あえて事故物件と嘘をつくケースが!? 悪徳不動産業者の手口について事故物件公示サイト管理人・大島てるが解説
前入居者が自殺、そばに墓地があるetc…様々な理由で「心理的瑕疵【※】あり」と判断されてしまった事故物件たち。事故物件ということを隠して契約を図る悪徳不動産業者も、しばしば存在するという……。
※瑕疵
不動産での取引において、土地・建物に、瑕疵(きず)がある物件を指す。
“事故物件”について事故物件公示サイト「大島てる」でお馴染みの大島てるさん(@Oshimaland)と事故物件住みます芸人の松原タニシさん(@tanishisuki)がゲストに怪談サークルとうもろこしの会会長の吉田悠軌さん(@yoshidakaityou)を交えて事故物件について徹底的に語り尽くす番組「事故物件ラボ」がniconicoで放送されました。
今回の放送では、安くて魅力的な物件広告を掲載し実店舗まで来店を促すものの、「既に埋まってしまった」と告げ、別の物件を紹介するという悪徳不動産業者の“囮物件”の手口について大島さんが解説。
さらに、悪徳不動産業者が事故物件であることを隠蔽するのではなく、あえて「事故物件である」と嘘をつくケースまであるという昨今の不動産業界についても語ります。
「ここで自殺があったんですよ」悪徳不動産屋の手口を紹介
大島:
ネット全盛期ではありますけれども、不動産屋さんはやはり契約をしてもらいたい。そのためには実際の店舗に来て営業マンと対面で話したいもらいたいという気持ちがあるわけです。そのためだったら、昔は店頭に貼るチラシ、今だったらネットの広告に魅力的で安い物件を出すわけです。
そういう物件を見て、これはいいなと思ってメールしたり電話したりすると「ちょっと詳しく説明するから店舗に来てくれ」と。店頭に行ってみたら、「ちょうど今埋まっちゃいました。残念です」と。「でも代わりにこの物件があります」と言って、ちょっと高い物件を紹介して、悪質なところだと、何かしらで契約するまで出さないようなことさえしちゃうと。
吉田:
囮物件は僕も何回かやられたことがあります。
大島:
それ自体禁止されていますけれども、それでもやる業者は残念ながらいるわけですよ。その時に、「たった今埋まりました」とかって、いかにも嘘くさいじゃないですか。吉田会長はどんなふうに言い訳として言われましたか?
吉田:
3回目、4回目くらいからは「もういいです」って、ちょっと怒った感じで出て行くようにしていますね。
大島:
お店側は何と言うんですか? 「ちょうど埋まりました」とか?
吉田:
お店側は「ちょうど埋まりました」。だいたい常套句ですね。
大島:
さすがに「ちょうど埋まりました」だと気づかれちゃうということで、最近は何を言うかというと、「実はネットの広告には書いてなかったけれど自殺があったんです」とかって言うんですよ。
タニシさんとかだったらどうするのかは気になるんですけれど(笑)、大抵の人は嫌がりますから「そうですか、そりゃ残念」となりますよね? すると「家賃が高いけれど、自殺なんかない他の物件がありますよ」と言って結局そっちで契約にこぎつけるという手法が最近出てきていまして。
松原:
多いんですね。
大島:
そうすると、お客さんは自殺があったことを不動産業者に教えてもらった確実な情報だと思って、公示サイトの「大島てる」に書き込むんです。
吉田:
あらら、二次被害が……。
大島:
はい。オーナーが損をするんです。私も結果的には嘘情報を言われてしまいますし、書いた人は悪気は全くないんですよ。不動産業者さんが言ってくれたんだから、これは確実な情報に違いないと思って書くわけですから。
なので「幽霊が出る」という情報が「大島てる」に書いてあるのが、それ自体が全部嘘かもしれないということですね。
松原:
不動産屋側は嘘は言っていいんですか?
大島:
ダメです。
松原:
安い物件を出してきて、「ここを借りたいんですけれど」って言ってくるお客さんがいて、「でもここで自殺があったんですよ」というのが嘘という可能性はあるんですか?
