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自動車内で芳香スプレーを1缶使い切った後、ライターを点火し大爆発 イギリスの街中で起きた事故を振り返る

 今回紹介するのは、ゆっくりするところが投稿した『【2019年イギリス】「車の中をいい香りにしよ」→ライター点火で大爆発【ゆっくり解説】』という動画。

 自動車の車内で芳香スプレーを使ったことが原因で大爆発が起きた事故について、音声読み上げソフトを使用して解説しています。


■事故が起きたのはイギリス・ウェストヨークシャー州ハリファクス

魔理沙:
 今回紹介するのは「ハリファクス自動車爆発事故」だ。これは自動車の事故ではあるが、交通事故の類いではなく、少し特殊なものとなっている。
 イングランド北部に位置するウエストヨークシャー州の町「ハリファクス」。

 ここは自然豊かで大変美しい港町として知られ、大学やカレッジが多く、人工の約半分が学生という少し特殊な場所になっている。
 かつては羊毛製造が盛んで、イギリスの羊毛産業の中心地として栄えた歴史もあるが、現在は港町という立地を活かし、マリンスポーツをはじめとした様々なアウトドアアクティビティーが楽しめる、観光地、保養地として、人気のある街だな。

霊夢:
 いいなあー。イギリスの港町とか絶対おしゃれで楽しいわよ。

魔理沙:
 2019年12月。そんなハリファクスの街中で、突然、車が大爆発を起こすという恐ろしい事故が起こった。この日の午後3時頃、市内でも特にレストランやカフェなどが多い、にぎやかな街の中で、突如として爆発音が鳴り響いた。
 路上に駐車していた乗用車が、内側から突然爆発し、窓ガラスが周囲に散乱した。この爆発で乗用車は大破。そして、中からは1人の男性が慌てて這い出してきた。

霊夢:
 人が乗ってたの!?

魔理沙:
 ああ、この男性はAさん。この車の運転席に座っていた彼は、突然の大爆発に驚き、ドアを開けて、アスファルトの地面に這い出していた。
 通行人などによって、すぐに消防に通報され、間もなく、現場に緊急車両が到着。Aさんは近くの病院に搬送されていった。

霊夢:
 なんで急に爆発が?

魔理沙:
 警察が交通整理を行い、消防は爆発した車を調べ、二次災害が発生しないように対策がとられた。そのうえで、警察はAさんが搬送された病院に移動し、治療を受けたAさんから当時の様子や原因などを探るため、事情聴取を行った。

霊夢:
 Aさんは無事だったの?

魔理沙:
 ああ。なんと彼は大爆発を起こした車内にいたにも関わらず、奇跡的に命に別状はなかった。

霊夢:
 よ、よかった……。

魔理沙:
 それどころか、手や顔に軽い熱傷を負った程度で、後遺症などの心配もないほど軽傷だったという。

霊夢:
 よくあんな大爆発で、それだけの怪我ですんだわね……。

■爆発はなぜ起きた?

魔理沙:
 大爆発したことに間違いはなかったが、大きな火災などが発生したわけではなかったからかもしれない。火が出たのは短い間だったそうだ。そして、その後行われた調査で、爆発した原因が判明した。

霊夢:
 なんで、Aさんはそんなことになったのかしら。

魔理沙:
 爆発が起こる数十分ほど前。彼は自分の車を駐車した後、運転席の窓を開け、車内で芳香スプレーを使用した。スプレー式の香りつき消臭剤で、彼は車に染み付いたタバコのにおいなどを消すため、このスプレーをマーケットで購入した後、車内で噴射していたんだ。
 彼は車内でこのスプレーを丸々1本使い切り、スプレー缶が空になったことを確認し、今度は窓を閉めき切って、車外に出た

霊夢:
 まるまる1本も……。

魔理沙:
 Aさんはスプレーの効果がよく出るように、車の窓を閉め切って、スプレーの香りがシートなどに定着するまで、近くの商店で買い物などをして時間をつぶした。
 そして、10分ほどが経過した後、車に戻ったAさんは、運転席のドアを開け、中の様子を確認した。
 スプレーのさわやかな香りが充満した車内に満足した彼は、運転席に座り、エンジンをかけて発車した。

