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もし家族が自殺したら…「自殺なので事故物件です」大家から1000万円の賠償金を請求された経験を自殺遺族の姉妹が語る

遺品整理に行くと相続放棄にならない。知らないうちに負債相続人になる可能性も

松原タニシ:
 あと気になったのが連帯保証人についてです。まず賠償責任がある身内、奥さんだったりとか家族が賠償金を払えない場合「裁判で戦うから」という話をしたら、いつの間にか連帯保証人に請求されるということがあるんですね。

宮本ぐみ:
 だいたいは当事者に連絡が取れなくなったとか、逃げちゃったりとか、そういった場合に連帯保証人に請求が行くということですね。ちょうど連帯保証人がうちの両親だったんですよ。たとえば相続放棄をすれば妹は払わなくても済んだんですけれども……。それをしちゃうと連帯保証人に請求が行っちゃうので、結局は宮本家が払うことには変わりがないんです。

松原タニシ:
 なるほどな。

宮本ぐみ:
 しかも連帯保証人というのは、こちらよりももっと厳しい状況で、大体は交渉ができない、拒否もできない、逃げられないというのがあります。連帯保証人になると交渉が一切できないんですよね。なのでやはりこちらがどうにかして頑張るしかなかったです。

松原タニシ:
 この漫画を読むと「知らない間に自分が相続していることもある」といういう話が紹介されていました。

宮本ぐみ:
 たとえば自分のお兄さんなりが借金がある状態で亡くなった場合に、最初は奥さんと子供に負債の相続が行きます。そこが相続放棄をした場合に次は親に行きます。両親も相続放棄をしたら今度は兄弟に行きます。みんな各々に相続放棄をした場合に、気づかないうちに負債を背負っている可能性があるということです。

 それを避けるには全員が一斉に「相続放棄をしましょう」とやらないと、誰かひとりがかぶることになってしまう。そういう危険性がありますよというお話ですね。

松原タニシ:
 その人がまた連帯保証人をつけていたら負の連鎖になってしまうから、やっぱりこういうことはちゃんとしておいたほうがいいですね。あと遺品整理をしてしまうと相続放棄ができないとありましたが……。

宮本ぐみ:
 そうなんです。

松原タニシ:
 遺品整理って行政に頼むこともあるけれど、大体家族で取りに行くじゃないですか。それをしちゃうと相続したとみなされるということですよね。相続放棄しようと思ったら、遺品整理に行ってはいけない。 これはみなさん、気をつけないといけないですね。

賃貸物件では自殺をしたりさせてはいけない義務がある

松原タニシ:
 あと僕がすごい気になったのが、同居人であったり、身内家族が自殺させてはいけないという義務があるそうなんですね。これはどういうことなんですか?

宮本ぐみ:
 そもそも賃貸物件を契約者として借りるときに、現状回復をしなければならない義務があると思うんですよね。現状回復させなきゃいけない義務という中に、自殺をしたら現状回復にならないじゃないかという意味が含まれているんですよね。すごく大雑把に言うとそういうことになります。

 つまり自殺をするということは、契約違反であると。契約違反であるから損害賠償を払わなければならないという、契約としてそういう決まりなんですよね。

松原タニシ:
 殺人事件であったりとか孤独死だと違反ではないんですか?

宮本ぐみ:
 そうですね。自殺だけはどうしても契約者本人の強い意志があるため、明らかに契約違反をしようとしているということです。

松原タニシ:
 自分で自分を殺してしまうことで、その部屋に傷をつけてしまうということですもんね。それをさせてはいけないという義務もあるんですよね?

宮本ぐみ:
 そうですね。奥さんだったり同居人がいた場合に、住んでいる人が自殺で死んじゃうということは、それを破っているという意味になるんです。だから、死なせてはいけなかったんです。そういうところでも損害賠償を被らないといけない。

松原タニシ:
 実際にぺるみさんは旦那さんが亡くなったわけですけれども、亡くなってからの話で一番衝撃を受けたことは何ですか?

ぺるみ:
 こんなにも酷いのかと思ったのは、不動産屋さんの対応ですね。大家さん側のやり方が、そんなに人ってひどくなれるんだ……という驚きがありました。尾行してきたり……。

松原タニシ:
 尾行⁉ 何のための尾行なんですか? 家を特定したら向こうに何のメリットがあるんですか。

ぺるみ:
 たぶん毎日ピンポンしに来るんじゃないですか。

松原タニシ:
 パニックになっている時に、そこまで追い込みかけるっていうのを……。

大島てる:
 でも尾行って二種類ありますから、隠密にということじゃなくて「見てるぞ」と言いたいときにもやりますから、どちらなのかはそれだけではわからないですけれども。圧をかけるためにわざと姿を現して大勢で尾行したりしますから。

松原タニシ:
 もう嫌やな~。実際にそういうことがあるということなんですね。

将来的には連帯保証人制度が改正される可能性も

松原タニシ:
 ぐみさんが漫画を書くにあたって、一番ここが大変だったという部分はありますか。言ってみれば自分たちの不幸を作品にしないといけないというつらい経験だったわけですが。

宮本ぐみ:
 結構きつい内容だったりするんですけれども、言いたいことを描くんですけれど、だいたい担当の編集者さんが「だめ」という感じで……。「これはちょっときついですね」と言ったりとか。でも本当は、もうちょっと知ってほしいなと思ってだいぶオブラートには包んでいるんですよ。

 本当はちょっときついシーンもあったんですけれども、「ちょっとそこら辺は抑えてもらいたいんですよね」という感じで。

大島てる:
 私はこういうのは好きです。コンビニに置いてあるレディースコミックとか、すごいのがあるじゃないですか。こういう絵のほうがいいですよ。

松原タニシ:
 ぜひぜひ『自殺遺族になっちゃった』をお手に取って読んでいただければ、いろいろなことが身にしみると思いますので……。あと、連帯保証人精度がいずれは限度額が決められる改正がなされるかもしれない。

宮本ぐみ:
 そうですね。連帯保証人は、たとえば契約して500万円の損害を被ったら500万円払えっという感じで、払わなきゃいけないもの、逃げられないものというものだったんですけれど、民法改正でこれからは契約するときに限度額というものをつけないと無効になるという法律ができたんですね。なので100万円の限度額を決めれば、500万円を請求されそうであっても100万円しか払わなくてもよいという改正です。

松原タニシ:
 制度が定まれば莫大な額を請求されたとしても、限度額分を払えば済むということですね。

宮本ぐみ:
 なぜそんな改正があるかというと、「連帯保証人になるよ」とはいっても、本来はそこまでひどいことになると思って契約をしているわけじゃないじゃないですか。そういう人の救済ですよね。

松原タニシ:
 勉強になりました。ありがとうございました。


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