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日本初の赤外線天文衛星「あかり」って知ってる? 科学的意義や、誕生までの苦難すぎる歴史を解説してみた

 今回紹介するのは、スカイ三平さんが投稿した『【ゆっくり解説】見えないもの見る!日本初の赤外線天文衛星あかりを解説!前編』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)のふたりのキャラクターが、日本初の赤外線天文衛星「あかり」について解説していきます。

投稿者メッセージ(動画説明文より)

今回は赤外線天文衛星あかりについて解説します
なぜ、わざわざ赤外線で宇宙を観測する必要があるのか?
そこには、地上ではできない事情があった!
日本初の試みとなった赤外線での観測衛星に挑戦する宇宙開発を紹介します
※絶対零度の説明で「付近」という言葉が足りませんでした
絶対零度まで冷やすことは不可能なので。


銀河内のさまざまな探索のために誕生した「あかり」

左から霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)

霊夢:
 前回はX線天文衛星の「すざく」を解説したんだけど、今回は次に打ち上げられた赤外線天文衛星あかりね。

魔理沙:
 なんでX線とか赤外線を検出しようとするんだ?

霊夢:
 天体から発するのは可視光だけじゃなくて、X線とか赤外線、ガンマ線などの波長もあって、暗くてよく見えない天体でも、可視光以外の波長を検出することで、観測しやすくなるわ

魔理沙:
 そういうのもあるんだな。でも、そういうことができるんだったら、わざわざ衛星を打ち上げなくても地上からやればいいのにな。

霊夢:
 X線や赤外線治って地上の施設では難しくてね、地球の大気に吸収されちゃって、地上までなかなか波長が届かないわ。だから大気圏外まで衛星を打ち上げる必要があるってことね。

魔理沙:
 なるほどな。ちなみに、あかりは何を調べるために打ち上げられたんだ?

霊夢:
 銀河ってあるでしょう? 太陽系も天の川銀河にいるわけだけど、銀河内での 星の誕生から最期までの過程の調査、褐色矮星っていう光などのエネルギーを自ら発する恒星になり損ねた天体の探索、太陽系外惑星の探索、未知の彗星の発見を目的にしているわ。

魔理沙:
 褐色矮星というのがちょっとわからないな。

霊夢:
 太陽みたいに、熱や光などのエネルギーを自ら発するようになるためには、大きな質量などが必要なんだけど、それが足りなかったために、惑星でもなく恒星でもない褐色矮星という存在になったものね。

装置の不具合、開発予算……立ちはだかる大きな壁

霊夢:
 さて、天文衛星「あかり」なんだけど、日本としては今まで気球だったり、 宇宙実験・観測フリーフライヤーという工学実験機を宇宙に飛ばしたり、宇宙科学研究所がいろいろやってたんだけど、気球では大きな観測機器は搭載できないし、宇宙実験・観測フリーフライヤーは共同研究だから、研究成果が狭い。

霊夢:
 宇宙科学研究所としては、満足のいく研究成果を得るには、独自で衛星を上げるしかないという結論に至って、独自の赤外線観測装置を搭載した気球放球実験を、オーストラリアでやってたんだけど、観測装置がうまく稼働しなかったりして、当時の研究開発者には苦い思い出が残るくらい難航してね。

 試行錯誤の末、やっとのことで実験に成功して完成させたわ。

霊夢:
 そんな宇宙研が一瞬だけ有頂天になることがあったわ。同じ頃NASAの宇宙背景放射観測衛星COBEという観測衛星が打ち上がって、宇宙研が実験に成功 したものと同じ波長で観測してたんだけど、宇宙研のほうが20倍から30倍も分解能が優れていることがわかって、大いに気を良くしてニヤッとしていたわ。

霊夢:
 実験の成功を受けて、早速衛星の研究開発をしていくんだけど、いろいろと乗り越えないといけない壁があったわ。まず、赤外線を超高感度で検出するためには、望遠鏡や検出器などを絶対零度付近まで冷やす必要があって、冷やす、冷やさないとでは、桁違いに感度が違うわ。

