ギャルゲーなのに鉄道描写がハンパない『まいてつ』 コミカライズ版の鉄道描写もガチでこだわっていたことが判明
原作PCゲームは、2016年3月25日にLoseより発売され、2018年7月26日にはプレイステーション4にも移植された人気ビジュアルノベルゲーム『まいてつ』(PS4版は『まいてつ -pure station-』)。
本作の魅力と言えば、
E-moteでヌルヌル動きまくるキャラ
鉄道復興を軸とした人々のやさしさが織りなす物語
作中に散りばめられた深い鉄道知識
などがあり、萌えゲーアワード2016にて準大賞を受賞するほど人気を博した作品です。
そんな本作のコミカライズ1巻が8月10日より発売中! ゲームだけでなく漫画の世界でも『まいてつ』レールが紡がれています。
そしてこのコミカライズ版『まいてつ』。原作シナリオ担当の進行豹先生(@sin_kou_hyou)が鉄道描写の監修をしていたこと、そしてそれによる鉄道描写のこだわりがハンパないことをご存じでしょうか?
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驚きの鉄道描写へのこだわり
原作『まいてつ』でも溢れんばかりの鉄道への愛を感じましたが、原作シナリオ担当の方が直々にコミカライズの、しかも鉄道描写を監修するというのはなかなか珍しいことなのでは?
進行豹先生の並々ならぬ鉄道愛を感じるとともに、いったいどこにこだわったのか興味が深まるばかり……。ということで、進行豹先生にメールで「コミカライズ版『まいてつ』の監修においてこだわった鉄道描写はどこなのか」を聞いてみました。
ここでは、進行豹先生がコミカライズ版『まいてつ』においてこだわった鉄道描写を先生のコメントともに紹介していきます。
こだわりポイント1:第1話 キハ07sの屋根上の描写
進行豹先生:
「鉄道描写」について、一番こだわった――というか、甘露アメ先生にも大変にこだわっていただけて感動いたしましたシーンは、いくつかあります。時系列で書きますと、第1話のキハ07sが「鉄道車両」の一番最初の描写となるかと思います。この時に一番最初に拝見した稿では、屋根上のベンチレーター【※】も描かれておらず、正直「これは不安かも」と一瞬思ってしまったものでした。けれど、「こうしていただけましたら」と資料を添付した上でご提案すると、打てば響くですぐのご改善をいただけました。
※車内の換気を行うための装置。
こだわりポイント2:第3話 8620初登場シーン
進行豹先生:
第3話での8620初登場シーンでも、大変熱心にあれこれをご確認いただき、描写を追い込んでいただけましたことを鮮やかに記憶しております。初登場時の8620は傷ついた状態なのですが、その傷のつき方、描写の仕方について大変にこだわって、悲惨すぎないように、同時に伝わるようにと見事にまとめあげていただけたと感じております。
こだわりポイント3:第6話 8620試験運転シーン
進行豹先生:
そうした、ご質問とご返答&資料送付との積み重ねが、ひとつの鮮やかな花を咲かせた――と感じた描写が、第6話の「8620試験運転シーン」です。甘露アメ先生が下さいましたご質問がもう、「ウェスの上での薪の並べ方」から、計器類の描写、果てはホームへの入線方向にいたるまで、大変に細やかで。『正確に描写しよう、蒸気機関車の、その運転の魅力と大変さを伝えよう』という想いがにじみ出てくるものであるかのように、わたくしは感じました。
ですので、ここではわたくしもひときわ慎重になり、手持ちの情報・資料だけに頼らず、『まいてつ』執筆時にご縁を得ました専門知識を有した方々にも確認しつつの、できうるかぎり正確な回答をお戻しできるよう、心がけましたつもりです。万一の描写ミス等あったら、それはひとえにわたくしの責によるもので恥じ入るばかりです。
が、そうしたことが仮にあったとしてもなお――甘露アメ先生にいただきました描写と動作と、そしてそれらを取り巻く空気は、『蒸気機関車という生き物とともに走る』――機関士と機関助士とレイルロオドとの仕事を大変魅力的に伝えてくださるものに仕上がってると、わたくしは最大限の感謝とともに、強く確信しております。
鉄道愛だけではなくキャラへの愛もすごい
屋根上のベンチレーターをはじめ、車両の傷つき方や、薪の並べ方など、言われなければ気づかないほど細かい描写にまでこだわりを持って描かれているコミカライズ版『まいてつ』。