霊夢:
 あれ、何事もなかったんだ。

魔理沙:
 ここまではな。そこから約1キロ弱ほど移動したところで、Aさんは再び車の窓を閉め切り、ポケットから煙草を出して、ライターで火をつけた

霊夢:
 ま、まさか……。

魔理沙:
 するとその瞬間、彼の足元に光が広がり、凄まじい爆発音が周囲になり響いた。

霊夢:
 イヤアアアアアアアアアアアアアアア!

魔理沙:
 爆発の規模は大きく、フロントガラスをはじめ、車の窓ガラスはすべて吹き飛び、バンパーが外れるほどの衝撃だった。
 彼はスプレーを車内に噴射した後、時間をおいて、その後窓ガラスを開けて運転していたものの、車の中にはまだスプレーの可燃性ガスが充満した状態になっていた。だが、Aさんはそのことを考えておらず、ライターで煙草に火をつけようとして、点火した瞬間に、ガスに引火し、爆発していたんだ。

霊夢:
 そういうことだったんだ……。

魔理沙:
 事故現場の状態を最初に見た消防隊員は、「もし車内に人がいたとしたら、絶対に亡くなっているだろう」と考えていたので、Aさんが自力で這い出し、しかも軽傷で済んでいたことに心底驚いていたという。

霊夢:
 ほんと、そんな爆発が目の前で起きたら、ふつうに生きてられないわ……。

魔理沙:
 奇跡としか言いようがないだろうな。ちなみに、彼はその日のうちに退院し、無事に元の生活に戻っていったという。

 消臭スプレーなどといったエアゾール製品は、大量の可燃性ガスが含まれていることがほとんどだ。そのため、使用する場所で火気厳禁なのはもちろんのこと、使用する場所にも細心の注意を払わなければならなかった。
 わが国でも、車用芳香スプレーに起因する火災や爆発事故は多く発生しており、自治体やメーカーは取り扱いに関しての注意喚起を行っている。

霊夢:
 見たことあるかも……。

魔理沙:
 こういったスプレー式の商品には、その多くにLPガスや、ジメチルエーテルといった、可燃性の高圧ガスが使用されている。物によっては内容物を溶かすための溶剤が入っている場合もあるな。

霊夢:
 カラースプレーとかね。

魔理沙:
 なので、これらのスプレーは火気厳禁、そして密室での使用は避けなければならない。

霊夢:
 ガス系はどの商品でも、を基本的に換気しないと危ないのよね……。

■スプレーを使うときは充分な換気が重要

魔理沙:
 そうだ。塗料や溶剤などを使用する時と同じく、十分に換気した場所で使用しなければ、今回のような事故が起きたり、ガスを吸い込んで健康被害が出たりするからな。

霊夢:
 Aさんは一応車を出した時に、窓を開けてたのに、どうして爆発しちゃったのかしら? スプレーを使ってから結構時間も経ってるし……。

魔理沙:
 それはおそらく、ガスの重さと量が関係しているだろうな。Aさんは、スプレーを丸ごと一本全て使い切っていた。これは、車のような狭い場所で使う量としては多すぎた。
 そして、エアゾールスプレーに含まれるLPガスというのは、空気よりも重いものだ。気体のLPガスは空気の約1.5倍から2倍の重量があり、空気中に放出されると、すぐに底部にたまっていく。

霊夢:
 だから足元から火がついていたんだ……。

魔理沙:
 そういうことだろうな。車内の底部にガスがたまっていたため、運転席の窓を少し開けたくらいでは車内の空気が十分に入れ替えられず、彼が移動していたときも、ずっと足元にガスがたまっていたものと考えられている。

霊夢:
 そういうことだったんだ。Aさんは軽傷で済んでよかったけど、一歩間違えば命を落としてたかもしれないのよね……。

■缶スプレーの扱いには充分な注意を!