霊夢:
 でも冷却装置には人類が手にできる最も冷たい液体である液体ヘリウムを冷却材として入れていたり、各種配管などで重くなりがちで、赤外線検出用の望遠鏡に使われる鏡も、振動や熱変形に強い強固なものが必要で、それもあってすごく重くなっているわ。

魔理沙:
 そうはいったって、気象衛星ひまわりみたいな3tとかも打ち上げているんだから、大丈夫だろ。

霊夢:
 このあかりは、宇宙科学研究所で開発しているのよ? 打ち上げの時には もう合併してJAXAになったけど、計画中の頃は、まだJAXAじゃなかったから、M-Vロケットで打ち上げるわ。いろいろ理由はあるんだけど、宇宙科学研究所の当時の年間予算は、およそ220億円。そこから人件費とか設備維持費、光熱費などの固定費を支払うと、およそ180億円。

 一方当時のH2Aロケットの打ち上げ費用は、100億円から120億円。ロケット打ち上げ費用を払ったら残り60億円から80億円。つまり、どんなに残っても79億9999万9850円しか残らなくて、もうだめぽ状態よ。

霊夢:
 ただでさえ改修を先送りにして、研究開発を優先させてきたのに、そんな高額な打ち上げ費用は出せないわ。だから振動に耐える立派な冷却装置と望遠鏡の鏡、M-Vロケットでも余裕で打ち上げられる軽量さを併せ持った衛星の開発が必要だったわ。

魔理沙:
 本当に高そうな壁だな。

2006年2月22日、ついに打ち上げへ

霊夢:
 打ち上げ目標日である2004年2月に向けて開発が進められて完成までもう少しってところの2003年10月に行われた総合試験の最中に問題が発生したわ。  

 望遠鏡の主鏡を指示する部分が、打ち上げ時の振動や衝撃で壊れる可能性があることがわかって、改修をしなきゃいけなくなったわ。

魔理沙:
 それって打ち上げ目標日に間に合うのか?

霊夢:
 原因究明と設計変更試験に1年程度かかる見通しだったから、2004年2月の打ち上げは断念して、完成次第スケジュールを決めることになったわ。

魔理沙:
 直前でそんなことになってたのか……。

霊夢:
 開発チームも予定よりもちょっと早い2004年の夏に無事完成して、ロケット打ち上げスケジュールも2006年の初めに決定されたわ。2005年から開始された天文衛星あかりの組み立て作業は各種試験をクリアしながら行われて、10月の中旬に終了。重量や偏重心の測定作業を終えた12月末に、神奈川県から鹿児島県内之浦へ向けて出荷されたわ。

霊夢:
 一方、内之浦ではなれないことが起きていたわ。ロケット組み立て中にJAXAの方針で合間にきちんと休日をはさむことというのが徹底されるようになったわ。そしてM-Vロケット8号機が完成し、天文衛星あかりの搭載も完了。2006年2月22日、午前6時28分、内之浦からM-Vロケット8号機が打ち上げられて順調に上昇していき、目標の軌道に投入されたわ。

魔理沙:
 うまくいってよかったな。

霊夢:
 うまくいったのはここまでよ。あかりからの電波をJAXAがオーストラリアに設置したアンテナ局で一瞬だけ受信したんだけど、送られたデータを見た姿勢制御装置の担当者はちょっと首をひねっていたわ。

魔理沙:
 どうしたんだ。

霊夢:
 あかりに何が起きたのか、運命はいかに!

魔理沙:
 その言い方だと後編があるんだな。

霊夢:
 勘のいいガキは嫌いだよ。次回後編、あかりの最期までを解説します。

 二人の解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます▼

【ゆっくり解説】見えないもの見る!日本初の赤外線天文衛星あかりを解説!前編

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