436人を食い殺したトラが軍隊に追われても“人食い”を続けた理由――ギネス記録にもなった『チャンパーワットの人食いトラ』事件を解説
「百獣の王」と言えばライオンのことですが、この地球上には、ライオン以外にも多くの猛獣が存在します。アジアでは百獣の王と言えば同じくネコ科の猛獣である「トラ」を指し、トラにまつわる民話や故事成語の伝承の多さから人間との密接な関係があったことが伺えます。
網澤さんが投稿した『【ゆっくり解説】トラによる獣害事件「チャンパーワットの人喰い虎」』という動画では、確認されている中で、トラによる最も大きな獣害事件である「チャンパーワットの人喰い虎」について解説を行われています。
音声読み上げソフトを使った博麗霊夢と霧雨魔理沙の二人のキャラクターによって、“世界で最も人を喰い殺したトラ”の恐ろしい全貌がいま明かされます。
最も人を喰い殺した最強最悪のトラ
霊夢:
今回は世界で最も人を喰い殺した最強最悪のトラ「チャンパーワットの人喰い虎」が起こした一連の襲撃事件をゆっくり解説していくよ。魔理沙:
最も喰い殺した!? それってどういうことなんだぜ!?霊夢:
その辺の背景についても解説していくね。この事件は19世紀の後半、ネパール地方のヒマラヤ山脈付近で、ジャングルを通る人々が何者かによって、次々と殺されることから始まったんだ。正体不明の襲撃者に人々はみな恐怖し、この襲撃を「悪魔の仕業だ!」とか「神罰だ!」といった風に叫ぶ者も現れるほどだったんだ。
霊夢:
こんな襲撃が何度も起これば当然生存者も出てくる。逃げ帰ってきた彼らの証言や人々の調査により、この襲撃者の正体がメスのベンガルトラだと判明したんだ。神や悪魔ではなくトラが相手なら人間でもなんとかなる。早速ハンターを派遣し、これを討伐しようとしたんだ。
魔理沙:
よし! ハンターが来たならもう大丈夫だな! って訳にはいかないんだろうな。霊夢:
魔理沙の予想通り投入されたハンターたちは成果を上げることができなかったんだ。そうしている間に引き続きトラは人を狩り続け、犠牲者はどんどん増えていったよ。魔理沙:
何人ハンターが派遣されたのかは分からないけど、こうしたプロの目を掻い潜りながら狩りを続けるってことは、相当頭が良かったんだろうな。霊夢:
私もそう思うよ。後、やっぱり人を襲い続けたことで、人の動きを理解してきたところもあるのかもね。
正体不明の襲撃者を恐れた現地民の言動に「こういう時の想像が悪魔の仕業も神の仕業も考えられるのが面白い」と考察をするコメントが寄せられる一方、「プレデターかな?」「目だけが光っていた…」と映画を連想する視聴者も見られました。
災害レベル!? 国をも動かしたが、ネパールだけで終わらなかった……
霊夢:
そんなこんなで順調に事態が深刻になってくるといよいよ無視できなくなってきたんだろうね。ネパール政府がこのトラ襲撃事件を解決するべく軍隊の投入を決定したんだよ。そしてネパール軍によって少なくともネパールにおける惨劇は終了したんだ。魔理沙:
ん? ネパールでは? おい霊夢。その言い方じゃトラは軍隊から逃げ延びて他の地域で人を襲い続けたみたいじゃないか。霊夢:
まさしく魔理沙の言うとおりだよ。ネパール軍をもってしてもトラの捕獲や射殺はできなかったんだ。だけど、この軍隊の投入によって人喰いトラをネパール領内から追い出すことは成功したよ。ネパール軍から逃げたトラはネパールとインドの国境にあるシャールダー川を渡り、インドに入ったよ。そして、クマーウーン地方という場所に居つくようになったんだ。魔理沙:
ネパールの次はインドか……。霊夢:
ちなみにネパールでのトラの犠牲者は公式の記録で200人を超えているとのことだよ。魔理沙:
そんなにたくさん……。最早災害レベルだな……。
霊夢:
そんな災害レベルの人喰いトラが、今度はインドで人を襲うようになった。しかも今度はネパールの時よりも大胆になり、明るい時間であっても村の周囲を徘徊し、人を殺すようになったそうだよ。魔理沙:
完全に人のことを捕食対象としか見てないんだろうな。霊夢:
