アイドルが相撲で対決する漫画『リキシーアイドル』を小学館に持ち込んでみたら、ド素人の作品なのに謎の高評価をもらえた件
ラブマツの持ち込み漫画に、ゲッサン編集部の見事な指摘
ピクピクン:
ラブマツさん、編集部に視察しに行っただけじゃないんですよね?
ラブマツ:
はい。ネーム【※】を小学館さんに持ち込んで参りました。みなさんに見ていただきたいなと思います。
※ネーム
漫画を描く際の、コマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの。
ピクピクン:
ラブマツさんが描いた初めての……?
ラブマツ:
初めての漫画ですね! では、ネームをお願いします!
ラブマツ:
短編読み切りです。力士のアイドルが活躍中の世界です。
ピクピクン:
これ、どうですか。
ナガオカ:
これを編集部に持ち込んでいただいたので、拝見させていただきました。
(VTR開始)
ナガオカ:
思ったよりすごく面白かったです。お相撲さんのアイドルがいるということを何ページもかけて説明せず、いきなり土俵のシーンからはじまるというのがテンポがよくて、グッと物語に入っていけますね。「ペガサス盛」とか、「ペガサスターボ」とか、エッジの効いた言葉が多いので記憶に残りますね。
まわしが飛んでいくとか、結構ぶっ飛んだ展開で……。
でもそういう意味では読んでいる人を飽きさせないというか、ドキドキさせるような漫画だと思います。「原宿部屋の親方が怒っているぞ」とセリフがあるのですが、ここまでで原宿部屋の親方が出てこないんですね。
細かいところになるのですが、急にキャラクターが出てくると、読んでいる方は「前に出てきたっけ?」となってしまいます。こういうのは、ちょっと読者に対して違和感を与えてしまうかもしれません。あとこちらなのですが、これは一体誰の膝の上で寝ているのでしょうか。原宿部屋の親方ですか?
ラブマツ:
そうですね。
ナガオカ:
それから、「かわいがり【※】」という専門用語なのですが、ミスリードさせて、この世界の「かわいがり」は本当にかわいがっているという意味合いですよね?
※かわいがり
相撲用語。相撲界の隠語で躾や心身鍛錬のために厳しい稽古で鍛えることを意味する。「かわいがり」の名を借りた暴力により怪我をしたり、死亡事件が起きることがあり、問題視されている。
ラブマツ:
そうです。
ナガオカ:
だったら、そこをセリフとかで入れてあげたほうがいいですね。ここで落とすのであれば、フリの段階で「来い! かわいがってやる」「スクープだ!」「かわいがりをやるらしいぞ!」ではなく、「一体原宿部屋のかわいがりって、どんなに厳しんだ?」「これは凄まじいものが見られるぞ!」とフリをしておいて、めくったらこういう大ゴマでバーンと見せるところがある。
古典的ですけれど、みんながズッコケるとか、オチに一番スムーズに入れるようにフリを用意してあげたほうがわかりやすいという気はしました。
(VTR終了)
ピクピクン:
編集部のナガオカさんの指摘が見事でしたね。
ナガオカ:
いっぱい面白いところがあったので、色々お伝えしたいところがありました。そもそもネームがとても面白かったんですよ。
ラブマツ:
なんかおだてられたら……っていうのがあるんですけどね(笑)。
ピクピクン:
これ完成は?
ラブマツ:
完成させたいですね。絵をちゃんと入れた状態でやってみたいなっていうのは思います。描いててすごく楽しかったです。
ラブマツの漫画はピクピクンが絵を描けば売れる!?
ピクピクン:
中道先生はどうですか。
中道:
これの難しいのがギャグ漫画なので、どこまでちゃんとするかというのがある。読みやすくすることは悪くないことなので、読みやすくするならたとえば、「どうせいつもSMOWで盛ってるんでしょ?」というのは、アプリのSNOWのもじりじゃないですか。
中道:
ここにSNOWっぽい絵があればいいですね。ボケはいいんですが、それが通じなかったときのフォローがあるほうが、読みやすくなります。ただ、言うことはそれくらいで……本当にアイディアにびっくりしました。これを絵にするときに、どうやって上手に胸を隠すかですよね。
ラブマツ:
ツインテールで乳首を隠せるようにしてあるんです(笑)。この世界では隠すための髪を伸ばさないといけないんです。
中道:
でもこれ、絵によっては売れる可能性がありますね。ピクピクン先生、これに絵を描けば売れますよ(笑)。素晴らしかったです。
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