月何日デビューまでが新人賞の対象とか、いろいろ厳密だったのが、レコ大の権威もなくなっていって、グラドルが何となくCDを出す時代、女優が何となくCDを出す時代っていうのが、アイドル冬の時代の別の一面でもあるんですよ。

※レコ大
日本レコード大賞。スポーツ紙を含む各新聞社の記者が中心となって決定する賞である。主催は公益社団法人日本作曲家協会、後援はTBSであり、受賞の様子は『輝く!日本レコード大賞』としてTBSテレビ・TBSラジオとその系列局によって放送される。

久田:
 グラドルのCDって誰がいます?

南波:
 だから、それこそ雛形あきこがaccessの浅倉大介プロデュースでCD出すとか。

雛形あきこ『笑顔の予感』
(画像は笑顔の予感 | 雛形あきこAmazonより)

 僕が高校生の時は、それこそ内田有紀とか。

内田有紀『TENCAを取ろう!』
(画像はTENCAを取ろう!ー内田の野望ー Amazonより)

吉田:
 歌手・内田有紀は最高でしたよ。

久田:
 内田有紀歌うまかったですよね。

吉田:
 誠実な感じの歌声で、いい女優ソングでしたね。(コメントを見て)広末涼子も、もちろんそうですよ。

久田:
 『MajiでKoiする5秒前』はよかったですよね。

広末涼子『MajiでKoiする5秒前』
(画像は MajiでKoiする5秒前 | 広末涼子Amazonより)

南波:
 あと何となくですけど、鈴木蘭々とかもアイドル枠だった気がします。

鈴木蘭々『泣かないぞェ』
(画像は泣かないぞェ | 鈴木蘭々Amazonより)

吉田:
 デビューアルバム最高!

南波:
 そういう女優とも違うぐらいの、あの辺りの人たちが歌を出すみたいなのが、結構多かった気がしますね。CoCo【※】とかの解散がその辺かな、それとクロスフェードするみたいな感じで、そっちが出ていったような印象はありますけどね。

※CoCo
1989年、フジテレビのテレビ番組『パラダイスGoGo!!』内の乙女塾から誕生した、女性アイドルグループ。当初メンバーは5人だったが、1992年に瀬能あづさが脱退し、その後は4人で活動を続け、1994年に解散。

CoCo『夏の友達』
(画像は夏の友達 | CoCoAmazonより)

吉田:
 今、コメントに『泣かないぞェ』って単語がいっぱい並んでいますけど、鈴木蘭々の『泣かないぞェ』はタイトルのせいでみんな半笑いになっていまでもいじられてるんですけど、大人が付けたひどいタイトルかと思ったら本人作詞で。「何だこれ?」って思いがちなんですけど、あれ実はものすごい重い歌詞なんですよ。

生放送のコメントに「泣かないぞェ」というコメントが寄せられた。

 鈴木蘭々の家庭、お兄ちゃんがちょっと病気持ちで、外に出られないぐらいの状態で、若くして亡くなっちゃって、それを踏まえて私は自由にやらなきゃみたいな感じのことを歌ってるんですよ。どんなにつらいときもパンチでいくぞ、だから『泣かないぞェ』っていう、本当にすごい泣ける歌詞なんですよ。

 ところが、普通にやれば泣ける歌詞なのに、つい最後に照れなのか“ぞェ”をつけちゃったせいで、みんなに笑われ続けているという。

一同:
 (笑)

南波:
 筒美京平プロデュースでね。すばらしかったんですけどね。90年代半ばですよね。

吉田:
 そうです。楽曲最高! 広末涼子もよかったですよ。売れる前の椎名林檎とかが曲を書いていて……。ただ、2000年代後半ぐらいですかね。宇多丸さんがアイドル時評的なアイドルレビューを『BUBKA』でずっと連載していて、ろくな音源がリリースされなくてネタに困った時期があるって言ってるんですけど、モーニング娘。バブルが終わったあとの第2の冬の時代みたいなのがきつかったんですよ。

雑誌『BUBKA』にて連載されていたRHYMESTER・宇多丸氏によるアイドルソング時評『マブ論』
(画像はライムスター宇多丸の「マブ論 CLASSICS」 アイドルソング時評 2000~2008 Amazonより)

 基本グラドルがアニソンのトランスカバーみたいなものを、セクシャルなDVDとセット2000円ぐらいで売るっていうひどいビジネスぐらいしか成立しない時代っていうのがあって、ボクもDVDとか要らないのに、一生見ないのにとか思いながら泣く泣く買って、それで曲がまた大体クソなんですよ。南明奈の『一休さん』とか……。

一同:
 (笑)

吉田:
 本当に雑なトランスカバーで、こういうのやめてほしいと思いながら。たまにそこに紛れて当たりがあるから買うしかなくて、つらい時代だったんですよ。

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