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「空き地で焼けこげた人形を拾ったのが始まり」──ラブドールひしめく狂気の館に潜入レポ。なぜ人形を集めるのか館主に聞いてみた

中央の部屋のテーマは「明るい家族計画」

――これはどういうものですか。

兵頭:
 いわゆる大型カメラで10インチ×12インチですね。戦前の軍隊で使われていたものです。

――どこで手に入れたんですか。

兵頭:
 元々軍隊で使われていたのですが、ある理由があって川崎市の写真館に眠っていたんです。主のおじいさんが復員してきたら写真館が空襲で焼けてなくなっていて、土地が横取りされて役所に文句を言いに行ったらしいです。

 そうしたら別の土地をくれた上に、このカメラを貸してくれたらしいんです。でも貸してくれたといっても軍隊はもうなくなっているので、返す所がないんです。だからずっと残っていたんです。返す相手がないんだからしょうがないです。

――一番奥の部屋は何ですか。

兵頭:
 いまは、くつろぎスペースになっています。

――全然くつろげないというコメントがあります(笑)。

兵頭:
 いやいや、落ち着けますよ(笑)。この部屋は『ブレードランナー』にセバスチャンというエンジニアが出てくるんですが、そのセバスチャンの部屋を意識しています。昔『ブレードランナー』を観て、セバスチャンの部屋みたいな部屋で暮らしたいという気持ちがあって。

兵頭:
 ここで『ブレードランナー』を観て、セバスチャンの部屋が出てくると、すごい良い気持ちになるんです(笑)。

 そしてここが2階の真ん中の部屋なんですが、前までここで寝ていたんですよ。だんだんはみ出してきて、いまは倉庫の一角で寝ています。

――上にあるブルマは?

兵頭:
 全部着せ替え用の下着ですね。あとは下着自体が好きなので、買って集めています。

――自分で履いたりは?

兵頭:
 しないですね。自分には女装の趣味はないですね。

――ここはコンセプトはありますか。

兵頭:
 現状は明るい家族計画みたいな感じ。ちょっと前まではここに幼児プレイルームをこの部屋で再現していたんですよ。それを取っ払っちゃって、そのときにいたお母さんとか赤ちゃんと、昭和の小学生の子を並べると、なんとなく昭和の平和な家庭みたいな感じにたまたまなっています。

 この辺は自分の小学生のころを高いレベルで再現しています。実際にこういう格好をしていて、このカメラは小学生のときに使っていたものと同じ型のものです。

――カメラが好きなんですか。

兵頭:
 大好きですね。基本的には写真を撮る人間なので、カメラは大好きです。

――こういう人形と一緒に写真を撮ることもあるんですか。

兵頭:
 あります。ちょっとニコ生では見せられないのですが(笑)。八潮秘宝館で検索したら兵藤写真館Rというブログに行き当たるのですが、過去記事をずっと辿っていくとやばい写真がいっぱい載っているので、見てください。

館主が普段使用している部屋に潜入

兵頭:
 こちらが普段いる部屋です。

――ここはどういうコンセプトですか。

兵頭:
 作業部屋で、子供のころ、うちの田舎が四国なのですが、そこに何でも屋のお店があったんです。店の半分は食料品を売っているんですけれど、もう半分はおもちゃにラジコンに超合金、ゲーム機、アーケードゲームもあったり。カブトムシまで売っていて、すごかったんですよ。

 混沌とした店だったのですが大好きで、もうお店がなくなっちゃったんですけれど、自分の部屋をそのお店にしたんですよ。

――このドールはお気に入りなんですか。

兵頭:
 この服も今月に入ってから愛媛に住んでいる妹が送ってくれたんです。

――それを着させてるということですか。

兵頭:
 そうです。ちょうど部屋の感じと合うなと思って。たぶん俺が喜ぶだろうと思ってどこかで見つけてきてくれたんだと思います。

――妹さんはこちらにいらっしゃったことはあるんですか。

兵頭:
 妹はないです。ただ妹の息子で甥っ子は昨年の夏休みに一週間くらいうちにいました。

――甥っ子さんはこのお部屋を見てどういう感想だったんですか。

兵頭:
 何も言ってなかったですよ(笑)。前は葛飾に住んでいたんですけれど、そこに甥っ子がまだ5歳くらいのときに来たことがあるんです。来た瞬間に「おっぱい」って言って揉んでましたね(笑)。

