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ニコ動を盛り上げるコメントアートはどのように作られるのか? コメント職人にノウハウや秘訣など聞いてみた! 『週刊ニコニコインフォ 第40号』レポート

 今のニコニコを伝える、今後のニコニコについてみんなで考える番組『週刊ニコニコインフォ』。

 40回目の放送では、司会に百花繚乱氏、運営から栗田穣崇氏、そして今週のピックアップゲストコーナーには、・M・(まー)氏が登場。

 コメントアート職人の・M・(まー)氏が語るニコニコとの出会いや、なぜコメントアートと投稿するようになったのか、どのようにコメントアートを製作しているのかなどについて話しました。

 他のコーナーでは、直近で盛り上がった&注目を集めた動画を紹介、動画のコメントを褒める「ニコる」機能の利用傾向などついて取り上げました。

左から、司会の百花繚乱氏、リモートゲストの・M・(まー)氏、ニコニコ代表の栗田穣崇氏

■ニコニコで今話題のTOPICS&ユーザー投稿動画

 番組は、「今週のホットなTOPICS」に沿って話題の動画やホットニュース、トレンド情報を伝える「ホットな話題はどこだ?ここだ!ニコニコだ~!」からスタートとなります。

 「今週のホットなTOPICS」は以下の通り。

ニコニコ検索トレンドワード

 まずは男女別に集計された「ニコニコ検索トレンドワード」。

 ここでは、先週に引き続き「プレミアム限定動画」、「実況プレイ動画」、「ウマ娘」関連ワードの強さ、さらに「VOCALOID」のランクインが男女共通に。

 男性検索トレンドでは「バイオハザードヴィレッジ」の上昇、女性の検索トレンドでは定番の「ツイステ」「刀剣乱舞」関連ワードから「偽実況」の上昇が話題になりました。

今月のアニバーサリー動画(2021年5月)

 「今月のアニバーサリー動画」では、「【簡単に】ビールにあうおつまみ【すぐ出来る】」が13周年、「青鬼実況」が12周年、「ERROR」が9周年を迎えることを紹介。

 なお、コメントした動画が100万再生を突破すると通知が届く機能がリリースされたことも紹介されました。

■2021年5月のアニバーサリー動画

・【簡単に】ビールにあうおつまみ【すぐ出来る】
https://www.nicovideo.jp/watch/sm3467692

・【青鬼】絶叫に定評のある友人に無理やり実況させた【実況】part9
https://www.nicovideo.jp/watch/sm7148387

・【波音リツキレ音源】-ERROR 【UTAUカバー】
https://www.nicovideo.jp/watch/sm17969073

・すろぉもぉしょん / 初音ミク
https://www.nicovideo.jp/watch/sm23648996

・【幕末志士】ノスタル志士Ⅱ 前編【実況プレイ】
https://www.nicovideo.jp/watch/sm28765826

今週のピックアップ動画

話が違う/v-flower」を番組中に紹介

 今週も各タグから注目された動画をピックアップ。

 「期待の新人」タグより『話が違う/v-flower』、「夫婦キャンプ」タグより『ココキャン 第74話『牛タン丸焼き!豪華キャンプ!!』、「VOICEROID解説」ハッシュタグより『あかりちゃんの新型コロナ感染レポート』、「歌ってみた」ハッシュタグより『多重人格が歌ってみた~ヴィラン~』の4本を紹介。

 その中でも『あかりちゃんの新型コロナ感染レポート』には、新型コロナに関するリアルな実体験がまとめられており、もしもの場合に参考になる情報がまとめられていて「とてもためになる」といったコメントが寄せられました。

・話が違う/v-flower
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38669107

・ココキャン 第74話『牛タン丸焼き!豪華キャンプ!!
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38674652

・あかりちゃんの新型コロナ感染レポート
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38725431

・多重人格が歌ってみた~ヴィラン~
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38630142

あかりちゃんの新型コロナ感染レポート」を番組中に紹介

■コメントクリエイターの・M・(まー)氏がゲスト出演!

