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90年代風MVが映えるダウンテンポなエレクトロニカ! 異なる魅力を持つ2人のボカロPによる共作『ナイトモード』

 今回紹介するのはユーザー企画「I or We GRAND PRIX」の参加曲である「ナイトモード」です。

文/「め」


 過去に「IPPUN GRAND PRIX」を開催していたことで知られるボカコロが運営する投稿祭で、そのテーマは二人組を作れなかった「ぼっち陣営」と無事二人組を作れた「合作陣営」に分かれて合戦するといったものです。ニコニコ動画でのハッシュタグは「IorWeGP」。

 本作「ナイトモード」は合作陣営の側による参加作品で、城京さんとLoAさんの共作となっています。

 城京さんはテンプレートからあえて外れるような独特のリズム感グルーヴ感を持つ方で、対してLoAさんはニコニコ動画において「エレクトロスウィング」タグを付けられるような、4つ打ち主体の安定的にパワフルな曲を書くことが多い方です。
 そんな異なる魅力を持つ両者が合わさった結果生まれたのは、ダウンテンポなエレクトロニカ。MVからはフィルムライクな正方形の映像、ブラウン管で見ているようなエフェクト、レトロ風なイラストといった表現が使われていて、ローファイな香りがします。

 曲調に注目すると、音数が多くないぶん曲の基盤となるリズムが強調されている構成ですが、このリズムが非常におもしろい!ダウンテンポな作品ではリズムでもって曲全体を引っ張っていくタイプの曲が多く、本作もAメロではどっしりしたドラムを構えています。 
 しかしイントロではキックの音を限界まで減らした上に、つんのめるような意図的にズラしたタイミングで鳴らしています。聴く人によっては特異なリズムだとして「VOCALOIDよれよれ曲リンク」タグに分類される作品に近しいものを感じるかもしれません。

 そしてサビでは逆にキックの数を大幅に増やしており、突然ハイテンポになったのかと錯覚させるくらいの勢いに変化します。
 この緩急がとても良い!何より、曲の盛り上がりを表現するのにドラムのキックが単体としてここまで直接的に大きな役割を担っているというのは非常に独創的で新鮮です。

 それだけではありません。この安定と不安定の双方を取り入れたドラムは、先述した二人の作風がそのまま反映されていると考えられます。均整のとれたLoAさんのリズム感、そして既存の枠組みに囚われない城京さんのリズム感。特筆する要素が同じでありながら方向性を異にする、両者の性質が混ざりあった末に生まれた化学反応と言えるでしょう。

 複数のクリエイターがひとつの曲を作り上げることで、共通項となる部分は倍加され、差異のある部分は曲に多面的な魅力をもたらしてくれる。”共作”に対して我々リスナーが思い描く理想を見事に体現しているのが、この「ナイトモード」なんです。


「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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