――(笑)。おもちゃとして可愛い、面白いという感じなんでしょうね。

兵頭:
 そのくせに母親には「人形が怖くて眠れなかった」って嘘八百ですよ。ガキのくせにね(笑)。

――めちゃめちゃ楽しんでたということですかね。

兵頭:
 楽しんでましたね。

一番のお気に入りは亡くなったネコと同じ目をしたアリス人形

――結構、服を着ている人形が多いんですか。

兵頭:
 メンテナンス期間中は全裸で置いてあることが多いです。人に公開するときは、ほぼ着衣です。表現規制的な考えとかではなくて、着衣のほうが俺自身のエロのツボを押すんです。だから全裸の子がちょっといるのは、着衣の子を引き立たせるためにいるだけですね。基本的には服を着ているほうが萌え度が高いです。全裸の状態にはあまり興味はありません。

 最近ちょっと変わってきたのが、男装をさせることが多くなってきました。なぜかはわからないですけれど、前から自分の年下のユーザーの人が結構男装をさせている子がいたんです。それを8年前くらいに見たときはピンとこなかったんですけれど、なぜかはわからないですけれど、ここ最近は男装が多くなってきました。

――心境の変化があったんですか。

兵頭:
 あったんでしょうけれど、自分的には自覚はないです。気付いたらそうなっていました。女装の趣味はないけれど男装させるのは、ベクトルの向きは逆だけど女装するのと近い現象なのかもしれません。

――自分を投影させているみたいな作品もあるんですか。

兵頭:
 あります。先ほども紹介しましたが、この子は本当に自分の子供のころは、こんな格好ですからね。あとはよく聞かれる一番のお気に入りはどの子ですか? って言う質問ですが、いま一番好きな子はこの子です。

兵頭:
 気に入っているというか、思い入れが強くなっています。

――どうしてですか。

兵頭:
 うちに3年くらい前までネコがいたんですけれど、そのネコと同じ目の色にしてあるんです。

――目を変えられるんですね。

兵頭:
 変えられますね。眼球が動くようになっている子は、慣れたら数秒で入れ替えられます。目の色を変えた時点ではネコは生きていたんですが、でも15歳だったのでそろそろ普通に考えても数年後にお別れしなきゃいけないのはわかっていたので、目を変えるときにネコと同じ色にしようと。ネコが死んでからこの子への思いが強くなりましたね。

――どうやって目を変えているんですか。

兵頭:
 目が完全に固定されている子と、動く子がいるんですけれど、動く子だったら目の下側にスプーンを入れると1秒でひっくり返ります。

――ちなみにこの中で人形自体が動くものはないんですか。

兵頭:
 電気とかで動くってことですかね。そういう子はいないですね。

――「夜中動きますか」「髪が伸びる子はいますか」というコメントが来ています。

兵頭:
 いないですね(笑)。

――メンテナンスはどういったメンテナンスをしているんですか。

兵頭:
 シリコン製の子はお風呂場で洗うんですよ。洗剤をかけてスポンジでこすってすすいで乾燥させて、最後はベビーパウダーで肌のキメを整えてあげます。ソフトビニール製の子は、だんだん黒ずんでくるのでシンナーで拭くと汚れが取れます。

――立ち話もあれなので、ここからは館長の兵頭さんがユーザーのみなさんの質問にいろいろ答えてくれるということなので、質疑応答の時間にしたいと思います。館長もお酒を飲みながら……。

兵頭:
 正確に言うと館主ですね。なんでかって言うと、部下が一人もいないから長じゃないんですよ(笑)。というか、実際に自分の中では人形の下僕なんですよ(笑)。


兵藤館主のさらにディープな質疑応答を収録した後編記事は、近日公開予定です。

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