 今週のゲストコーナーには、ニコニコネット超会議の「コメントアート合作」の主催者・M・(まー)氏がリモートで登場しました。

 コメントアートとは、ニコニコ動画のコメント機能を用いて動画に様々な装飾を施すコメント、またはコメント群のことを指し、これらを制作・投稿するユーザーはコメント職人と呼ばれることもあります。

 今回は、長年にわたってニコニコ動画でコメントアートを投稿して、動画や生放送を盛り上げている・M・(まー)氏に話を伺いました。

──ニコニコを知ったきっかけを教えてください。

・M・(まー)氏(以下、まー):
 2007年か2008年頃、当時僕は中学生だったんですけど、クラスの友達が家に来て、面白い動画サイトがあるよ~と教えてくれたのがニコニコ動画でした。
 そのまま友達のアカウントでログインして色々な動画を教えてもらいました。

──当時どんな動画を見たか覚えてますか?

まー:
 そうですね。「エアーマンが倒せない」で回転竜巻の弾幕が流れているのを見て、「なんだこりゃ!?」と思った覚えがあります。今でも印象に残っています。

──自分の投稿した動画で思い入れの強い作品は?

まー:
 やっぱり『少し楽しくなるコメント動画【中曽根OFF合作】 です!』ですね。

(画像は中曽根OFF合作動画少し楽しくなるコメント動画【中曽根OFF合作】より)

──この動画は制作にどれくらいかかったんですか?

まー:
 自分でもビックリするんですけど、たった3日で出来たんですよ。

──凄いですね! 動画の参加者の25名は元々の知り合いだったんですか?

まー:
 基本的には同じコメント製作者でTwitterなどのつながりがある方ですね。
 最初は数名でやっていたんですが、「俺もやるぜ」とどんどん参加してくださる方が増えていきました。

──誰のコメントをどこに使うかなどどうやって決めていったんですか?

まー:
 Googleのスプレッドシートを使って決めていきました。使えるコメントにも限りがあるので、1人当たりのコメント数を制限をしたりもしています。
 新しくニコニコに来た人たちに見て欲しいという思いもあったので、人数は多かったですが協力し合いながらスムーズに制作がすすみました。

栗田:
 コメント製作者さんそれぞれに得意分野があったりするんですか?

まー:
 得意分野はありまして、絵が得意な方、歌詞が得意な方、装飾が得意な方、と多種多様です。ちなみに僕の得意分野は絵を作ることです。
 合作ではヱヴァンゲリヲンのパートがわかりやすいんですが、まず僕が歌詞を得意とするコメント製作者さんにオファーして、そこからアイデアを出し合ったり、位置を調整したりしています。

百花繚乱:
 実際のところ大変でした?

まー:
 めちゃくちゃ大変でした(笑)。
 普段平日は仕事しているので、帰ってきて夜10時~11時ころから2時~3時まで張り付いてということが連日続いていました。

 「コメントで食える」というお話をしていいですか?

──どういうことですか?

まー:
 クリエイター奨励プログラムに登録することで、お金がもらえる場所ができるということです。

 コメント製作者には若い世代や中高生も多いです。プレミアム登録しないと解禁されない「カラーコード」が使えないとコメントアートには不利な部分もあるので、そういった若い世代に向けてクリ奨で頂いたお金をWEBマネーで還元したりする活動もしています。

百花繚乱:
 コメントで食ってないというか、どうぞどうぞって配っちゃってるじゃないですか!食わせてる方ですね!
 「炊き出し」ってコメント来てますよ(笑)。 

──他にご自身の投稿動画で思い入れのあるものはありますか?

まー:
  『【コメントアート】第1回匿名絵系イベント』ですね。
 これも僕が主催でやらせて頂いたイベントなんですが、こちらは特に盛り上がったな! という印象があります。
 コメント製作者同士のコミュニケーションや技術の向上にもなったかなと思っています。

──こういったコメントアートってどうやって練習してるんですか?

まー:
 そうですよね。白背景でのコマンドテスト、通称「コマテ」というものがありまして、これはコメントアート製作者の相棒と言っても過言ではありません。
 公開の物を使ったりもしますが、みんな自分専用の物を持っていたり、ニコニコのバージョンアップや仕様変更にもあわせながらひっそり練習しています。

──自分が投稿したもの以外で印象に残っている動画は?