大島:
そんなことは本当は言っちゃいけないんですけれど、何が重要かと言うと、事故物件なのに事故物件ではない、と隠蔽するのが私はすごく嫌だ、良くないと思ってこういうサイト運営しているのに、世の中には逆に事故物件じゃないのに「事故物件だ」と言い張る輩が出てきた。
これに対しては、私もどうしていいかわからないという状況です。
吉田:
嘘の情報を言うと、法律違反とまではいかなくても不動産屋の常識的には……。
大島:
違法なんですけれど、そういう種類の嘘は想定していなかった。自殺をなかったと言う嘘はあり得たんですけれど、ないのに「あった」という嘘は、そうきたか……という感じです。
吉田:
これを見た方が、それを言われたら「全然気にしないんで見せてください」と言うようにしたほうがいいですよね。契約書にハンコを押さなきゃいいんだから。
松原:
僕は経験済みで、最初の頃は「事故物件を探しているんです」と言うのが、変なやつだと思われるから、無知のフリをして「安いから貸してください」って“告知事項あり”とわかっている上で言うんです。
そうしたら不動産屋が「いやいや、実はここ人が亡くなっているんですよ」って言うんです。でも「全然いいです」「むしろだから住みたい」って言ったんですけれど、マジですか!? みたいな顔をして「ちょっと待ってくださいね」って一回、奥に引っ込むんですよ。
「あちゃ~」ってわざとらしい声がして、「すいません、これ一週間前に中国人の方が何もわからずに入居しちゃっていますね」って、結局空いていないと(笑)。
吉田:
その手が通じなかったから、元々の嘘に戻るっていう。
松原:
嘘に嘘を重ねだすんですよ。
賃貸広告に「告知事項あり」を記載しないケースも
松原:
でも気になるのは、ネットに載っている情報って、「心理的瑕疵あり」とか「告知事項あり」と書いてある安い物件があるじゃないですか。それはもう嘘がつけないということですよね?
大島:
そうですね。「心理的瑕疵あり」とか「告知事項あり」と書くこと自体を隠蔽したいのであれば、書かないわけですね。
松原:
逆に気になるのは、人が死んでいるけれど書かないというのは、法律的にアウトなんですか?
大島:
いえ、大事なことは、契約するハンコを押す人にちゃんと言うことなので、ネット上の広告に書かない。つまり冷やかしで、実際にはただネットで見るだけでその気がないような人にまでに言う必要はない。
吉田:
表記はしなくてもいいということですね?
大島:
最終的にサインする人に言うことが大事。
松原:
備考欄に「心理的瑕疵あり」というのは書いても書かなくてもいいんですか?
大島:
よくはないですけれども、冷やかしで契約する気もないような、ただスマホで広告を見てるような人にまで、なぜいつ何号室で自殺があった、ということまで言わなきゃいけないんだ? ということ。そもそも広告を出していない物件もいくらでもありますから。
松原:
実際に内見に行きたいと言うと、紙で資料が出てくるじゃないですか? そこに前の住人が亡くなっているにもかかわらず、書いていないっていうのはあるんですか?
大島:
あるかないかで言えば、あります。
松原:
そうなんや。
大島:
結局「自殺がないですよ」とか、そういう嘘は言っちゃいけないです。最後の最後にちゃんと言わないといけない。
松原:
契約の段階では言わないといけない。広告には書かなくても罪ではない?
大島:
はい。刑務所に行くとか、そういうことではないです。
吉田:
そうなんですね。またひとつ賢くなりましたね。告知しないことによって二度手間になっちゃう危険もありますけれどね。契約の段階までこぎつけて、契約で言われたら不動産屋の労働力が……。
大島:
「どっちも早く言えよ」と。お客さんもそう思いますし。
松原:
早く言わないということで、信頼をなくすわけですもんね。それでクレームが入ったりして、結局痛い目を見るのはその不動産業者だったりということですからね。勉強になりました。
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2018年11月25日(日)21:15開演(21:00開場)
※約1時間30分を予定■場所
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