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脱北者からの賄賂で生活──北朝鮮「秘密警察」の正体って? 在日朝鮮人ジャーナリストに聞いてみた

 北朝鮮の潜入ライターとして活躍するニポポ氏が、3月14日放送の「高英起(コウヨンギ)×ニポポ【北朝鮮のアウトロー・裏社会の役割とは】」にて、在日朝鮮人2世のジャーナリストで、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」の編集長を務める高英起(コウヨンギ)氏と、北朝鮮に存在する「秘密警察」について言及。

 治安を維持する警察のような印象を受けますが、実は「密貿易を摘発することで賄賂を受け取っている」という“賄賂ビジネス”が行われていると、高氏より語られました。

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「拳の世界」という北朝鮮のヤクザ達

左から高英起(コウヨンギ)氏ニポポ氏

ニポポ:
 北朝鮮にいる、アンダーグラウンドな“悪”の人々について。

高:
 でもアンダーグラウンドって言っても、北朝鮮は国家じゃないですし、悪いんですけどね(笑)。

ニポポ:
 ああ、元からアンダーグラウンドですね(笑)。

高:
 どっちがアンダーグラウンドかわからないっていうね(笑)。時々僕も混乱しちゃうよね。

ニポポ:
 どっちが悪いんだっけ? みたいな。表裏一体ですからね(笑)。

高:
 まさに表裏一体ですよね。これは別にどこの国家でも、たまにそういうことありますよね。

ニポポ:
 繋がってたりしますからね。

高:
 今の森友問題でも、裏の話のはずが、何故か表の話になっているという。

ニポポ:
 では、日本で言うところのヤクザさんとか、ああいうちょっとした組織だったものっていうのはあるんですか?

高:
 いや、今は私も聞いたことがないんですよ。ただ、80年代まではそういうのはいた。これは組織だったというか、いろんなグループがいたっていうのは聞いてますね。「シュモクシゲン」っていってね、直訳すると「拳の世界」っていいます。

ニポポ:
 おお、格好いいですね! 「拳の世界」、使ってみたいですね。この番組のサブタイトルにしない(笑)?

高:
 何とか派、何とか派とかあったらしくて。

ニポポ:
 ああ、いいですね。

高:
 90年代くらいまでですかね、その時はまだ本当に任侠ヤクザみたいな感じで、いろんなところで、表と、いわば共存共栄みたいな感じでやってたらしいんですけど、確か90年代くらいに金正恩がそれを全部壊滅してしまいましたね。

ニポポ:
 もう悪い奴はやっつけちゃおう、みたいな。

高: 
 90年代に入ると、北朝鮮は大飢饉が起き、とんでもない世界になって、ほぼ社会として麻痺しちゃうわけですよね。その時も私、中朝国境とかで、ずっとモニタリングしてたんですけど、その時にもうヤクザ自体もそんなレベルじゃなくなったという。

 ただ、今あるかどうかっていうのは、私は正直聞いたことがないんですけども、これだけ今の北朝鮮の貨幣経済というのが盛んになっているということは、あってもおかしくはないでしょうね。

ニポポ:
 なるほど、やっぱり組織で目立ってしまうと潰されるというのも。

高:
 潰されるというのも、かつてはそうだけども、例えばそれで言うならば、今はいわゆるヤクザとか裏とかいうよりは、新興富裕層ですよね。要するにビジネス。

 それでのし上がってきたというのは、いわゆる朝鮮労働党。朝鮮労働党というのは、見方によっては色々あるけど、官僚みたいな組織と共存共栄でやっているし。それを潰そうにも、今の北朝鮮はそれは無理ですよね。

「秘密警察」による“賄賂ビジネス”の実態

ニポポ:
 何でしょうね。僕も聞きかじった情報なので、正確かどうかわからないんですけれども、例えばなんですけど、「中国で密貿易をやっている」とか、「韓国と脱北者の親戚と一緒になって貿易している」とか、そういうところの、バレたら怒られちゃうような人を摘発して、そこから賄賂をとって行く人がいるっていうのを聞いたことがあるんですけれども、そういうのってビジネスになったりするもんなんですかね?

高:
 ビジネスっていうか、例えば北朝鮮には「秘密警察」というものがあって、昔は国家安全保衛省は「保衛部」って言われてたんですよ。これがナチスのゲシュタポ【※】みたいな組織で。

※ゲシュタポ
ナチス・ドイツ期のドイツ警察の中にあった秘密警察部門。

ニポポ:
 ああ、そうですよね。

高:
 3年ほど前、彼らは「脱北者の家族4人を確保することで生活ができる」というふうに言われています。

ニポポ:
 賄賂の相場があるんですね。

高:
 そう。だからそれは多分、自然発生的にできるもんだと思うんですよ。その相場で4人位いたら、おおよそある程度の生活できると言われて。

ニポポ:
 なるほど。

高:
 逆に言うと、彼らも脱北者の家族とか、密貿易っていうものを摘発しちゃったら、自分で自分の首をしめることになりますよね。

ニポポ:
 そっか、そこから抜けなくなっちゃうんですよね。

高:
 そう。だから共存共栄みたいな形で。

ニポポ:
 ええ。

高:
 そうじゃないと、そもそも国家保衞省なんかは、給料なんかあってないようなもんだから生活できないんですよね。

ニポポ:
 ああ、そうか。意外といい感じでお金が回ってるんですね。

高:
 まあまあ、それがいい感じとは思わないですけどね。

ニポポ:
 (笑)。まあ、悪い奴は色々いると思うんですけども、日本でもやっぱりヤクザさんであったり、悪いビジネスの象徴といったら、まずはドラッグが上がるんじゃないかなと。

高:
 ドラッグは最近、韓国製の物が確かにあるんですよ。ただ、意外なことに、実は金正恩という人物は、ドラッグに関してはとても警戒してるんですよね。

ニポポ:
 偉いですね。

高: 
 よく、ドラッグは「北朝鮮国家ぐるみ」と言われますが、あれはもう過去の話で、現在はありません。

 

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