まー:
 『キラッ☆を投コメで再現してみた』です。コメントでここまで出来るんだと度肝を抜かされた動画です。それまではコメントして遊ぶ程度だったんですが、コメントで動画が制作出来てしまうということを示してくれた作品です。革命でしたね。
 正直、何がどうなっているのかわからなかったです。この動画から多大なる影響を受けています。

──コメント職人になったきっかけは?

まー:
 「アイドルマスター KOTOKO Princess Bride!」のコメントアートで初めて興味を持ったのが直接のきっかけでした。

──ニコニコでコメントを打つだけでなく、コメントでアートすることにはどんな魅力がありますか?

まー:
 自分を表現するのが面白いというのもありますし、ニコニコのコメントって制約・制限があるので、創意工夫しながら思い描いたものを作れた時の達成感がコメントアートの魅力です。

 また、動画にコメントアートを貼るのは、動画全体の盛り上がりに貢献出来るので魅力的ですね。

──コメントで絵ってどうやって作るんですか?

まー:
 作り方も色々あるんですが、僕は元になるものを見ながらトレースしていきます。エクセル、ワード、パワーポイントでもこういったトレースは出来ちゃうんです。

──漢字や記号や色々使いますが、あれってどうやって勉強されているんですか?

まー:
 僕はコメントアートに触れたのが比較的遅い方だったので、既にコメントアートの教科書的なものが存在していたんです。
 組曲ニコニコ動画はやっぱり教科書となる場所であり、大きな存在ですね。

 他にもイベントやお祭りのまとめ動画を作ってくださる方の動画にコメントアートが投稿されることも多いんですが、それをスクリーンショットで撮ったりして、丸みの出し方や、瞳の中のきらめきの出し方を勉強したりしていました。

──コメント職人として「コメントしたいな」と思うタイミングってどのような時ですか?

まー:
 普通に共感した時や相槌的なタイミング、コメントアートとして打ちたいなという時は「ボケたいな」というタイミングが多いですね。

栗田:
 タイミングって一瞬じゃないですか。コメントアートのネタ帳みたいなものを持っていらっしゃるんですか?

まー:
 そうですね。みなさん持っていると思います。ここぞという時に貼れるように。

 生放送のコメント職人と動画のコメント職人というのは別物で、僕は動画のコメント職人ですね。
 なので、生放送のコメント職人の方がどうやってあのタイミングで作っているのかは全くわからないです。凄いなと思いますし、参考になっています。

──今まで作ってきた作品の中で「これ一番命削ったな~!」というものはありますか?

まー:
 一番好きという意味合いでは「エアーマン」のコメントアートが好きで、ニコニコのバージョンアップで使えなくなってしまったりすると、新しく作り直すくらい好きです。

百花繚乱:
 これ何度も見てます!

まー:
 何度も貼りすぎて怒られたこともあります(笑)

一同:
 (笑)

──コメントアートってどのように作ってらっしゃいますか?

まー:
 有志の方が作ってくださったツールを使って作っています。

 制作過程を動画で紹介したものもあります。
 こういったツールはニコニコニュースさんでも取り上げて頂いたことがあるので、是非読んで使って頂けると嬉しいです。

■関連記事
これであなたもニコ動のコメント職人になれる!? お絵描き感覚で簡単にコメントアートを作れるソフトが楽しい!!

【コメントアート】絵系CA製作動画(デフォルメ編)【キャプチャ動画】」を番組中に紹介

──コメントアートって何かに例えられたりしますか?

まー:
 よく、コメントアート職人って花火職人に似ているところがあると表現されるんですが、僕にとってはストリートアートに近い気がしています。
 人によっては落書きだったり、ある人が見たら芸術だったり。人それぞれに意見が分かれやすいものなのかなと思っています。
 ただ、僕自身としては「楽しいからやっている」というものですね。

百花繚乱:
 確かに自分の投稿した動画にコメントアートがつくと、「あ、この動画の価値が凄く上がった気がする!」という気持ちになりますからね!

──コメントアートを打って良かったなと思えるタイミングはどのような時ですか?