素直にヤバい。原作は美少女を攻略するいわゆるギャルゲーなのに、美少女以外への力の入れ方がおかしい(褒め言葉)レベル。
もちろん、漫画作中では、鉄道描写だけでなく、ハチロクをはじめとした女の子たちもかわいさ満載で描かれています。
メインヒロインのひとりであり、ゲームの顔にもなっているハチロクについて、産みの親である進行豹先生にその魅力を聞いてみると、
進行豹先生:
美しく咲き誇る花があるとして。その花がいかに美しいかを言葉で語ろうとすることは、虚しく、ヤボでありましょう。もちろん、そうと承知をしつつも言葉を尽くす他にない。そうした状況も、きっとあろうかとは存じます。けれども今は、その状況ではございません。コミカライズ版の『まいてつ』を、どうぞご一読ください。「まいてつ ハチロク」と、インターネットで検索をしてみてください。もしもあなたが18歳以上であるのなら、『まいてつ』の体験版をプレイされるのも良いでしょう。あるいは――そう。「スタアライトレイル」で検索し、ハチロクの歌声をお聴きいただくのも素敵なことかと存じます。
そうした全て、あるいは、ほんの断片からでも。「ハチロクのハチロクたる魅力」を、きっとお受け取りいただけるのではないかと、わたくしは確信しております。
ハチロクは、そうしたヒロインです。言葉ではなく在り様(ありよう)こそが、他の何より雄弁に彼女の魅力を語ってくれる――そんな、魅力的な“少女”です。
『まいてつ』キャラクターソングCD スタアライトレイル特設サイト
と、“ぜひ自身の目で確かめてください”という言葉の中にも溢れんばかりの愛が。
ちなみに、「先生はハチロクのような等身の“少女”が好きなんでしょうか?」と、ちょっと気になったことを進行豹先生に聞いてみたところ、
進行豹先生:
ハチロクも、日々姫も、ポーレットも。
れいなも凪もふかみも稀咲も真闇姉も。
いわゆる攻略ヒロインではない、路子も、ナビも――
自らの手で生を与えた全てのヒロイン、ひとり残らず、大好きです。例えば身体の大きさや年齢といった要素とは関係なく「その子の在り様(ありよう)」の綺麗さ、あるいは偽りのなさを、わたくしは大変に尊いものと感じます。
ですので、大雑把なくくりに関しましては「そのくくりの中に、好きになれる子も、好きになれない子もいるかと存じます」というご回答しかできません。
逆に、在り様(ありよう)が美しく、わたくしの目に映った(と思わされてしまう)偽りが極めて少ないのなら。
極端なことを申せば、たとえ相手が0歳であれ、100歳であれ。わたくしは、惚れ込むものかと存じます。
と、進行豹先生にとって、ハチロク、鉄道に限らず、『まいてつ』に登場するすべてのキャラクターが、その世界すべてが最大限の愛を持って作り上げた“我が子”のような存在であることが伝わる回答をいただきました。
この『まいてつ』への想いが、コミカライズ版『まいてつ』での細微にいたるまでの鉄道描写に繋がっていると考えれば、上記で紹介したようなこだわりっぷりにも納得です。
『まいてつ続編(仮称)』は新しい挑戦あり過去エピソードあり
今回の先生とのメールのやりとりにて、続編の制作も発表されている『まいてつ』(『まいてつ続編(仮称)』)には、
新しいレイルロオドとの出会いもあれば、産まれてくる命もあること
わずかながら、「今」へとレールを繋げてきてくれた「過去」の話もあること
さらに新しい挑戦もあること
という情報を入手。
公式発表はまだですが、Loseの公式ファンサイトにて周辺・関連の情報が随時公開されていたり、進行豹先生が書き下ろしている『レイルロオド・マニアックス』という記事群にて、これまで登場してきた、そしてこれから登場予定のレイルロオドの、劇中では描ききれていない側面なども紹介されていたりするので、『まいてつ』の今後が気になってしょうがない方はそちらをチェックしてみてください。
原作PCゲームからのレールが、PS4版ゲームやコミカライズ版に繋がり、そして続編という未来のレールを現在進行形で紡がれている『まいてつ』。
ここまで美少女描写以外に力を入れまくっているギャルゲー、そしてギャルゲー原作のコミカライズは非常に珍しいです。
原作未プレイの方で18歳以上の方はまずは体験版を、プレイ済で続編待ちの方はコミカライズで原作に負けずとも劣らない甘露アメ、進行豹両先生の作り上げた『まいてつ』ワールドに、ぜひ触れてみてください。
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