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現役の漫画家が答える 「人気漫画の映画化が成功する4パターン」って?

 2017年は『銀魂』『ジョジョの奇妙な冒険』『鋼の錬金術師』といった、超人気タイトルの上映が決定。過去には大ヒットを記録した作品も多く存在するにもかかわらず、情報が解禁されるたびに、原作ファンからは映画化に対するネガティブな声が相次いだ。

 1月18日配信の『山田玲司のニコ論壇時評』では、現役の漫画家・山田玲司氏が『実写化が失敗する3つの理由』に続き、『映画化で成功する4パータン』を解説。「語らせたら朝まで止まらないような人に、映画を任せるべきなんだよ」と持論を展開した。

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成功例その1~幸福な庵野型

山田:
 漫画の実写化にはだいたいこんなパターンに分かれがちみたいなのがあって、1個目が「幸福な庵野型」です。ヒデの話をしてるけど……。

乙君:
 ヒデっていうのは、庵野さんね。庵野監督ですね。

山田:
 ヒデ、ゴジラすごい詳しいから。

一同:
 (笑)

山田:
 あいつ愛してるから、ゴジラを。だから、あいつにゴジラを任せたら、そこら辺のつまらないゴジラじゃないよなって。

 どういうことかというと、原作のものすごいファン。原作に育てられた人っているんだよ。そういう人が、一端のクリエイターになったときに、「俺病」を抱えてても面白いものになっちゃう。

乙君:
 ああ、リスペクトが半端ないから。

山田:
 しかも、詳しいんだよ。円谷も知ってるし、その時代も知ってるし、最初の『ゴジラ』が何を言わんとしていたかってのも、全部本質的に掴んでて、語らせたら朝まで止まらないような人に、映画を任せるべきなんだよ。

 それが、『シン・ゴジラ』の成功なんだよ。これが、平成ガメラとか、ライダーシリーズなんかにも起こっていると思う。作り手がそもそものファンですっていうのがいいなっていう。

成功例その2~職人型

山田:
 次が「職人型」。まさにこれが片渕監督がやったことで、『魔女の宅急便』で、降ろされたみたいな歴史から、今回のタイミングまで、日の目を見なかった人ですけど、実はこの人は、自分というものを出すことよりも、何を見せるべきか? っていうことをちゃんと考えてたって人。

 この片渕チューニングのおかげで、あの作品は成功したっていうのはあるんで、これは中々大きくて、こういう職人たちって、大人の仕事だよね。これは、何かっていうと、作家を尊敬しているんだよ。やっぱり、そして作品を愛しているって、これ当たり前のことなんだけど、意外とできない。

成功例その3~三池型

山田:
  で、後もう1個、ご存知「三池崇史型」。これは、三池さん本人に聞いたんだけど、「俺みたいな奴らばかりじゃダメだよね。」って、言ってましたから(笑)。

一同:
 (笑)

山田:
 これ、どういうことかというと、三池崇史に任せると、予算内と期間内に、ある程度のクオリティのものを絶対に作ることができるから、この人だったら、『ヤッターマン』任せても大丈夫! みたいな。

乙君:
 すごいよね。作品の幅が。

山田:
 そうなんだよ。だから、『CASSHERN』もね。三池崇史がやったら、当たってたかもしれないよ? 当たってたかどうかは、わからないな。ただ、その一定のクオリティを作らせるためのこの人は、ビジネスモデルの職人監督で、だけどこの人は実はアート気質というか、表現者としての能力もあるんだよ。だけど、めちゃめちゃ大人なんで、このタイミングじゃないと俺は出さないってタイミングじゃないと、三池崇史を出してこないんだよね。

 だから、この人がやってることは、二種類に別れてて、お客のため、クライアントのためにやる仕事と、あとは、俺のためにやる仕事のふたつに分けてるっていうか、まあ、とにかくヤバイ。でも、これが業界を支えているようじゃダメなんだよ。やっぱり。なんでかというと、ビジネスとしての映画業界を支えている人なんで、作家であるかどうか微妙だし、原作のことを愛しているか? というと、これまた微妙っていうか。

乙君:
 節操なさすぎますからね。

成功例その4?~進撃型

山田:
 で、やっぱり、話題になった「進撃の巨人型」っていうのがあって、これは、いろいろな人が口を出しすぎたパターンだと。

乙君:
 成功例の話でしょ?

山田:
 あ、すみません。これは、成功したかどうかは、私は知りませんけれども……。

一同:
 (笑)

山田:
 それは、みんなの心のなかに、聞いてもらえればわかりますけど、僕が判断することではないので。ただ、『進撃の巨人』の一連の話を見ていて思ったんだけど、「ああ、そうか、もうちょっとシンプルにしたら良かったんじゃないのかな?」っていうね。

 原作者がやっていた世界観、イメージみたいなモノを本当にそんなにいじらないでやることが、本来のファンに対する何かだったんじゃないかなって、これ進撃祭りに大人が乗り過ぎたんだよね。

乙君:
 成功例じゃないんじゃ(笑)。まあいいや。

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