漫画『アルスラーン戦記』の製作過程を大公開。荒川弘の手描き原稿の秘密をマガジン編集者が語る「ネームの段階で既に面白そう」
『アルスラーン戦記』のクライマックスはいかにして作られるのか
フジカワ:
それでは最後のページに参りましょう。次は416、417ページをご覧ください。

まずネームからご覧いただきたいと思います。かなり衝撃的かつ笑えるシーンになっているというような感じなんですけれども、ネームの段階でキャラクターの表情が固まっているということがご覧いただけるかと思います。

下のほうのキャラクターの表情、映していただけますでしょうか。ネームの時からこの勢い。このネームは面白くなるぞ、というような。実際の原稿よりも可愛いかもしれません。

隣のページもお願いいたします。今回、怒りでセリフが読めなくなってしまって、隣のキャラクターが通訳してくれるという演出になってるんですけども、もうこの段階でキャラクターの表情、そしてこの演出が、ちゃんと一番最初の読者である担当編集者に伝わるように描いていらっしゃるなというのが、よくお分かりいただけるかと思います。

こちらが下書きです。

下書きになると見比べていただけると分かると思うんですが、ネームよりも原稿に近い表情になってるのがよくお分かりいただけるかと思います。ネームから下書きになるにあたって、クリーンナップされて、グッとより面白い表情になっているというのがお分かりいただけるかと思います。
この辺を見比べていただけるとお分かりいただけるのかなと思います。

こちらがネームですね。

ネーム段階から絵が分かるように入っているのは同様ですね。そして一番最後、ここで「続くんだよ」というのが入っている。

こちらが下書きでございます。

ネームと比べると線が濃くなって、しっかりどんな絵なのかが分かりやすくなってるというのが一目瞭然かと思います。

こういう過程を経て、ネーム、下書き、そして最後に原稿ということですね。この流れを経て、皆さんのお手元にある原稿がより迫力が増しているのが、よくお分かりいただけるかと思います。