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パワー不足の小さな拳銃が放った1発の弾丸が800万人の命を奪った!? 『ブローニングM1910』がサラエボで“歴史を変えた”瞬間を解説

1914年6月28日に起きた、歴史を変える悲劇的な事件

にとり:
 さて、大公夫妻の車列は駅からサラエボ市庁舎に向かいパレードが始まったよ。

魔理沙:
 民衆にはあたたかく迎えてほしいものだな。

にとり:
 実際、歓迎ムードだったらしいけどね。

 でも、「黒手組」の7人の刺客は車列が通るルートになってるミリャツカ川沿いのアペル河畔通りで待ち構えていたよ。

魔理沙:
 せっかくの大公夫妻の結婚パレードを台無しにしようとする不埒なやつらだな。

にとり:
 ところが、このうち5人は怖気づいて暗殺を実行できなかった。

魔理沙:
 なんじゃそりゃ。

にとり:
 7人は、武器の使い方の訓練を受けていたけど、プロフェッショナルじゃなかったんだ。

魔理沙:
 でも、残りの二人はそうじゃなかったんだろ?

にとり:
 うん。まず動いたのは、ネデリュコ・チャブリノビッチだよ。

 チャブリノビッチは、大公の車を見つけるとごった返す人ごみの中、何とか手榴弾を投げつけた。

魔理沙:
 絶体絶命じゃねーか。

にとり:
 でも、チャブリノビッチは失敗した。

魔理沙:
 なんでだ?

にとり:
 チャブリノビッチは、手榴弾を投げてから起爆するまでの時間差をはかり損ねたんだ。

 大公は、手榴弾を手で払いのけたよ。

魔理沙:
 大公すげーな。ともかく、殺されなくてよかったぜ。

にとり:
 大公は無事だったけど、後続車両に乗っていた大公のお供に怪我人が出たよ。これは、後で重要な意味を持つことになるんだ。

 こうして、チャブリノビッチの暗殺は失敗し、大公夫妻は無事にサラエボ市庁舎に到着した。

魔理沙:
 一安心だな。

にとり:
 市庁舎では、式典が執り行われた。

 サラエボ市長の気も機転も利かないスピーチに大公がブチギレるというハプニングがあったものの何事もなく終わったよ。

魔理沙:
 無事ならよかったぜ。

にとり:
 式典の後、大公は本来また別のところで式典の予定があった。でも、大公は急遽チャブリノビッチの爆弾で負傷したお供を見舞うことにした。ゾフィーもこれについていくことにしたよ。

魔理沙:
 急な予定の変更って嫌な予感しかないぜ……。

にとり:
 大公夫妻は、もともとアペル河畔通りをラテン橋で右折して、フランツ・ヨーゼフ通りに入ることになっていた。

 これが、お見舞いに行くことでアペル河畔通りを直進することになったよ。

魔理沙:
 さっき、お供が怪我したのが重要になってくるって言ったのはこのことなんだな。

にとり:
 一方、アペル河畔通りに送り込まれた刺客の一人にガブリロ・プリンツィプがいたよ。

 プリンツィプはチャブリノビッチの暗殺失敗を察して大公暗殺を半ば諦め、ラテン橋の曲がり角にある店で昼食をとっていた。

魔理沙:
 ちょうどルートが変わるところか。

にとり:
 式典も終わり、大公夫妻は見舞いに出発したよ。

 そして、ラテン橋のある曲がり角を通りかかったとき、とんでもない事実が発覚するんだ。

魔理沙:
 なんだなんだ?

にとり:
 大公夫妻の車のドライバーは予定の変更を知らされていなかったんだ

魔理沙:
 えぇ……。

にとり:
 大公夫妻の車はラテン橋の曲がり角で立ち往生してしまったよ。

魔理沙:
 そこって、たしか……。

にとり:
 そう、そこには昼食をとっていたガブリロ・プリンツィプがいた

 プリンツィプは大公夫妻が立ち往生しているのを見つけると店を飛び出し、懐からブローニングM1910を取り出したよ。

魔理沙:
 やっとブローニングM1910が出てきたな。

にとり:
 プリンツィプのブローニングM1910からまず一発目の弾丸が放たれた。この弾丸は、妊娠していたゾフィーの腹を貫いたよ。

魔理沙:
 ゾフィーはどうなってしまうんだ……?

にとり:
 ゾフィーは即死してしまったとみられているよ。続いて、二発目が放たれた。今度は、大公の首のあたりに命中した。

魔理沙:
 大公も……。

にとり:
 大公は、撃たれた後、ゾフィーを気に掛ける言葉を絞り出し、その後は側近にその身を案じられる度に「大事ない」と答えながら死んでしまったそうだよ。

魔理沙:
 せっかくの結婚パレードがこんな悲しい結果に終わるなんて……。

にとり:
 犯行を終えたプリンツィプは周囲の民衆から集団リンチを受けていたところを警察に連行された。その後、獄中で命を落とす。

 これが世にいうサラエボ事件だよ。

 偶然に暗殺を諦めていた刺客の前で、立ち往生してしまったフェルディナント大公夫妻の車。このことについて、「死神が手を引いてるな」といったコメントが。

”サラエボ事件”をきっかけに始まったのは?

にとり:
 オーストリアはこの事件をセルビアの仕業と断定し、1ミリたりとも容認する余地のない最後通牒を突きつけた

魔理沙:
 戦争になるぞ……。

にとり:
 そのとおりだね。れをきっかけにヨーロッパの大国がすべて参戦した大戦争、第一次世界大戦が始まった

 この戦争で、800万を超える人が命を落としたよ。

 サラエボで放たれたブローニングM1910の弾丸が結果的に800万人の命を奪ったんだ

 ブローニングM1910は第一次世界大戦後も世界で使われ続け、派生モデルや後継モデルのM1922、M1955も開発されたよ。

魔理沙:
 時代が変わっても人気は落ちなかったんだな。

にとり:
 特に、日本ではアニメ『ルパン三世』の峰不二子が使うことでも有名なんだ。

魔理沙:
 外の世界じゃ、よくある現象らしいな。

にとり:
 こうして、今でもブローニングM1910は世界で愛され続けているんだ。

 サラエボで放たれた”ブローニングM1910”の弾丸が結果的に800万人の命を奪ってしまいました。コメント欄では、「結局、テロ⇒大量虐殺⇒テロ(現代)かぁ。」といった感想や「第二次大戦も第一次の処理の失敗だから第二次もこの弾丸が生んだ」「ただこの事件がなかったとしても同じようなきっかけで大戦争は起こってただろうけどな」といった意見も寄せられました。


 歴史を変えた銃“ブローニングM1910”と第一次世界大戦の関係をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。

▼動画はこちらから視聴できます▼

ゆっくりで見る歴史を変えた武器・兵器【ブローニングM1910】

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