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ナーブギア・オーグマーは基本的に実現不可能ではない。『ソードアート・オンライン』劇場版監督とVR研究者がSAOの可能性を語る

 劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』公開を記念して、特別トークショーが開催された。劇場版の監督である伊藤智彦氏とVR/MRの研究者である立命館大学・映像学部教授大島登志一氏がSAOの世界観を絡めながら現実世界のVR・AR機器の現状とこれからについて語った。

 バーチャル世界にフルダイブするVR。リアル世界VRでは多少脳を「勘違い」させることはあっても、完全に意識を遮断することはないと指摘する大島教授。これに対し伊東監督は「モンスターの攻撃を受けてほんとに痛かったら嫌じゃないですか」と本音を漏らし、会場の笑いを誘った。


左から、大島登志一教授、伊藤智彦監督。

ナーヴギアとは

伊藤:
 映画のあらすじを簡単に説明すると、近未来ソードアート・オンラインというVRMMORPGゲームが発売されて、主人公キリトとヒロインのアスナさんを中心に、そのゲームに携わった人をめぐるドラマという内容ですね。

司会:
 ありがとうございます。では、最初のトークテーマはこちら「ナーヴギアと現代のVR」アニメ版ではVRデバイスであるナーヴギアが登場していましたが、伊藤監督、このナーヴギアはどういったものなんでしょうか。

伊藤:
 ソードアート・オンラインというゲームをやるために必要なVR機器です。これを被ってベットに横たわりながらプレイすると、脳の意識をカットしてくれて、「手を動かそう」という思ったらゲーム中で手が動く。そういう夢の機械です。上段に出ているのがナーヴギアの写真。

大島:
 左下が1989年に実際にVRという機械が出来た時の様子ですけど。右側が2016年、市販製品として発売になったオキュラスリフト製ですけど、四半世紀超えても同じスタイル。技術的には当初から確立してたんですよ。

リアル世界のVR機器

伊藤:
 バーチャルボーイとかもこのへんなんですかね。

大島:
 あれは任天堂が(笑)。

司会:
 始まりはNASAからだったとお聞きしたんですけど。

大島:
 ナーヴギアって、二つの使われ方をしたと思うんです。ひとつは没入世界を体験すること。もうひとつはユーザインターフェース 。コンピュータとのやりとりとのための、インターフェースを使ってたと思います。当初想定されてたのはユーザインターフェースなんですね。ソードアート・オンラインの中でふたつのモードが存在するんですけど、そこは意識してたんですか?

伊藤:
 そうですね。ただまあゲームをやるに至っては、二つともやらないとどうしようもないっていうのがあったので。結果的にそうなってるというのが正しいです。

VRとARの違いとは?

司会:
 では続いてのトークテーマはこちらです。「オーグマーとARの世界」今回の劇場版では、ARマルチデバイスオーグマー専用のMMORPGオーディナル・スケールがストーリーの軸にありますが、伊藤監督、オーディナル・スケールや、オーグマーについて簡単にお話いただけますか?

伊藤:
 先程のナーヴギアのゲームは完全に意識下をカットしてやるゲームなんですけど、オーグマー、ARを使ってのゲームは自分の体を動かしてやらないといけない、というのが大きなところですね。ちょうど昨年「ポケモンGO」が大人気になったので、すごくみんなに説明しやすくなりました。あんな感じで動いて何かを得るというのが直接的に結びついているゲームなんじゃないかな、と思いながら製作しておりました。

 実際に体を動かさなければならないという都合を、どうやって武器を持ったり攻撃するのか、というところが課題としてありました。東京のお台場にある科学未来館を取材したりして、色々ヒントもらったりしました。

司会:
 ありがとうございます。VRとARの違いって何でしょう? 教授どうでしょう?

大島:
 皆さんと一緒に伊藤ワールドを楽しむための概念・関係性を確認しましょうか。右下がリアル、左上がバーチャル、と書いてあります。これを軸として見た時に、左上がバーチャルリアリティ、右下がウェアラブル。最近みなさんも聞いたことがあるでしょう。リアル世界での活動を主体としたウェアラブルコンピューターというのがあるんです。ソードアート・オンライン、ナーヴギアというのが左上のバーチャル世界にフルダイブするという話ですね。こうすると中間のAR、この部分がオーグマーで体感できる世界ですね。

VRとARの関係性図

伊藤:
 そうですね。結果、当初右下あたりのものを想定していたのですけど、結果真ん中くらいになってるような印象を後になってみんなに言われました。劇中やPVでも出てましたけど、テレビから恐竜がぴょんと出てきたり、雪山に登ってたと思ってたら四畳半のアパートだったとか。そのへんが当初のARと一番近いんじゃないかと思ってました。