魔理沙:
 ああ。何しろガラスがすべて吹き飛んでしまうほどの威力だったからな。本当に奇跡としか言いようがない。エアゾールスプレーは、利用時の注意は当然のことながら、その保管場所や、廃棄方法にも気を付けなければならない。
 一般的なエアゾールスプレー商品は、「保管場所の温度が40度を超えないように」との表示がされていることが多い。高温状態の場所で保管すると、中身が膨張して破裂したり、爆発したりする危険があるからだ。

霊夢:
 火がなくても……。

魔理沙:
 夏場に車のダッシュボードに制汗スプレーを放置し、爆発して火災に繋がったような事例もある。

霊夢:
 こわっ! 何もしてなくても爆発する危険もあるのね。

魔理沙:
 「高圧ガス保安法」という法律では、エアゾール製品の容器として使用する缶は、70℃から80℃以下では、破裂しない程度の耐圧性を確保するように定めてはいるものの、直射日光が当たるような場所や、暖房器具の近くなど、その時の状況によって、さらに高温になる可能性があるような場所に置いてしまえば、缶が形を保てないほど中身が膨張することもある。
 それと、スプレーを使い終わった後も重要だ。

霊夢:
 あ、そういえばスプレー缶って必ず「使い切ってから捨ててね」って書いてあるわよね。

魔理沙:
 ああ、中にガスがまだ残っている状態で廃棄すると、ごみ収集時などに容器が破裂し、火災などにつながる危険性があるからな。
 まとめると、スプレー缶のほとんどは可燃性ガスが含まれているので、火気のある場所で使わないこと。使用する時は必ず十分に換気すること。使い終わったら、直射日光が当たらないような、高温になる可能性が低い場所に保管すること。
 ただこのとき、冷暗所だとしても湿度が高い場所に長期間保管しておくと、容器が錆びて破損する危険もあるので、湿度にも注意だな。

霊夢:
 缶も金属だしね。

魔理沙:
 そして、使い終わったスプレーは中身の薬剤や塗料か出なくなった後も、ガスが完全に出なくなるまで使い切ること。自治体によっては穴を開けてから廃棄するように指示されている場合もあるが、その時は火気のない風通しのいい屋外で行おう。
 それが難しい場合は、各自治体まで問い合わせれば、中身が入った状態でも回収してくれる場合がある。

霊夢:
 自分で処理するのが怖い人もいるでしょうね。

魔理沙:
 中身がどうしても使い切れないが、それでも捨てたい場合も、メーカーや自治体に連絡すれば、適切な処理方法を教えてくれるので、分からないことがあったら、相談してみてくれ。

■生活には欠かせない缶スプレー

霊夢:
 スプレーって便利だけど、よく考えるとけっこう危ないものなのよね。

魔理沙:
 そうだな……エアゾールスプレーは、本当に様々なものが販売されていて、私たちの生活に欠かせないものとなっている。しかし、その危険性を正しく認識し、適切な利用方法をとらなければ、今回のような恐ろしい事故を起こすこともあるんだ。

霊夢:
 Aさんもさすがにスプレーに火が付くことくらいは知ってたんでしょうけど、あんなに長い間車内にガスが残っているとは思わなかったんでしょうね……。

魔理沙:
 そうだろうな、彼は奇跡的に軽傷で済んだが、これは本当に稀なケースだ。毎年、夏になると気温がどんどん高くなるし、虫よけスプレーや制汗スプレーを使う場面も多くなっていくだろう。
 そういうとき、今回のような過去の事例を思い出し、危険がないように安全に利用してもらえるといいな。

霊夢:
 そうね……私も他人事だと思わないで、スプレーを使う時は、ちゃんといろいろ気をつけよ……。

 

 解説をノーカットでご覧になりたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

【2019年イギリス】「車の中をいい香りにしよ」→ライター点火で大爆発【ゆっくり解説】

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