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中卒引きこもりゲーマーから社長に…今話題のお弁当屋「キッチンDIVE」“中の人”の意外な素顔とは? Twitter運用術も聞いてみたよ【50時間生放送企画記念】

「1キロ弁当」で仕掛けたTwitter営業

──そこから数年後に、Twitterの活動で爆発的な人気を得ていくわけですね。きっかけはなんだったのでしょう?

伊藤店長:
 オープン当初はお店は順調で、200円弁当だけで1日1000〜1200食は売れてたんです。ただ、近くの大型商業施設が工事期間に入って経営打撃を受けちゃって。

 そうした中で、すぐに客数は増えないから、客単価を取る施策として1キロおにぎりを始めたんですよ。もともと、沖縄にメガ盛りの「キロ弁さん」というお弁当屋さんがあって「売れてるみたいだし、ちょっとパクろう」みたいなノリでした。

──なるほど(笑)。

伊藤店長:
 そこでまず最初にやったのは、大食い関係の人にとにかく「1キロおにぎり食べてください」というリプライを送ったことでした。すると、Dracöさん(@GogglePlay)や、マックス鈴木さん(@FReeMax1027)が食べてくれて、大食い関係の方が数千人単位でうちのフォロワーさんになってくれたんです。

 彼らって年間200〜300店回っているので、どうしても企画不足になりがちらしくて。だからこうした企画を打つお店に対してファンや選手たちって、もちろん批判的な人もいますけど、ほとんどはすごく仲間意識を持って応援してくれるんですよね。

──なるほど……Twitterですごくコアなコミュニティに向けて、企画ごと営業していったのが良かったんだと。

マムルボンボンの影響でTwitter開設へ

──それにしても、このTwitterってどういう経緯で始められたんですか?

伊藤店長:
 「おにぎりと言えば『風来のシレン』でしょ」と思って、マムルボンボン【※】を置いていたら、それがTwitterでバズったんです。それをきっかけに、お店の中の人のアカウントを真剣にやることにしたんですよね。

※マムルボンボン
ゲーム「風来のシレン」シリーズのキャラクター。シリーズでは、標準食料におにぎりが用いられている。

──なるほど……完全にゲーム業界マニアだったおかげで、今の状況が生まれているわけですね。

伊藤店長:
 それに、実際に始めて見るとTwitter運用も「ゲーム」だなと思うことが多くて。

 ある日、「1000RTいったらコロッケ100枚を1円で売るよ」と呟いた時に、本当にぱっと1000RTいってフォロワーさんが100人増えたんですよ。それで、そんなふうにRTキャンペーンを打って、お店のファンが増えて、売り上げにも直結して……という良いサイクルが確立した瞬間があって。

──RTキャンペーンが、フォロワーを増やすゲームの“攻略法”だったわけですね。

伊藤店長:
 そして、そんなふうにフォロワーが増えていくのが、お店のファンが増えて純粋に嬉しいのはもちろんですが、ゲームみたいな感じでまた楽しくて。
 だから、『ドラゴンボール』のスカウターで戦闘力をはかるみたいに、人気店や、大食いのタレントさん、レイヤーさんのフォロワー数なんかを見て密かな目標にしてましたね。それはなんというか、よく言われる承認欲求とはちょっと違う、数字を追いかける楽しさみたいなのがありました。

──いわば“レベル上げ”の楽しさですよね。ちなみに、それまでSNSの類ってやられたんでしょうか?

伊藤店長:
 いや、それが全くの素人で。でも一時期はTwitterに熱中しすぎてて、おかげで2017年の7月に本格始動してから1年で12000人フォロワーまで増えました。ちょうど3000人超えたあたりから、経営に明らかな良い影響が出てきたので、そのこともやる気を後押ししましたね。

炎上に対する嫌われる勇気

──でも、よくあるSNSマーケティングの話とかでいうと、フォロワー3000人って決して多いわけではないですよね。それで売上に影響がでるということは、それだけアクティブなユーザーが多かったのでしょうか?

