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「これが『Mad Max』の世界観を再現した世紀末フェスだ!」 ヒャッハーすぎる全貌を町山智浩が潜入リポート。モヒカン体験、指骨折……一体、何が起きた!?

「イベントを定期開催するために、ここの砂漠の土地を購入したんだ」。『Wasteland Weekend』の創設者が語る誕生秘話。

町山:
 さて! 創設者であるジャレットさんとアダムさんに来ていただくことができましたので、イベントの動機などを伺っていこうと思います。そもそもの話なのですが、どうやってこのイベントを始めたのでしょうか?

創設者の2人。左から、アダムさん、ジャレットさん

ジャレット:
 2010年に砂漠でマッドマックス祭りを始めたことがスタートだったんだ。当時は350人ぐらいだったかな。それから毎年やって、現在は4000人ぐらいが集まるようになったんだ。

町山:
 最初のイベントもこの場所で?

ジャレット:
 最初は、この近くの砂漠でやったんだ。今年からここでやることにしたんだ。ここの土地を買ったからね。

町山:
 買ったの!? え? ここってジャレットさんの私有地なの?

ジャレット:
 YES!

町山:
 オーマイガーッ!

ジャレット:
 将来的には、ここがウェイストランドのホームになればいいと思ってね。狂ってるだろ?(笑) 普通のイベントって会場を借りると思うんだけど、私たちは買っちゃうことにしたんだよ(笑)。

町山:
 クレイジー! お金はどうしたんですか!?

ジャレット:
 チケット代さ。ウェイストランドで集めたお金を還元したんだ。募金でもローンでもなくて、毎年来てくれる人のおかげで土地を買えたんだよ。

町山:
 なるほど~。ジャレットさんは、普段、どんな仕事を?

ジャレット:
 その答えにはアダムが答えてくれよ(笑)。 

アダム:
 舞台美術の仕事だよ。ジャレットとは最初の年から一緒にやっているんだ。

ジャレット:
 彼は建築物の美術監督もしていてね。

アダム:
 仲間と一緒にデザインして建てるんだ。映画やライブステージなどいろいろな舞台を手掛けているのさ。

町山:
 Ohh! ウェイストランドの造形物がものすごくリアルなのも納得ですね! 舞台のセットよりリアルですよ!

アダム:
 ははははは、ありがとう。

ジャレット:
 ちなみに、私はシナリオ作家で声優もしているんだ(笑)。

町山:
 Really!? たしかに言われてみれば、とても良い声をしていますよね。

ジャレット:
 ゲームやアニメ、CM、映画などで声を吹き込んでいるよ。

町山:
 ウェイストランドは、プロの人たちによって作られていたんですね!?

ジャレットアダム
 ありがとう。多分、プロって言えるかな(笑)。

町山:
 ところで、イベントは趣味で始めたんですか?

ジャレット:
 そうだね。面白そうだったし、1か月くらいでできそうだったからね。ところが、6か月になって、今では一年中かかりっきりさ(笑)。

アダム:
 とは言え、今ではライフワークになりつつあるよ。2人とも世界崩壊後の新しい文明に魅了されてるんだ。

ジャレット:
 アダムの造形は錆びた感じが美しいんだ。反面、私はアクション映画に興味を持っていたり、2人のアイデアを一つの場所で表現することが面白くてね。それが病みつきになっていったんだ。

『Wasteland Weekend』は生きている。砂漠の中で育ち、風にと共に消える。

町山:
 ウェイストランドでは、見事にファンタジーを現実に再現していますよね。『マッドマックス』に魅了されたのは、いつくらいからなんですか?

ジャレット:
 小さいとき映画を見てからかな。

アダム:
 子どもの頃は、町がなくなったらどうしようとか、その後どうやって生きていこうとか想像したよ。ウェイストランドは本当に世紀末の世界に住んでいるような錯覚に陥る。演技してるわけじゃないし、町としても機能してると思うよ。

ジャレット:
 警備も医療施設もあるし……政府もあるかもしれない。税金を取ったほうがいいかな?(笑) まぁ、チケット代が税金と言えるかもしれないね。

アダム:
 ありがたいことに、毎年の参加者がボランティアをしてくれたり、町の運営を手伝ってくれているんだ。

ジャレット:
 軍もボランティアとして参加してくれてるんだ。ほとんどが参加者の創造性によって作られているのが、ウェイストランドなんだ。

町山:
 でも、建築業者とかは雇ってるんですよね?

