ひきこもり一番の問題は『一生ひきこもっていられない』こと。部屋にご飯を運ばせていた人が、親が死んだからって急に「生活保護を申請しに行こう」ってなれないですよね?
ひきこもりからの自立支援をうたう業者に軟禁状態にされ、支援名目で高額の契約料を支払わされたとして、20代女性とその母親が約1700万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が東京地裁で開かれた。
上記の話題を受けて、小飼弾氏と山路達也氏が自身の番組内で、ひきこもり問題についてコメント。「引きこもり自体は問題ではない。むしろ問題なのは、ずっと引きこもっていられないこと。」と独自の目線でこの問題について語った。
一番の問題はずっと引きこもっていられないこと
山路:
家で引きこもっている子供に困って、引きこもり支援をうたう団体に依頼したら、無理やりその人たちが家に入ってきて引きこもりを連れ去っていったみたいな事件というのもありましたよね。
小飼:
えっ、拉致されるの!?
山路:
そこまでしなきゃいけないほど引きこもりは悪いんかなみたいな。
小飼:
僕自身結構引きこもりの才能もあると思うんで、言うんですけど、引きこもり自体は問題ではない。むしろ問題は『ずっと引きこもっていられない』こと。
大抵の引きこもりの皆さんというのはだれかに扶養されていたりするわけですよね。で、日本の場合それでアウトとなるんですよ。
親御さんが亡くなり、今まで部屋にそっと食べ物を差し入れて貰っていた人が急に「それじゃあ仕方がない生活保護でも申請しに行こうか」とすぐにできますか?
山路:
まず、そういうことに慣れていないとできないですよね。人と話せないといけないし、そういう制度とかをちゃんとネットなりで調べて、やるだけのスキルもいるし。
小飼:
そう。人様にたかるのもスキルがいるんですよ。
山路:
そこまでやったうえで、窓口に出向いても断られたりとかする、ちょっと嫌味な役人とかに断られたりすると心が折れてしまう。
小飼:
そういった場合には、その嫌味な役人の人を論破する術をつけてないといけないんですよ。だから逆説的ですけど、生活保護を受給するのにすらスキルがいるという。
山路:
そうか。よく、こういう生活保護であるとかってばら撒きみたいな文脈で言われることってあったりするじゃないですか。それがちゃんと実は欲しい人のところにばら撒いてないっていうことでもあるわけなんですよね。
それなりのスキルがある、最低限のスキルがある人でないと生活保護すら受けられない。
小飼:
だからその点からもベーシックインカムっていうのはいいんですよ。何がいいかって言ったら悪びれる必要がない。
山路:
悪びれなくていい。
フィンランド、ベーシックインカムを試験導入 対象者に月額560ユーロを支給
山路:
なんかフィンランドの方で最近ベーシックインカムの実験とかが行われていて。それが実際にどの程度まわるかどうかまでは始まったばかりだから、結果よくわからないところなんですけど、ひとつ被験者の人とかにアンケートを取ったところ、貰うのに罪悪感がなくなったというような意見が出ていましたね。
小飼:
そうそう。こういうのもなんですけども、日本の人よりもはるかに悪びれないことが文化として成立しているところですら、そういう意見が出てきたっていうのが。あれは僕も色々驚きましたね。
山路:
もう、ちょっとみんな貰って当然みたいな顔しているのかと思ったんですけどね。
小飼:
やっぱり特別自分だけが貰うっていうのは、それ自体が後ろめたさになるんでしょうね。