【VOCALOID殿堂入り】AメロとBメロでの異なるリズム構成の展開に圧巻!線の細いギターとストリングスが脳裏に刻み込まれる『不時着』
今回紹介するのは、Adeliaeさんの楽曲「不時着」です。
文/「め」
ボカコレ参加曲では軒並みランキング上位をキープ。全国放送のTV番組「musicるTV」で特集された経験もあり、いまやボカロシーンの中心地のひとつであるリズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」では楽曲公募企画の「プロセカNEXT」にて「エターナルアリア」が採用されるなど、今もっとも勢いに乗っているボカロPの一人がAdeliaeさんです。
そんな氏が初めてニコニコ動画において10万再生、記念すべき”VOCALOID殿堂入り”を果たしたのが本作「不時着」。
本作の特徴というと線の細いギターサウンドと奏でられる空間の真ん中で牽引するストリングス、ベースやバスドラといった低音域よりギターや弦楽器等の中高音域を強調するサウンドメイク、また浮遊感のあるコード進行に先の読めない曲展開が挙げられます。この中でもコード進行と曲展開はAdeliaeさんの作品群でおよそ共通している点で、それに留まらずこれらこそが本作のテーマとも呼ぶべき中心的な要素だと考えることができます。
意外なコードと曲展開の上にそのまま乗せるようにボーカルラインが作られているため、全体として「次にどこへ向かうのか予想できない」というドキドキ感を味わうことができます。加えてこの曲は歌メロの音程上下が大きくなく、曲がどのように盛り上がるのか、どのようにタメを作るのか、そしてどのように終止するのかがボーカルから推測できません。
リズムと構成について考えると、Aメロは最後の部分だけ早く打ち切ってBメロに突入しており、Bメロでは変拍子が使われています。これが浮遊感、先の読めなさをさらに補強しています。
これらの要素が重なって紡がれる予測不能の曲展開は、まさに「不時着」というタイトルにこれ以上なく合致している曲調なんです。
〈どこが着地点だって分かりそうもない〉という歌詞は、聴いているリスナーの気持ちを代弁しているような。そしてその先の〈不時着も厭わない〉はそれを加味した上でのAdeliaeさんの意志であるように思えてなりません。
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
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