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「漫画のドラマ化」原作レイプに相次ぐ悲鳴……。そもそも原作者ってどこまで介入できるの? 漫画家に聞いてみた

 『ゼブラーマン』『Bバージン』など数々の著書を持ち、現在、月刊スピリッツで『CICADA』を連載中の山田玲司氏と、漫画『アオイホノオ』のドラマ化で手塚治虫役を演じた経験もある元祖オタキングこと岡田斗司夫氏が「マンガのドラマ化・映画化は、なぜ原作レイプになってしまうのか」というテーマで対談。

 2月5日配信の『岡田斗司夫ゼミ』にて、「諫山先生は『進撃の巨人』の時に、「お任せします」って言っちゃったらしいですよね。」と、実際のエピソードを交えて、「原作レイプ」が出来上がる要因を語ってくれた。

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ぶっちゃけ漫画の原作者って、どこまで介入できるの?

山田:
 諫山先生は『進撃の巨人』の時に、「おまかせします」って言っちゃったらしいですよね。だから、「おまかせしません」という微妙なところにみんないると思うんですよ。「全部任せるとは言っていない」という。だけど、「いろんなことが進行していて、自分も締め切りがあるし、現場にいつもいけるわけじゃないし、しょうがないな」っていう。「実際の所、増刷もかかるし、しょうがない」みたいな。

 井上雄彦の漫画はメディア化されないじゃないですか。頑なにこだわってますね、『バガボンド』も『リアル』もならないじゃないですか。あんなすごい、大ヒット漫画が。『リアル』なんか、もうスゴイじゃないですか。これからパラリンピックに向けてガーッと盛り上げてって、皆さん、一番やりたいと思うんだけど。

 たぶん、「僕はやりません」って最初にドーンと。「やらなくても売れます」っていうのが、後ろにあって。でも、やらなきゃ売れないっていうやつは、我慢して、「お願いします……」って、もうそこのね、キツいですよ。もう階級の問題ですよ。もはや。

岡田:
 鳥山明くらい売れても、『ドラゴンボール』があんなことになっちゃうわけじゃん。

山田:
 いや、だから、アニメ化を一度でも許した人は、何かしら深い傷を負うことにはなる。その後どうするかっていうのは、その状況によって決まってくるんじゃないかなと思いますね。

岡田:
 永井豪とか石ノ森章太郎とか、あの世代の漫画家の人たちは、もう「漫画は別物」って考えてたよね。あれは、例えば自分が漫画を連載してる中で、「学年誌でも連載してくれ」って依頼があったら、もうアシスタントとかアシスタント上がりの自分の弟子みたいな漫画家に描かせるっていうのが当たり前だったから。「自分の作品というのは、コアである漫画と、そっから派生したテレビドラマ版と、あと学年誌版というのがある」ということに慣れてるよね。

山田:
 企画の段階からやるじゃないですか、石ノ森さんなんかも、現場に行って撮ったりしてますもんね。漫画家が。あの頃はいい時代ですよね。『キューティーハニー』でしたっけ? 「デビルマンとマジンガーZが当たったから、あともう一個なんかやってみるか?」って、おまけみたいにやらせてくれることになったって。

 これすごなと思って。そしたら、「女版の多羅尾伴内やっちゃおうかな」っていって『キューティーハニー』ですから、作家主導ですよね、あの時代は。まだ良かったんじゃないかなと思って。

岡田:
 今はもう、とりあえず、番組予算が上がりすぎているっていうのもあるし、スポンサーも必ず当ててもらわないと困ると考えてるだろうからね。

漫画原作はやっぱり実写(三次元)よりアニメ(二次元)でしょ?

岡田:
 こっから先、どうやれば、もうちょっと良いものができるの?

