ホームレスたちのリアル――「書きなぐられた辞世の句」「バラック群が占拠する堤防」…彼らの住居に迫る
殺人・自殺・孤独死etc…死は我々に平等に降りかかります。人の住処に死の存在あり……。それはたとえホームレスのバラック小屋であっても例外ではありません。
事故物件公示サイト「大島てる」管理人の大島てる氏(@Oshimaland)と、事故物件住みます芸人の松原タニシ氏(@tanishisuki)がMCを務めるniconico生放送番組「事故物件ラボ」。「怪奇現象が起きる事故物件」「殺人の痕跡が残った事故物件」など、これまでに多くの事故物件を取り上げてきたこの番組に、『ホームレス大博覧会』などの著作で知られるライターの村田らむ氏(@rumrumrumrum)がゲストとして登場しました。
「ホームレスの“物件”をご紹介します」と言って村田氏によって次々と紹介される“物件”の数々。番組でこれまで扱ってきた、不動産業界であくまで取引の対象となっている物件とは明らかに異なる“エグい&キツい”内容にスタジオは異様な空気に包まれました。
本記事では村田氏の取材資料をもとに、”ホームレス物件”を写真付きでご紹介します。
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多摩川・淀川の河川敷ホームレス事故物件
村田:
ホームレスの写真を出すのもアレなので、ホームレスの物件の写真を持ってきました。これが事故物件ですね。わかりますか?
大島:
事故物件ということは、もしかして……。
村田:
たぶんボランティアの人が見つけて。事故物件にそのまま人が住む時もあるし、そのまま廃墟になっちゃうこともある。これは多摩川の河川敷のほうなんですけれど、河川敷のほうだとわざわざ取り壊すのもお金がかかりますから、基本的にはそのまま放置されています。
松原:
お花はホームレス仲間が?
村田:
次いきましょうか。
洗濯物が干してあるというので、近々に亡くなったというのがわかります。お花が手前に生けてある。事故物件扱いというか、厳密には物件ではないんですけれどね。だから「大島てる」には載らない事故物件ですね。
これは大阪の淀川にあったところなんですけれど。ここも住んでいた人が亡くなってしまったので事故物件になって……確かここは取り壊しだったと思うんですけれど。
すごい辞世の句が……。書かれているのは天井の蛍光灯カバーだと思うんですけれど。
大島:
これは本当にある句だと思いますけれど。
村田:
細川ガラシャ【※】ですね。次にいってみましょうか。中に丸があるから書きづらかったでしょうね。
※細川ガラシャ
本能寺の変で織田信長を討った明智光秀の娘。キリシタンとしても有名。
大島:
この辞世の句は豊臣秀吉ですね。
オシッコペットボトルが大量に放置された改修前の東京駅
村田:
これは東京駅です。オシッコペットボトルがありました。ワンカップにオシッコを入れて……。
松原:
ボトラー【※】……。
※ボトラー
ペットボトルに小便をする人のことを指すネットスラング。
村田:
でもオシッコなんかワンカップ1個じゃおさまらないよ? 今は撤去されていると思います。改修する前の東京駅なので、だいぶ前です。
次に行ってもらっていいですか? ちょっとやばげな感じの物件がありました。
ちょっと何か書いてあるっぽい……。次の写真に行ってもらっていいですか?
「アホ 小屋ニ クソ スルナ」。誰かがクソをしていったのかな?
松原:
字はきれいですよね。
まるで秘密基地! 区役所への恨みつらみが書かれたハウスやバラック小屋も
村田:
これは周りに自分をここまで追いやった区役所の悪口が書いてあるメッセージハウス。まあまあ字がうまい。
松原:
詩人が多いですよね。
村田:
これは最近ちょっと住人が減っちゃったんですけれども、川崎のほうですね。
松原:
城じゃないですか……石垣やん。
村田:
バラック感はあって。今はほとんど住んでいる人がいなくなっちゃったんですけれども、結構住んでみたいです。
大島:
土台みたいな部分はもともとあるんですか?
村田:
そうです。要は下は堤防ですよね。
大島:
あそこから自分で作ったらすごい。
村田:
それで力尽きちゃいますね。結構ちゃんとしているというか、家っぽいんですよね。
後ろから回れなくて、前からハシゴで部屋に入る。向こう側に生け垣があって、建物が生け垣のこちら側にあるから、道路沿いからは見えないんです。堤防の内側から登って入る。次は秘密基地感の極みみたいな感じなんですけれども……。
松原:
まさに秘密基地じゃないですか! すごいな。
村田:
入り口のところに「猛犬注意」と書いてあるんですけれど、猛犬よりもここを作った人のほうが怖いよなって。すごいでしょう?
松原:
いい写真ですね。全部を表している角度というか。いい写真だな。