伊藤店長:
 まさに、熱心なフォロワーさんのみを増やすようにかなり気を遣っています。
 例えば、議論を呼ぶような人の倫理観や価値観に触れるようなツイートを呟くんですけど、そうするとフォロワーさんは20〜30人減るんですね。今はもうしてませんが、昔はうちに対する悪口を引用RTして「営業妨害」だと叩いたりもしてました。

※過去には、「キャンペーン中に激安商品だけ買うお客さん」に対し、疑問を投げかけるツイートをして炎上したことも。お店の姿勢を理解しているファンと、ツイートでお店を知ったツイッターユーザーの間で意見が割れた。

──なかなか過激なことをしていますね……。

伊藤店長:
 でも、それでフォロワーさんが減るのはしょうがない。それで、ちゃんと本当に「いいね」と思ってくれるお客さんを増やしていくことに価値があるんですだって、無料キャンペーンを打ちまくれば、表面的なフォロワー数だけでいったらチート的に伸びていくんですよ。でもやっぱりいたずらに数だけ増やしても意味はなくて。

 だから理想のイメージとしては、ラーメン二郎さんのファンに近いですね。あれくらい骨太な12000人の、力強いパワフルなお客さん。そうしたアクティブなユーザーさんに訴えようと思ったら、必然的にネガティブなユーザーさんの反応も絶対に増えるので、そこはしょうがないと割り切ることですよね。

──ただ、今って炎上を始めとするSNSの負の側面が大きくて、過激なことは言いにくくなっているのかなと。そのへんは、実は多くの有名Twitterアカウントの悩みだと思うんですが……。

伊藤店長:
 そこはいかに嫌われる勇気をもって、好きなことを書くかに尽きるんじゃないでしょうか。別に万人に好かれるためにTwitterをやってるわけじゃないですし、僕の場合、個人の発言として最終的な責任をとれますしね。

 ただ、過激な発言に噛み付いて騒ぐのって、文脈をよく分かっていないだけでしかないことが多いですよね。そういうの全部分かってる人からしたら「尖ってるな」で終わるわけで、そこらへんは見せ方が難しいところです。僕の世代の経験で言うと、まさに昔のダウンタウンさんとかって、そういうところを繊細に意識しながらやってきていたと思うんですが。

キッチンDIVEと岩下の新生姜がコラボしたドデカおにぎり

 ……ただまあ最近、例えば岩下食品さんとコラボしたりする中で、そうした仲良くしていただいている相手にまでご迷惑や負担をかけたりはしたくないという気持ちもあって、悩むことも多くなりましたよ(笑)。とはいえ、できるだけ見せ方の工夫で補うことで、自分自身のスタンスは変えないつもりでいます。

「子ども食堂」にかける想い

──そういう意味で最後に聞きたいのが、つい先日、恵まれない子供たちにご飯を無料で食べさせてあげる「子ども食堂」をやる、という旨の呟きをされていましたよね。それが結構エモーショナルな呟きで、ひとかたならぬ想いがあるのかなと思いまして……。

伊藤店長:
 ああ、これは実は酔っ払って、つい気持ちがアツくなって書いちゃったもので……。

──えええ! 酔って思わず、ですか(笑)。

伊藤店長:
 本当にべろべろで、ツイートしたことすら忘れてて。朝起きたらフォロワーさんが100人ぐらい増えて、通知見たら1000RTされて「キッチンDIVE頑張ってる」「応援する」とかいう声が山のように届いていました。
 あの時はひっさびさに焦りましたね……やっぱり酒呑んでTwitterはダメですわ(笑)。

──今も結構酔っ払らわれてますが(笑)。

伊藤店長:
 ただこの企画って、言ってなかっただけで、実はずっと思っていたことなんです。やっぱり僕自身、予備校時代にゲーセンのコミュニティに心を支えてもらったりしたので、その恩返しはずっとしたくて。

 すると、うちを支えてくれているお客さんの中には、YouTuberの人だったり、地下アイドルの子だったり、表現活動をしている若い子たちがたくさんいるわけですよ。そしてそういう子には、なかなか恵まれない状況で、不遇な思いをしている子たちもいる。
 そんなふうに、これから頑張って売れようと必死になっている子たちを見ていると、ちょっと思うところがあって。その一環として「子ども食堂」を年内にはなにかしら実現させたいと思っています。

 ちなみに僕は、ニコニコ動画だって、そういう子たちの居場所になってると思うんですよ?

