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『ポケットモンスター』が長く愛され続けている理由とは? 誰もが夢中になった物語のベースは「子供たちの日常生活」に隠されていた

まるで“夏休みの宿題”のような冒険の旅

 『ポケットモンスター』には、「ポケモンを育てる」という、まるで夏休みの宿題のような課題が与えられ、主人公は、あくまでも“日常生活”の中で、それに取り組もうとしているだけです。つまり当作は、田尻さんの子供時代の昆虫採集などの体験を「ポケモン探し」に置き換え、ゲームの中で、「冒険」や「勝負」という形で、デフォルメ(良い意味での誇張)して表現された作品なのです。

 しかも当作の場合は、主人公たちは私たち自身、あるいは、かつて子供だった頃の私たち自身で、当作で描かれている世界観の描写や、そこに生きる人々は、ポケモンの存在を除けば、私たちの“日常そのもの”であるため、殊更、脅威や試練を強調する理由はなく、主人公自身が特殊能力を身につける必要もないというわけです。

 では、なぜそのように作られているのか。

 それは、より普遍性の高い作品とするためだったと思います。そして、当作は結果的に、普段ロールプレイングゲームには興味がない人や、さらには、普段あまりゲームをしない人々にも、訴求力のある作品となって、世に送り出されることになりました。

 『ポケットモンスター』は、ゲームを進めるにつれて、プレイヤーの目的意識が、様々な形で多様化する性質を持っています。図鑑を埋めることに夢中になるのもよし、最強のポケモンの育成に励むもよし、友達との対戦に明け暮れるのもよし、そして、ストーリークリアを目指すもよし。遊び方は人それぞれの意思や好みに応じて、まるで樹木が成長し、たくさんの枝を伸ばすようにして、広がりを見せていきます。

 ごく普通の少年が、ありふれた日常生活の中で、主体的な取り組みのもと、極めて単純化された課題をこなしつつ、個性づけされ、より身近に感じられるポケモンたちを、自分の好みに応じて、集めたり、育てたり、戦わせたりすることに、“いつの間にか”夢中になっている。ここに、『ポケットモンスター』が、多くの人に親しまれる理由があるのではないかと思います。


 いかがでしたでしょうか。

 ありふれた日常の中に溶け込む“冒険”という要素。それとふれあい、単純かつ自由度の高い課題に達成感を感じることで、ゲームがどんどん楽しくなる。『ポケットモンスター』が長く愛されている理由は、そこにありました。

 動画では、ポケモンが日常に溶け込んでいる要素をより詳しく説明されているので、ぜひご覧ください。


【ポケモン赤緑】ポケモンが親しまれる理由
-ゆっくり解説【第14回-前編】


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