魔王さまvs炊飯器、女勇者の子育て奮闘記etc……! 『はたらく魔王さまのメシ!』の庶民派グルメ生活が心温まる
和ヶ原聡司先生が描く電撃文庫の大人気作『はたらく魔王さま!』。その作中に登場する“メシ”に注目するグルメ番外編『はたらく魔王さまのメシ!』がコミカライズされ、ニコニコ漫画、「ComicWalker」にて連載中(作画:さだうおじ先生)です。
ファンタジー世界の住人たちが現代日本で庶民的な暮らしを送るという、いわば“逆”異世界転移コメディとしてのおもしろさはそのままに、今回は“食”をテーマにしたエピソードが揃い踏み!
ボロアパートでバイト生活な魔王一派をはじめとする登場人物たちは、果たしてどんな一面を見せてくれるのか……!?
魔王一派の最初にして最悪の食卓とは
異世界“エンテ・イスラ”にて、かつて激しい戦争をくり広げた魔王軍と勇者率いる人間たち。
その戦いで破れた魔王一派をはじめ、関係者たちがつぎつぎと現代日本に流れ着いてしまうというのが『はたらく魔王さま!』のストーリーです。
東京都渋谷区・笹塚のボロアパートを新たな“魔王城”と定め、ここ日本から再びの勢力拡大を目指す魔王軍でしたが……。
いまや魔王は真奥貞夫と名を改め、ファストフード店のA級クルーとして生活費を稼ぐフリーター。もはや専業主夫と化した悪魔大元帥・芦屋のサポートを受けつつ、慎ましやかな暮らしを送っていました。
さて、この日“魔王城”を訪れたのは、真奥のバイト先の後輩である“ちーちゃん”こと佐々木千穂。
世話焼きで心優しく、日本人でありながら異世界民たちのよき理解者でもある彼女は、こうしてよく差し入れを持ってきてくれます。マジ天使。
本作の第1話では、芦屋の買ってきたお米がいつもと違うことにちーちゃんが気付いたところから、物語が動き出します。
“きぬのさや”では米というかサヤエンドウなのでは? なんてツッコミもそこそこに、何気ない世間話は続いていき……。
いつしか話は、真奥と芦屋がこの“魔王城”にて初めて食事した際の回想にシフト。
なぜに米が、芦屋の語る「最悪の食卓」へとつながってしまったのでしょうか……?
米を炊くのに奮闘する魔王と悪魔大元帥
時はさかのぼり、まだ魔王が真奥貞夫を名乗っておらず、芦屋もアルシエルという本名で呼ばれていたころのお話。
日本への転移直後で右も左もわからない状態のふたりは、大家さんからもらった米袋を前に膝を突き合わせていました。
大家さんによればこの米の量で1ヵ月はしのげるというのですが、炊飯器の存在はおろか米の調理法もよく知らないふたりは懐疑的。
食べかたについて「熱を加えるものであるはず」と真顔で提言する当時のアルシエルの姿も、いまを思うと笑えてきます。
“米を研ぐ”という行為も、たしかに日本文化に詳しくない人なら誤解してもしかたありません。
生の米は当然ガチガチに固いわけで、ふたりは適した調理法をああだこうだと思案するのでした。
そのうちに、やはり米とセットで貰った謎の箱(炊飯器)がキーアイテムであると気付いたふたり。
魔力の消費を極力抑えたいふたりは、やむなく炊飯器と格闘することになり……。
異世界人にとっては、電力やコンセントといった概念も未知の領域なのでしょう。
それでも機転を利かせて炊飯器の謎を解明したふたりの順応力は、さすがといったところです。
かくして米を炊くことには成功したものの……“研ぎ”の工程を飛ばしたことで残念ながら微妙な仕上がりに。
まともな白飯にありつけたのは4回目以降だったということからも、その苦労ぶりがわかります。
いまでこそ日本での生活になじみきっている魔王一派ですが、やはり並大抵のことではなかったということがわかる、貴重なエピソードでした。
異世界人と“食”が織り成す珠玉のエピソードが満載!
そんなふたりの苦労のかいもあってか、いまでは“魔王城”での暮らしぶりもそこそこ悪くないものに。
ちょうど米が炊けたころにやってきたのは、元・異端審問会の筆頭審問官であるクレスティア・ベル。
いまでは鎌月鈴乃という名前で日本に住み着いた真奥たちのお隣さんで、手に持っているのは豚汁の入った大鍋。割烹着姿も板についています。
慎ましくも豊かでにぎやかな夕食を楽しんだ真奥は、食後に「あ~~日本人でよかった」とひと言。
傍目からは一般庶民にしか見えなくとも、彼らの事情を知っていれば笑えて和める。そんなお話が今後も語られていきます。
続く第2話では、元・悪魔大元帥にして現・ニートの漆原がファストフード店に立ち寄ったところから話が発展。
“海老で鯛を釣る”ならぬ、ポテトでノートPCを釣ったという一件が明らかになります。
そしてもちろん、女勇者の遊佐恵美(エミリア)も本作に登場!
現在は日本で契約社員として働く彼女ですが、ひょんなことから引き取ったアラス・ラムスに関わる、子育てママ的な悩みを打ち明ける場面も。
鈴乃ことベルの助言をもとに奮闘する姿には、多くの方が心打たれてしまうことでしょう。
個性的な登場人物たちにつぎつぎとスポットが当たり、スピンオフ漫画としてもグルメ漫画としても完成度の高い本作。
この続きに興味を持った方は原作小説、または2020年3月10日より発売中のコミックス第1巻をチェックしてみてください!
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(画像はニコニコ漫画『はたらく魔王さまのメシ!』より)
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