「お金がない時はチェキの売上で生きてた」——元AKB48メンバーが薄給を告白。芸能界における労働環境やパトロンの実情も
11月12日のニコニコワークショップでは、『薄給仕事をする人たち』をテーマにした番組が放送されました。
ワ番組MCの高田健志さんと社会保険労務士の松本奉幸さんが、ゲストの元AKB48でタレントの成田梨紗さんとそのマネージャーさん、バスガイドの経歴もある雑談配信者のサトウキビさん、同じく雑談配信者として数々の仕事を経験したほなちゃんさん、そして就職を控えた大学生の男性など、様々な業界の労働環境や「ブラック」と呼ばれる労働体系について語り合いました。
自由業に分類される芸能界の仕事は果たして「ブラック」なのか。成田さんとマネージャーの男性が、芸能界における給与事情や労働環境、パトロンの実情などを語りました。
―人気記事―
ネットタレントが声優時代の枕営業を告白「それでも売れたい」「安売りではなく下積み」 その結果、もらった配役・ギャラは?
【ザ・新興宗教】セックス教団『リトル・ペブル同宿会』潜入レポート。教団責任者が唱える″償いのセックス”に密着
元AKB48メンバーが薄給を告白「チェキの売上で生きてた」
高田:
テーマは「キツくて薄給な仕事をしている人の状況」ということですが、「キツくて薄給な仕事」といいましたが、自分では給料が安いと思っていても実際には高給取りだったりする可能性もあるじゃないですか。成田さんは給料の面はどういった現状なのか、ちょっと聞かせていただければなと思います。
成田:
拘束時間は本当にバラバラで、給料も仕事によってバラバラなんです。
高田:
長い日の拘束時間はどれくらいなんですか。
成田:
映画とかドラマとかだと、朝から入ったらずっと拘束ですね。
マネージャー:
睡眠時間がない感じでずっとですね。
成田:
夜中とかもありますよね。でも本当に暇だと仕事のないときもあるし、仕事があっても、例えばライブとかでもちょっとの時間だけだったら夕方の2時間くらいの日もあります。
高田:
成田さんは事務所に所属されているじゃないですか。給料制なのか、ギャラから割合でもらう出来高なのか、どっちなんですか。
成田:
ずっと歩合制だったんですけど、ちょっとキツいと思って今の事務所の方に相談したら考慮してくれて、最近は給料制に変えてもらいました。
マネージャー:
これはタレントからすると勝負で、歩合のほうが儲かる人もいっぱいいるわけです。これは結構な賭けなんですが、だけど安定のところでまずはいきたいという感じだから、給料制。そこで成田と相談して、じゃあこういうふうにまとめていこうと給料制になったという感じです。
成田:
昔は本当にお金がないときはチェキの売上で生きていたんですよ。アイドルは本当にチェキしかないんで。
サトウキビ:
歩合制と給料制にした場合は仕事の選び方も変わるんですか。自分が給料制になったら「これだけもらっているんだから、やりたくない仕事だけど、やらないといけない」と思うんですか。
成田:
それはあります。最近ですけれど、私は今まで意見を言わなかったんです。でもやっていられないと思って、できないことはできないと自分で意見をちゃんと言うようにして、それで今の事務所では了承を得ています。前はいろいろありましたけど、今は本当によくしていただいているんで。
マネージャー:
変な話、むりやりやらせても顔が死んでいるんですよ。顔が死んでいる商売は、この芸能界ではダメ。ちゃんとやりたい仕事をやらせてあげる。それは当たり前の話です。ちゃんと言うようになってくれて、全部話してくれるんで、「じゃあこれはOK」「これはNG」と僕も堂々と言えるので。
芸能界の過労は労働安全衛生法違反!?
高田:
ちなみにマネージャーさんのお仕事自体はどのようなものなんですか。ちょっとよくわからないんですよ。
マネージャー:
マネージャーの仕事はタレントの女の子のスケジュール管理とか、ブッキングとかを避けるための管理をやるんですけれども、大きくいうと営業、育成、保険なんですよ。この3つがやることなんです。
高田:
営業、育成、保険ですか。
マネージャー:
まず営業は、 成田梨紗をどう売るか。いろんなテレビ局に売り込みます。育成というのは、どんどん芝居がうまくなってきたり、なにかがうまくなって……みたいなのがあるでしょう。最後の保険というのは、なにかを間違ったときに僕は彼女を守らなきゃいけない立場じゃないですか。
なにか道を逸れそうなときに、よいしょと戻す係です。この子がなにをやっても生活に差し支えがないように戻す、というのが保険の仕事です。人間ですけれども商品なので、そういう意味で考えるとちゃんとこの子を育てないと意味がない。ですからこの3本柱というのがマネージャーの仕事です。
高田:
ちなみにタレントさんは他にも何人か抱えていたりするんですか。
マネージャー:
抱えています。
高田:
成田さん以外にも何人か見ているという感じなんですね。実際ブラックなところはあるんですか。
マネージャー:
すごくブラックで大変です。時間も曜日もあったものじゃないけれども、でも成功したときの彼女たちの笑顔とかに癒されちゃうんですよ。
サトウキビ:
ちょっと待ってください、すごく綺麗事を言っていますけれども(笑)。
マネージャー:
マスコミとかうちらの業界は、そこをブラックと言われちゃうとなにもできないなという感じです。
松本:
働いていて、それに対して時給換算したお金をもらっていれば、ブラックじゃないといえばブラックじゃないんですけど、ただ労働安全衛生法【※】というのがあります。労働者の健康面とかを守るのも会社の仕事なんです。
※労働安全衛生法
職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成と促進を目的とする法律。
高田:
睡眠時間も取れないとなると……。
松本:
安全衛生法に違反しているということになりますね。
高田:
そういう決まりもあるんですね。「残業代も全部出しているからいいだろ」というだけではないんですね。ちゃんと健康も守られていないんだったら、そこで訴えが効くと。
松本:
そうです。賃金だけではなくて、労働者の健康面にも会社は配慮しなきゃいけないというのはあります。