まー:
 コメントを打つことで参加できた、盛り上がりに貢献できた、というのが一番良かったなというポイントですね。
 投稿者さんに診てもらえるのも嬉しいですし、最近だと「ニコる」が復活したじゃないですか。なので、「ニコる」してもらえると、ニチャアっとしちゃいますね。

一同:
 (笑)

──初心者向けにオススメのコメントはありますか?

まー:
 「!」や「?」マークですね。単純ですがインパクトがあるんですよ。あとは「ここすき」もオススメですね。

──タイミング的なアドバイスはありますか?

まー:
 タイミングは気にされなくても大丈夫かと思います。ワンテンポ遅い方が面白かったりすることもあるじゃないですか。
 配信者さんが「おせーよ!」ってツッコんでくれたり。
 僕はよくやるんですが、相槌の「そうだね」って打つ時間を短縮するのに、「ね」だけ打つですとか。「そうそうそう」じゃなくて、「そそそ」とか。

──コメントを打つようになって変わったことはありますか?

まー:
 ネット上での知り合いが増えました。人によっては10年以上のお付き合いという方もいます。
 当時は中学生だったので、何が良くて何がいけないのかというところから教えてくださった方もいます。

──活動のインスピレーションはどのようなタイミングで湧きますか?

まー:
 一番刺激になるのは、周りのコメント製作者さんの作品を見ることです。実際に作品に触れることがインスピレーションになり、モチベーションにもなりますね。

──モチベーションは他にもありますか?

まー:
 当時中学生だった頃、様々なコメントアート製作者の方々からコメントの楽しさ、コメントアートの奥深さ・CAイベントの合同企画運営など様々なことを学びました。参加して「楽しい!」という気持ちが今でもあります。
 今は自分が大人になって、そういった楽しさを今のコメントアート製作者の方々へ伝えていけたらなと思っています。
 そういった恩返し的なものが僕の中のモチベーションの一つになっています。

──ニコニコに望むことや問題点と感じるものはありますか?

まー:
 良いところと言いますか、まず感謝しかないです。
 コメントアートを文化と認めてくれたところって他にないので。コメント機能をないがしろにせず育ててくれたのもありがたいです。

 コメント製作者目線だと、コメントをパソコンで見た時と、スマートフォンで見た時の違い。
 スマートフォンで見た時に、どうしても出来てないぞとか、おかしいぞという部分があったりするので、ここが改善してもらえると嬉しいです。

栗田:
 貴重なご意見ありがとうございます。
 また、こちらの改善点に関する資料までおつくり頂いて本当にありがとうございます。

──今後挑戦してみたいことはありますか?

まー:
 今僕は自分のことを「コメント講師」と名乗っているんですけど、コメント機能に関して便利なコマンド機能・設定が備わっているのに使われていないことが、もったいないなと常々感じています。
 昨年は「ニコる」をもらえるようにする発表をさせて頂く場を用意して頂いたのですが、これからもコメントを面白くしていく活動が出来ればなと思っています。

 やりたい企画としては、遅れてきたユーザー企画「超ニコる」を先ほど立ち上げました。
 皆さんのニコられた、ニコったコメントを 「#超ニコる」 のタグをつけて呟いてくれると嬉しいです!

 僕自身もどんなコメントがニコられるのかなと知りたい部分もありますし、こういう面白いコメントがあったんだと知ってもらえるきっかけにもなればと考えています。

■・M・(まー)氏公式Twitter
https://twitter.com/x_0227

■・M・(まー)氏ユーザーページ
https://www.nicovideo.jp/user/7844400

■ニコられたユーザーはコメント回数が増える? 「ニコる」の利用傾向を公開

 続いてのコーナーは、「niconicoの未来に向かって、ユーザーのみなさんとフィーチャリングして、共に歩んでいこう!」という「niconico future feature」です。

 今回は、コメントを褒める「ニコる」機能について、その利用傾向や効果を紹介。

 また、iOS版ニコニコ動画アプリでは、コメント投稿の表示前に「お願い」が表示されるようになったことを取り上げました。

【5/20追記】みんなでニコニコできるコメントをお願いします【ニコニコ動画】より

 「niconico future feature」で紹介された機能やアップデート情報などは、下記のダイジェスト動画からも確認できます。

(了)

■番組インフォ

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