──「キッチンDIVE」さんは今年の超会議にも出店されていましたね。

伊藤店長:
 あれは、もともとは姪っ子の高校受験が大変そうだったので、それを応援したいと思って営業をかけたんですよね。彼女はニコニコ動画が好きで、特にコンパスが好きみたいでして。
 やっぱり僕にとってのゲームショウがそうだったように、15、6歳のときの思い出ってすごい大切で、あの子の一生の思い出を作ってあげられたらいいなと思ったんです。

 で、やっぱりニコニコ超会議に出店することによって、ゲームやアニメ、サブカルチャーが好きな人に対して理解のあるお店だと認知していただけるわけですよ。うちのもともとのお客さんたちも、コスプレをして働いてくれたりもして、そういう良い関係を結べる場になったかなと思います。

「キッチンDIVE」店内には、主にお客さんからプレゼントされた二次元系のフィギュアやぬいぐるみが置かれている。

 ちなみに余談ですが、超会議2週間前に僕が骨折したせいで在庫をあまり作れなくて、両日とも終了時間前に完売したのに、結果は80万円の赤字でした。来年は黒を出せるはずなので、ぜひまた出店したいですね。

──それにしても、人生の節々で骨折が登場する半生ですね(笑)。……とにかく、来年も楽しみにしています!

今後やりたいことは「人助け」

──さて、ここまでゲームマニアとしての半生やTwitter術などについて伺ってきましたが、そろそろお時間が迫ってきました。最後に、今後やりたいことなどをお聞かせいただければと……!

伊藤店長:
 えっと……これだけ話しておいてあれですが、本当のことを言うと、正直言ってTwitterにはもう飽きてて。

──ええーーー(笑)!

伊藤店長:
 というか、最近はTwitterやっていて、心が痛くなることのほうが多いんです。
 例えばうちだけのために、わざわざ「北海道から来ました」とかいう人とかも増えてたりもしていて……お気持ちは嬉しいんですが、でもうちは小銭を集める商売のお店なのですごい申し訳なく思っちゃって。フェイストゥフェイスで、顔が見えちゃうところまで来ちゃうから、余計そういう人たちの気持ちが汲めて、辛いんですよね……。

 まあ単純に飽き性で同じことをずっとやりたくないのもあるので、これからはTwitterではなく、YouTubeやニコ生みたいな新しいことにチャレンジしていきたいなとは思ってます。ここらへんは、まだ悩んでいるところですが。

──同じことを続けない……まさに続編を嫌った飯野賢治さんのポリシーそのものですね。

伊藤店長:
 あと、まだ妄想だけどやりたいのが「在庫処分のお祭り」ですね。アニメメーカーやゲームメーカーに声をかけて、余っているキーホルダーやCDや試供品を持ち寄って、うちで全部無料で配るみたいな企画をやれないかなと。
 そうしたメーカーさんって、おそらく在庫の問題を抱えていて。でも、タダではけるのはイメージが悪いし100円でセールなども中々打ちづらいという時に、うちを使ってお祭りにできれば「太っ腹だね」という感じでできるんじゃないかと思ってて。

 それに、僕らも僕らでゲームやアニメを応援する層に認知してもらえるのは嬉しいですしね。だから「子ども食堂」も含め、これからはお店を使ってそうした「困っている誰か」を応援するような企画をやっていきたいと思っています。

──今日は長時間、ありがとうございました!(了)

お知らせ

50時間生放送

 記事の冒頭でもお知らせした通り、「キッチンDIVEの店内生中継」の第二弾を実施することに決定! 詳細なスケジュールは生放送ページにてご確認いただきたいのだが、「店内全品タダ」「3キロ弁当の制作」など、エキサイティングな催しが目白押しの50時間となる予定だ。

 放送開始は7/20(金)の17:00〜を予定しているので、お楽しみに!

募金を集めています

 キッチンDIVEでは現在、この度の西日本豪雨を支援するための募金を集めています。生放送企画が終了する7/22(日)までに集まった金額は全額寄付されるとのことです。

 

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