 劇中だと秋葉原を舞台に戦っていたりするんですが、「そこの視覚が塗り変わっていく」みたいな描写をやった時に、真ん中みたいな印象で見られてしまったのかなと。

大島:
 リアルとバーチャルを一つの軸と見た場合、いくつかの段階があるんです。今回、伊藤監督の世界にはARというキーワードを主に出してますけど、テクニカルにはその中間で、VRから進化した所をミクストリアリティ、ウェアラブルから進化したところをAR。双方が重なってるので、リアル、プラス、バーチャルで、どちらかというとバーチャルに近い方のARを描いている気がします。

伊藤:
 そうですね。それもこちらとしてはあまり意識してないんですけど。たまたまヒントとしたやつがそういう事例が多かったのかもしれないですね。

司会:
 当初は全くの想定外だったというわけですね

伊藤:
 そうですね。ARという呼称を最近聞いてしまったので、ああ、我々がやってたのはそれなのかもしれないと。AR、ARと言うけど、違うかもしれないという恐怖が僕の中にのしかかってたんです。

司会:
 ではお、話が盛り上がってきた所なんですが、伊藤監督に劇場版の見所をたっぷりとお聞かせいただいてもよろしいですか?

伊藤:
 ラストのアクションバトルは、すごいのでご注目してほしいです。ARというガジェットをある程度使っているので、今まで主人公キリト君はVRで、「超強い」という「キリトさんスゲー」という名文句がありますが、あの通りに強いキャラクターだったわけです。でもARは強くないんですよ。彼がどう強くなるのかというのに注目していただければ。

映画の見所について語る伊藤監督。

ナーヴギアの実現の可能性は基本的には可能。

司会:
 では大島教授にも質問していいですか? ARやVRの話があったんですが、オーグマーの実現の可能性、実現にあたって必要な技術など教えて頂ければと思います。

大島:
 実はオーグマーの実現可能性以前に、ナーヴギアも皆さん興味あるんじゃないかと。

伊藤:
 僕もありますよ。

大島:
 おそらく実際のバーチャルリアリティの世界で、やることとやらないことがあると思うんです。やらないことをあえてifとして、ストーリーに盛り込んだと思うんですよ。というのは、リアルなVRでは技術的な感覚体験とか、自分の運動感覚の拡張とか、多少「勘違いさせる」というのをやる。

 それくらいのことはやるんだけど、感覚の遮断というのはやる意味があるのか。そういうことからはじまって、リアルの研究のところでは、感覚の遮断っていうのはたぶんやらないのです。そこをあえてやるのがフィクションのおもしろいところだと思います。

伊藤:
 まあ普通にゲームやって、モンスターからダメージがあったら痛そうだから(笑)。それはなるだけ痛くないようにして欲しいとは思います(笑)。

大島:
 なので、まずナーヴギアの実現の可能性は感覚の遮断、それから運動の信号の遮断をするかしないか。というところです。

伊藤:
 じゃあしなかったら、わりと簡単にできちゃう?

大島:
 あまり無責任なことは言えませんけど。とあるSF作家が「基本的に不可能なことはない」と言ってます。それはいつ実現するかわからないけど、可能ではある、ということ。

伊藤:
 そうですね(笑)。意外と10年後はわからないですけど、20年後にはできるという説もあったりしますからね。

大島:
 一方ナーヴギアの方に行くと、オーグマー起動なんていってね、別のものに入っちゃうので、あっちの方は僕にはよくわからないんだけど、遠隔から情報を取り込むとか、ああいうメガネ型のディスプレイ装置をイメージできるな、と。公式のホームページを見ると、ダイレクトスキャニングと書いてある。あれの想定は?

伊藤:
 一応先端にカメラがあって、そこから透写するという設定になってます。デザインしてくれた人がこうするといいですよと言ってくれたんです。実際にそういう研究があるみたいで。カメラの小ささはいくらでも小さくなるので大丈夫ですと。その言葉を信じて作りました。

大島:
 たぶんそれは正しくて、網膜操作型ディスプレイって実際にある。レーザーを目に照射させるんです。おそらくそれを意識してあのデザインにしたのかなと。ただあまりにも近すぎるので、おそらく勝手な想像ですけど、主人公たちは、コンタクトレンズしてるのだろうと。

リアル世界でのオーグマー実現について語る大島教授。

伊藤:
 それはぼやかしておきますけど(笑)。

大島:
 おそらくコンタクトレンズがホログラムになってて、いったんレーザーを当てて屈折させる。と想像するんですけど。

伊藤:
 なるほど。それは想定してませんでしたが(笑)。『ミッションインポッシブル・ゴーストプロトコル』でありましたね。コンタクトレンズは。

司会:
 ありがとうございました。ソードアート・オンラインの様な、オンラインゲームがあったら、お二人はどう楽しみますか?

伊藤:
 僕は実はあまりゲームしない派なので、単純にやってみたくはあるけど、戦闘には参加せずに、まったりと昼寝を楽しみたいです(笑)。あるいはそこで宿題をしたり。

大島:
僕も、ゲームはあまりしないほうなんですけど……。みんな何故あんな戦いたいのだろうと。若い人たちはなんで戦いたいのだろう? と。

伊藤:
元気なんですよ(笑)。

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