少なくともこの地域一帯における生態系では間違いなく頂点に君臨していたんだろうね。このトラが唸り声を上げただけで周囲の人々は恐怖し、たとえ仕事中であっても、それを切り上げて逃げ出したそうだよ。おかげでトラが君臨していた数年間は日常生活もままならないって状況だったんだ。しかも、このトラの活動範囲は、最大で20kmにもおよんでいたようで、そんな広大な範囲の人々がずっと恐怖にさらされ続けていたんだ。
魔理沙:
20kmなんて逃げ出そうと思っても逃げられる範囲でもないよな。これじゃあ、ほとんど囚われているようなものじゃないか。
ネパールでは国をも動かしたが退治できず、インドに逃げて、また人々を襲い続けたトラ。コメントでは、「追っ払っただけでも成果はあるけどな」「賢いなぁ・・・」「神話の一小節のような状態だな」といった様々な意見が寄せられました。
惨劇の終わり「犠牲者は一個体の動物が殺害した人数では世界最大」
霊夢:
どんなものにだって終わりは必ず来るものなんだよ。そして、この人喰いトラの襲撃にも終わりが訪れたんだ。1907年、トラの被害に見舞われたインドにあるイギリス人ハンターがやってきた。その名は「ジム・コルベット」。この惨劇を終わらせた人物だよ。
魔理沙:
とうとう現れたんだな!! 彼はどのようにしてトラを倒したんだ?霊夢:
コルベット氏は人喰いトラを討伐するために毎日のように捜索を続けた。そして、ついにその時がやってきたんだ。その日、トラはチャンパーワットの町で16歳の少女を喰い殺し、巣へと運んでいった。ジム・コルベット氏はその時にトラが残した、足跡と血痕を発見することに成功し、これを辿ることで、トラを追跡したんだ。この追跡はうまくいき、トラを発見することができた。コルベット氏はこの機を逃さず、すぐさま銃を手に取り、人喰いトラを射殺することに成功したんだ。このトラの殺害は、300人の住人によって確認されたそうだよ。
魔理沙:
ようやく終わったんだな。霊夢:
そして、トラの死骸は検分されることになるんだけど、ここである事実が判明したんだ。魔理沙:
事実? どんなものだ?霊夢:
このトラの右側の牙、上下ともに折れてしまっていて、まともに機能していなかったそうなんだよ。もちろんこれはコルベット氏の銃弾によるものではない。もっと古い物なんだ。コルベット氏の推測だと、この牙のせいでトラは満足に野生動物を狩ることができなくなり、結果、人を襲うようになったとのことだよ。単純に狩りの際に折れてしまったという可能性もあるけど、ネパールにいたころにハンターに撃たれたことが原因だという見解もあるそうだね。
霊夢:
原因が何であれ、たくさんの人を襲ったことは事実だし、それは人間からしてみれば、とても許されることではないんだ。退治されることは仕方のないことだと思うよ。実際これで人々が人喰いトラの恐怖に悩まされることは無くなったんだし。魔理沙:
確かにな。
トラの牙がまともに機能していなかったから野生動物を狩れず、人間を襲ったのではないかという見解に、コメント欄では「手負いや不具になることで知性や別の強さを身に着ける野生動物は確かにいる」「三毛別羆事件の熊も歯に障害があったようだし人間やわらかいんだろうな」といった意見が寄せられました。
霊夢:
ちなみにだけど、この「チャンパーワットの人喰い虎」による犠牲者は記録に残っている限りだと、436名とのことだよ。もっとも記録ではってことだから、実際の人数はこれを上回るものになるけどね。魔理沙:
そんなにたくさん……。ネパールの時が200名以上だったし、インドでもそれと同じぐらい殺していたのかよ。霊夢:
あと、この記録は一個体の動物が殺害した人数では世界最大とのことらしいよ。この記録が今後、更新されることがないことを祈るばかりだね。魔理沙:
そうだな。
世界最大の犠牲者を出した「チャンパーワットの人喰い虎」。視聴者からは「荒神として祀られるレベル」「完全に自然災害」「公式記録でこの数だからなぁ」といったコメントが寄せられました。
「チャンパーワットの人喰い虎」の解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。
『【ゆっくり解説】トラによる獣害事件
「チャンパーワットの人喰い虎」』
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