ジャレット:
 いや、参加者が建築も手伝ってくれるんだ。

町山:
 へぇ~! みんなの改造車はどこから持ってくるの?

ジャレット:
 車は年々奇抜になって、どんどんうるさくなってるね(笑)。ウェイストランドは車の新しい文化になってきてるよ。みんな、遠く離れたところから運転して持ってくるんだ。

町山:
 改造車は違法なものもあるよね? どうやって公道を走ってきているんだろう?

ジャレット:
 トレーラーで持ってきたり、到着してから装飾をつけたりするのさ。

町山:
 なるほど~。

アダム:
 みんなプロの技術屋じゃないから、ガレージなどもアイデアを出しあって、自分たちで管理してるんだ。

ジャレット:
 毎年参加してる人は、他の車を参考にしているみたいだね。最初の年は運営側がモデルカーも展示していたけど、今では各人が創造性を発揮した車が数多くある。

町山:
 イベントが終わった後は、建物や美術はどうするんですか?

アダム:
 ここにあるものは全部なくなるよ。

ジャレット:
 1週間後に来たら、ただの砂漠が広がっているだけ(笑)。持ってきたものは全部持って帰るからね。

町山:
 本当に!? この鉄も?

アダム:
 ジグソーパズルと同じなんだ。バラバラに小さくしてトレーラーに積むのさ。よく見るとピースになってるのが分かるだろ? 

町山:
 ホントだ! すごいなぁ! 

アダム:
 設置から解体までは数週間かかる。そして跡形もなくなる。言うなれば、この町は生きているんだよ。砂漠の中で育ち、風に消えるのさ。

町山:
 Amazing……。カリフォルニアシティの反応はどうですか?

ジャレット:
 良い関係だよ。最初の頃は怪しまれたりしたけどね(笑)。参加者のみんなは、見た目と違って親切な人たちばかりなんだよ。

アダム:
 武装してるし、見た目は恐いけど中身は優しい。

ジャレット:
 本当の終末じゃなくて、“ハリウッド版終末”だからね。映画やゲームが元になっている。悲しいことは望んでいないんだ。

町山:
 参加したい人はまだまだいると思います。特に日本人は……日本には砂漠がないので(笑)。

ジャレット:
 砂漠は現実から切り離される感じがいいんだ。ここの砂漠のサンセットは本当に美しい。

町山:
 他の国でもこういったイベントはあるのかな?

ジャレット:
 ヨーロッパでいくつかあるみたいだし、私たちもいろいろな場所で開催したいと思ってるよ。廃工場とか森とかね。他の人たちが主催するイベントも興味深いよ。それぞれ個性が出るから面白いだろうね。

町山:
 日本人も歓迎してくれる?

ジャレットアダム
 もちろんさ! 日本人の参加は5年前が初めてだったかな。ロサンゼルスに旅行に来て、開催前日にこのイベントのことを知ったらしいんだ。『マッドマックス』のファンでとても喜んでいたよ(笑)。それ以後、日本からの参加も増えたと思う。

町山:
 最後に、日本のみんなにメッセージをもらってもいいでしょうか?

ジャレット:
 世紀末にようこそ。砂漠に来たくなったら、ウェイストランド祭で会いましょう。

アダム:
 私たちのウェイストランドで待ってるよ(笑)。

ジャレット:
 これから来る人のために、ウェイストランドの挨拶を教えておくよ。アメリカではこれ(Fxckサイン)は失礼なサインだよね? でも、ここではそのサインが挨拶になるんだ。でも、ウェイストランド・ウィークエンドは頭文字がWWだから、Wが来たらWで返すんだ。中指を出して親指も出すのさ!

町山:
 Thank you so much!

町山:
 ファッキュー! と叫ぶと、みんな、挨拶としてファッキューと叫び返しますね(笑)。すごい空間だなぁ。

町山:
 ファックだらけですね~。あ! あそこにすごいコスチュームの男性がいますね!

男性:
 ソードは定規をもとにして作ったんだ。そして、ナンバープレートで防具を作ったんだよ! パーティーではタダでビールが飲めるから、君たちも時間があったらおいでよ!

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