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村中璃子さん“マドックス賞”はなぜ報道されなかったのか。子宮頸癌ワクチン問題から考える「日米のワクチンに対する解釈の違い」

「厚労大臣が詫びを入れてしかるべき案件ですね」

山路:
 それにしても『ネイチャー』がわざわざ賞まで与えて、村中璃子さんもこういうふうに言って、それでも国のほうから反応がない。受賞に一言あるべきではないのでしょうかと思うんですけれどもね。

小飼:
 報道もしないというのはちょっとびっくりだね。こう言うのもなんですけれども、これは逆薬禍のはずで、厚労大臣が詫びを入れてしかるべき案件ですね。

山路:
 報道も間違えることはもちろんあるでしょうが、間違いは訂正すべきでしょう。少なくともワクチン接種に反対するキャンペーンを張ったメディアは、子宮頚ガンにかかった人のために基金でも作るべきなんじゃないかと思いますけどね。それなのに、ほとんどのメディアは、このニュースを無視している。

小飼:
 かなり不気味ですよね。ましてや、薬害エイズ【※】のときにあれだけ大騒ぎしたことを考えると、薬禍としてはどう考えてもでかいですよね。

※薬害エイズ事件
1980年代に起きた、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者やエイズ患者を生み出した事件。主に血友病患者に被害が発生した。

山路:
 こういうところはワクチンに限らずいろいろありますよね。例えば原発事故に関して、放射線によって奇形児が生まれたみたいな話とか。

小飼:
 そう、逆の方向。要は有罪のものを見逃しちゃったというのが薬害エイズなんですけれども、その逆のパターンに関しては、日本はかなり冷たい国なのだなと。

山路:
 「お酒は宣伝するのに」(コメント)
 うーん、あまりにも国が一部のクレーマーの感情的な行為に耳を傾け過ぎたのか。

小飼:
 一部のクレーマーの感情的な声なんでしょうか? でも、ワクチンの副作用というものに対するクレームはゼロではないと思うんですよ。だから副作用がまったく報告されていないワクチンというのは僕の知る限りないです。

 ワクチンというのは、かなり多くの人が投与を受けますし、それだけに副作用が発生する件数や確率というのも決して低くはないわけです。何人も出るわけですよ。

山路:
 副作用が出たといって大騒ぎするのではなく、その確率をきちんと見なきゃいけないと。

米国は進み、日本は後退したワクチン事情

小飼:
 副作用が出ちゃった場合にどうしようか? アメリカとかの場合というのは、「副作用出ちゃいました、ごめんなさい」で金で解決する。

 ごめんなさいで済んでいいという法律【※】がもうできています。今、米国は予防接種をする国になったんですけれども、かつてはそうではなく、なんでそういうのができたかというと、実は日本を見習ったから(笑)。

※ナショナル・ワクチン接種障害賠償プログラム(NVICP)
ワクチン接種後、副作用が発生した場合の補償制度。アメリカでは、申し立てから賠償金支払いまでのプログラムが連邦裁判所の法律として決められている。

山路:
 日本みたいにちゃんとワクチンを打つ国になろうと。

小飼:
 だけど日本は後退してしまって、「これは強制ではなくて、あれもこれも自主でいいよね」と言った挙句に、ほかの国であれば当然のように済んでいるのが、まだ接種は終わってない。

 たいてい日本人が留学するときには、追加の接種が求められるようになっちゃいましたね。

山路:
 ワクチンをきちんと接種する仕組みを作り直さないといけないということですね?

小飼:
 インフルエンザとかが顕著なんですけれども、たしかに外れることもある。

 何種類もある中から、今年はこれが流行するだろうという当たりを付けてワクチンを作るわけですけれども、投与するまで時間がかかるので、外れることもあるわけですよ。

山路:
 必要な無駄と言えば必要な無駄、当たればで大きいわけですね。

小飼:
 というよりも、やはりワクチンの一番大きい効果は、隣人も守ることですよ。そこがほかの医療とひときわ違うところですよね。

 だから、なんでネトウヨのみなさんが黙っているんでしょうか? 国家のためですよ? ワクチンの場合は、副作用が出たとしても尊い犠牲というふうに言い切れるんですよ。そういう文脈で持ち上げる人というのをほとんど見かけないのが、むしろ不思議です。

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