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「アニメ・漫画の棲み分けをボーダーレスに」──『ペルソナ5』デザイナーが語るシリーズのデザイン論

「個性的な絵≠自分が描きたい絵」どの嗜好の人にも受け入れられる努力を

椿:
 副島さんと名越さんがお互いに聞いてみたいことがあれば、ぜひぜひ。

副島:
 新しいタイトルを作る時に、ビジュアルってどこから取っ掛かりを付けて作りますか?

名越:
 どこから取っ掛かりを付けて作るか……。

副島:
 チームで共有したりとか、あとは自分で考えまとめたりする時に、どのへんから入っていかれることが多いですか。自分は絵を描きはじめてしまったりするんですけれども。

名越:
 なるほど。今はさすがに自分では描かないので、どっちかと言うと、僕はリアル系の作品が多いからイメージですよね。背景にせよキャラクターにせよ、それぞれ自分が思った形を具現化してくれるスピードの早いやつ、信頼が高いやつがいるわけですよ。そういうやつに頼んで。最初は少人数なんですよ。

 「ああでもない、こうでもない」って作ってもらったものを「なんか違うな」とかいうことのトライアンドエラーでしかないので、僕もそれは元がデザイナーだからだと思うんだけれど、結局はシナリオを書くけれど「こんな場面を作りたい」っていうドラマのハイライトの羅列を紡いでいるにすぎないですよね。

 だからそこは絵から入っていくのは間違いない。そういうのはそういう人であってほしいし、そのキャラクターはこういう性格やニュアンスであってほしいしみたいなところを、だんだんブレイクダウンして現場の仕事になっていって、「これがいい」だの「違う」だのに考えていくのが手順なのかな。

 逆もありますよ。現場のほうがアドオン【※】して作ったアイデアのほうがすごくよくて、急に魅力的に見えて、役割を変えて……。

※アドオン
add on.追加。

椿:
 そういうのもあるんですね。

名越:
 僕はぶっちゃけ上の位置にいるので、シナリオを変えることも自由なので。だからそれは僕は自由自在に操ればいいと思っているんですよ。決まったものがあって決まったものなりにできたものをただ置くだけじゃなくて、その過程の中で急にいいものができる場合だってあるから、それをもっと活かしたいなって思うことってあるでしょう?

 それはそれを活かすようにシナリオを変更すればいいだけの話だから。それは結構やりますね。

副島:
 結構フレキシブルというか。

名越:
 現場は困りますよね(笑)。

一同:
 (笑)

椿:
 いきなり「このキャラクターを増やしたいから変更な」って言われたら……(笑)。

名越:
 「は?」って(笑)。ご経験があると思いますけれど。

副島:
 多々あります(笑)。

名越:
 でも「は?」がないチームはだめですよ。「は?」で良くなっていくので。

椿:
 深い(笑)。逆に名越さんから聞いてみたいことはありますか。

名越:
 僕はグラフィックは日本的なようで違うようでというのが結構あって、こういうシャドウグラフィックっぽい雰囲気にしても、要素的にはアメコミっぽい感じもあって、パースがきいていたりするんだけれど、たとえばカプコンのあきまん【※】さんのとはまた違ったニュアンスがあって。そのへんのテイストの歩留まりは、どのへんの意識をされているのかなと。

※あきまん
イラストレーター安田朗さんのペンネーム。ストリートファイターⅡ、∀ガンダム等のキャラクターデザインを手掛けた。

副島:
 キャラクターの絵とかイラストとかもそうなんですけれど、意外と見ている方って頭の中で知らずに分類しているところがあって、アニメだと思って見る場合と漫画だと思って見る場合だったりとか、アートっぽいものとして見る場合もあったりするので。

 そこはキャラクターの絵とかを描いていると結構敏感で、アニメーションには興味はないけれど漫画には興味があったりとか、結構その住み分けが意外とされてたりするので、なるべく自分はそのへんがボーダーレスになるように散らしているというわけではないですけれども……。

 それぞれのよさが伝わるように描いているっていうのが、そういうふうに感じていただけてのかなと思います。

名越:
 逆に言えば、限定すると言うよりは、欲張りに考えているんですね。

副島:
 「こういう場合はこういう感じ」みたいな感じで、明確に描き分けているわけではないですけれども、意識しています。

名越:
 個性的な絵を描くからといって、自分が描きたいように描きたいものだけを描くわけじゃないわけじゃないですか。 今の話とかはすごい若い子とかに参考になると思うんですけれど。個性と、受け入れられる努力っていうのが違っているよ、という話だと思うので。

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