マンガ『映像研には手を出すな!』を評論家が大絶賛「宮崎駿、鈴木敏夫、手塚治虫が女子高生に転生してアニメを作ってるみたいな話」
3月4日放送の『岡田斗司夫ゼミ』にて、パーソナリティである岡田斗司夫氏が、『月刊!スピリッツ』にて連載中の漫画『映像研には手を出すな!』を紹介。
岡田氏は同作品を「宮崎駿、鈴木敏夫、手塚治虫が女子高生に転生してアニメを作ってるみたいな話」と例え、かつて、自身がアニメを制作していた経験から「時間がない中でも、“ある一点だけは徹底的にこだわる”という描写がリアルで燃える」と絶賛しました。
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宮崎駿たちが女子高生に転生してアニメを作るような漫画
岡田:
みなさんに読んで欲しい漫画に『映像研には手を出すな!』という作品があります。月刊スピリッツで連載している作品で、単行本で2巻まで出ています。週刊雑誌に載っているようなわかりやすい漫画ではなく、密度の濃い月刊誌の描き方をされている漫画なので、ちょっと読みにくいところはあるんですけど、これがメチャクチャ面白いんですよね。
どんな話かというと、自分たちの通う高校にすでに存在するアニメ研とは別に、女の子3人だけで「映像研」というのを作って、その中でアニメを作ろうという女子高生たちの物語です。
その3人の中の1人である“浅草みどり”という女の子は、もう、とてつもない天才で、とにかく何を見ても、ものすごい設定とかを思いついくんです。ちょっと背の低い、宮崎駿が女子高生になったような子が、話の中で考えるメカニックの設定が、ものすごく面白いんですよ。
もう1人の“水崎ツバメ”という女の子は、女子高生でありながらモデルをやっているという美少女で、お父さんもお母さんも俳優さんという、いわゆる美形の家族に生まれます。親からは「アニメとか漫画とか、ああいうオタクなものに手を出すな。もう自分たちの跡を継いで女優になってくれればそれでいい」と言われてるんです。でも、本人としては、それが嫌で、とにかく絵を描きたくて、動かしたくて仕方がないんです。
そして、主人公3人組の最後の1人である“金森さやか”は、えげつないやり口で2人を追い詰めて仕事をさせる、目つきの悪いプロデューサーみたいな女の子なんですよ。
つまり、この漫画の内容を一言で言うと、宮崎駿、鈴木敏夫、手塚治虫が女子高生に転生してアニメを作ってるみたいな話なんです。まあ、この「鈴木敏夫」の部分は、「岡田斗司夫」に変えてもいいんですけども(笑)。
とりあえず、そんな、頭がおかしいような才能のあるヤツらが、丁々発止、周りと戦いながらアニメを作っていくというお話です。
そこで完成するアニメというのも、「時間をそんなに掛けられないから、案外ショボいものになってしまいがちなんだけど、ある一点だけは徹底的にこだわる」というもので。こういう描写が、昔、同じような状況の中でアニメを作っていた身としては、やたらリアルで燃えるんですよね。
アニメがテーマの漫画だからこそアニメ化は不可能?
「アニメ化されるのかな?」という質問が、今、コメントで流れていたんですけど。この作品のアニメ化は出来ません。なぜかというと、主人公の1人である浅草みどりが考える妄想のメカニックの設定と動きの指定が細かすぎて、毎週オンエアするアニメで再現するのは、ほとんど不可能に近いからです。
その上、いわゆるコメディアニメになるはずなんですけど、毎回毎回、少しずつ設定を変えて行く必要があるので、もしアニメ化するんだとしたら、かなりの準備をする必要がありますね。
そもそも、なぜ、“学園モノ”のアニメが多いのかというと、設定1つを作ってしまえば、それを使って何話も転がせるから、作りやすいんですよ。でも、この『映像研には手を出すな!』では、学園モノであるにも関わらず、1話毎に設定がガンガン変わっていくので、他の学園モノのアニメと同じようには作れないんですよね。
さらに、劇中で「普通のロボットアニメでは、こういうふうにごまかすんだけど、本当はこのように動かなくてはいけない」みたいなことを登場人物に言わせているんですよ。つまり、「作者自らアニメ化のハードルを上げている」んです(笑)。
そういう意味でもすごく面白いです。Kindleで2巻まで出てますので、ぜひみなさんも読んでみてください。
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