山田:
 やっぱり「アニメにしてくれ!」って言ってたんですよ。

岡田:
 わかるわー。「でも、せめて、アニメにしてくれ!」と。「ドラマはその次ぐらいにしてくれ!」と。

山田:
 例えば、『ビー・バップ・ハイスクール』をきうち先生が撮った時は、いろいろ揉めましたけど。でも、やっぱり「ジョジョをやるんだったら、荒木さん呼んでこいよ!」ってなるじゃないですか。荒木さんに撮ってもらったやつをみんな見たいんじゃないのって。それが良くても悪くても、荒木信者は、ついてくるんじゃないかなと思って。

 見たいですよね、荒木さんが撮った映画。どんなものになるんだろうと思って。「荒木さん、CG全然OKなんで」って言ったら、「じゃあ僕、これをやって欲しい」とか言ってくれると思うんですよ。

岡田:
 大友克洋が『AKIRA』を撮れたんだし、庵野秀明が『シン・ゴジラ』撮れたんだから、やっぱ、漫画家だから映画撮れないってわけじゃない。

山田:
 そうです。絶対違いますね。

岡田:
 実写映画とか、実写ドラマの監督って、最終的に「OK!」っていう役だから、誰でも出来るっていう伝説があるくらいだから。

山田:
 そうですね。だから、現場に行って、「気に入らない」とか「それがいい」と言って、それで、大きくズレないように持っていくっていうのが、原作者の仕事としてあれば、そりゃまあ、少しは事故は起こらないかなという気はします。

岡田:
 これからさ、また、どんどん増えるわけじゃん。漫画発のドラマを、僕らはどんな気持ちで見ればいいんですか?

山田:
 「みんな、仕事、大変なんだな」って思って(笑)。
 あれ、制作の人、一人一人と会って、好きな映画とか聞くと、やっぱり、あるわけじゃないですか。それぞれ「高校の時にあの映画を見たから、この業界に来た」と。

 「でも気がついたら、ノルマに追われて、作りたくもない映画を作ってる俺」みたいな。だから、「家に帰っても、俺は息子には見せられない」って。そんな人たちばっかりですよ、業界! だから、心中お察し申し上げます。

「原作(正解)があるものを、なんかしようという方が、キツいっすよ。」

岡田:
 俺さ、『東京タラレバ娘』見てたらさ、例えば、外歩くシーンとかだったらさ、必ず広角レンズ、それも魚眼っぽい広角レンズを地面に置いて、“颯爽と街を歩くシーン”を入れるの。あの瞬間にいつも、「あ、また、知能指数が下がった」って思って。

 だって、漫画ではそんなシーンを入れてないんだよ? 漫画を丁寧に映像化する上でその間に何か入れるならともかく、ダメなドラマのパロディになっちゃってる。だんだん、なんかね、再現映像っぽくなってる。

山田:
 再現映像、まさにそれですね。そんな感じですね。

岡田:
 だから、“漫画が難しくて読めない人のための翻訳ツール”としてのドラマなんだと。さっきの2番目の説ね。

山田:
 岡田さんは、漫画原作で、好きなドラマありました?

岡田:
 ないよ。

山田:
 『柔道一直線』はどうでした?

岡田:
 あはは(笑)。『柔道一直線』は違うから。

山田:
 長ーい時間かけて、飛ぶじゃないですか。

岡田:
 あ、でもね、唯一、漫画原作でドラマになっていいなって思ったのは、『ガラスの仮面』。

山田:
 へー、そうですか。

岡田:
 つまり、『ガラスの仮面』って今まで話してたような漫画原作ドラマとは違ってて、“どれくらい似てるか合戦”というのをやってたから。野際陽子が出てきて、月影先生をした時には、大爆笑だと思って見てたけど(笑)。

山田:
 そういう楽しみ方はありますね。

岡田:
 やっぱりね、漫画はレベル高すぎる。
 『ピンポン』は、漫画がやっぱ、すごいんです。で、アニメがそれに匹敵するくらいすごいのを作ったから、それと比べると落ちるなと思っちゃう。正解があるものをね、なんかしようという方が、キツいっすよ。

山田:
 確かに、そうですよね。

岡田:
 すみません。こんな話で。
 「アオイホノオは?」ってコメントが流れましたけど、『アオイホノオ』は、漫画の方が面白いに決まってるじゃん! あんなもん、漫画を読む力がないバカがみるのが、ドラマなんだから!

山田:
 うわー。そうっすか。

岡田:
 そういう意味では、バカがみれるものとしては、なかなかの出来だった。だって、俺が手塚治虫をやるようなドラマが、まともなはずねーよ!(笑)

山田:
 あれはよかったですよねー。

岡田:
 いえいえ(笑)。

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