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「汽車を素手で止める」「車を持ち上げる」アメコミ『スーパーマン』にマシンと戦うシーンが多いのは“仕事を奪う機械”に対する恐怖の表れだった

💡ここがポイント

●「人間の仕事を奪う人工知能」について議論。
●『母をたずねて三千里』『スーパーマン』などのワンシーンなどを例に、人工知能の歴史について解説。
●岡田斗司夫氏は「スーパーマンは、機械に対する人間の優位性を示している」とコメントした。

 毎週日曜日、夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。8月5日の放送では、新井紀子氏の著書である『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』をテーマに、パーソナリティの岡田斗司夫氏が、人工知能とその未来について語りました。

 この中で、岡田氏は『母をたずねて三千里』や『スーパーマン』などの作品を例に、かつての産業革命期人間が機械に対して感じた恐怖について解説しました。

岡田斗司夫氏

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現在も“完全な人工知能”は完成していない

岡田:
 “人工知能”という概念が生まれたのは1950年代。まあ、「元を辿っていくとデカルトだ!」と言う人もいるんですけど、概ね1950年代と言われています。第2次大戦で発明された“原子爆弾”と“コンピューター”。この2つから生まれた鬼子みたいなものなんです。

 原子爆弾の破壊力の計算や、大砲を撃った時の弾道計算を行わせるために、コンピューターというのが開発されたんですけど、これが本格的に発達した1950年代には、わりとすぐに人工知能という言葉が生まれて、その可能性が議論されるようになりました。

 これが“第1次人工知能ブーム”です。これまでの歴史上、人工知能ブームというのは3度訪れています。その1回目が1950年代。「これからはコンピューターで何でも出来るのではないか?」、「未来は全て機械で計算できるようになるんじゃないか?」と言われていた時代です。

 その後、1980年代後半から90年代前半に掛けて、“第2次人工知能ブーム”が起こります。

 IBM社の“ディープ・ブルー”というコンピューターが、人間のチェスのチャンピオンを破ったことを契機に、一斉に人工知能ブームが起こりました。当時、日本では“第5世代コンピューター”の研究というのをやっていた時代ですね。

 そして、現代2018年は、ちょうど“第3次人工知能ブーム”ということになっています。“シンギュラリティ”とか“ディープ・ラーニング”とか、そういう言葉が巷にも溢れています。

 しかし、第1次、第2次ブームの度に、人類は人工知能に対して「これ、行けるんじゃないか?」と大いなる期待を持ち、その後、「やっぱりダメだったか……」という苦い失望を繰り返しているので、「今がちょうど第3次ブームの頂点で、これから先、それと似たような失望が来るんじゃないか?」と言っている人もいます。

 そして、2018年の8月現在、人間に匹敵する、人間を超える、もしくは人間に近づくような人工知能は生まれていません。

1960年代から「あと30年で人工知能が完成する!」と言われ続けている

 1960年代に、マービン・ミンスキーという人が「あと30年で人工知能は完成する!」と言いました。しかし、1970年代になっても、80年代になっても、彼が予想したような人工知能の流れは来ず。マービン・ミンスキーは、その後も「あと30年!」と、延々と言い続けました。

マービン・ミンスキー

 マービン・ミンスキーには子供が3人いたんですけど、彼の娘であるマーガレット・ミンスキーもメチャクチャ頭が良くて、大学で人工知能に関する教授になり、父親の後を継ぎました。この人も「あと30年!」と言い続けているんですね(笑)。

マーガレット・ミンスキー

 つまり、昨今よく言われているような「あと30年で人工知能にすごく大きい波が来る!」とか、「人間の言葉を100%理解するAIが誕生する!」という言説は、実はこのマービン・ミンスキー教授が1960年代から言い始めていたことなんです。

 そして実は、現代のAIというのは、60年代から抜本的な進化を遂げてはいないんですよね。いや、“進歩”はしてるんですよ? でも、抜本的な進化に必要な数学上の進展というのが起こっていないというのが、現状だと思います。

 ただ、面白いのは、マービン・ミンスキーが人工知能の可能性を語り出した、そのすぐ後に「人間はコンピューターに支配される!」という言説が現れたということなんです。

 では、なぜ、人工知能ブームが起こると、すぐに「仕事がなくなる!」とか「機械に支配される!」みたいな本が、本屋さんにいっぱい溢れるようになるのか?

 それが、今回の最初のテーマである「機械に仕事が奪われる?」というお話です。

「AIへの恐怖」の根源は『母をたずねて三千里』に描かれている

 さて、ここからは話がちょっと古くなります。時は19世紀末、1882年イタリアのジェノバの話です。

 この年、イタリアのジェノバに暮らしていた9歳の男の子が「学校を辞めて働こう」と決意しました。これは誰のことかというと、マルコ・ロッシ君という『母をたずねて三千里』の主人公です

『母をたずねて三千里』
(画像はAmazonより)

 19世紀のイタリア・ジェノバで、マルコ・ロッシのお父さんのピエトロ・ロッシは、貧しい人たちへの病院を経営していたんです。しかし、この病院が経営破綻して、倒産しそうになったので、マルコのお母さんであるアンナ・ロッシは、アルゼンチンのブエノスアイレスに出稼ぎに行くことになってしまいます。まだ9歳の子供だったマルコ・ロッシ君はお母さんを恋しく思います。

 ところが、お母さんが旅立ってから数ヶ月もすると、それまでアルゼンチンからしょっちゅう届いていた手紙が、だんだんと滞るようになってきて、やがてパッタリと届かなくなってしまいます。それと同時に、お父さんに仕送りしていたお金も来なくなってしまうんですね。

 マルコはすごく心配して、友達だったエミリオ少年に頼んで、瓶洗いの仕事を紹介してもらいますが、瓶洗い業の元締めのジロッティーさんからは「子供がそんなに働けるもんじゃない。瓶洗いってのは大変なんだ」と言われてしまいます。

 でも、マルコは子供なりにすごい頑張って、中庭中に置いてあった空瓶をゴシゴシ洗って、ジロッティーさんをビックリさせるんです。ジロッティーさんも「これだけ働けるんなら使ってやろう」ということで納得し、1882年のイタリア・ジェノバの港町で、わずか9歳のマルコくんは、学校に通いながら、放課後は瓶洗いをして、お父さんにお金を渡そうということになりました。

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