“閉経することで開かれた世界”50代女性カメラマンがセルフヌードを撮る理由
女が自分で自分のセックスを楽しまないでどうするんだ
神田:
私はずっと、「男性が消費側で、女性が消費される側に固定されてるのが嫌だ」って言っていて、グロいことを含め、どんなにいやらしいことを表現しても別にいいだろうと思うんですけど、逆の立場もなかったら社会としてそれは不健全だなって思うんですね。
なのでこの『自撮りカレンダー熟女』を拝見した時に、いかにも男性の投稿誌にありそうな構図でありながら、全然違う。このお姉さんは自分が大好きなんだろうな、それも今の自分が好きなのっていう、明日は撮れるかわからないけれど、きょうがとても楽しいのっていうのが伝わってきて、私にとってはとてもこれは性の解放の写真だなと思いました。
マキエマキ:
嬉しいです。ありがとうございます。
柴田:
フェミニズムセルフポートレートって、悲しくなってしまうとか、痛い気持ちになるものが多いんですよね。
マキエマキ:
正直嫌いなんですよ。フェミニストの方には申し訳ないんですけれども、私はああいうフェミニスト的な思想って正直大嫌いなんですね。
女が自分で自分のセックスを楽しまないでどうするんだって思うんですよ。特にきょう、私はたぶん作家さんの中で最年長だと思うんですけれども、若い作家さんの作品を見ていると、みなさんはまだセックス真っ只中なんだなっていうことを思って、ちょっと羨ましくなったんですね。
安藤:
いい表現ですね(笑)。
マキエマキ:
私も正直、バルトリン腺の機能が衰えていまして。
神田:
わかります、わかります。起きるんです、そういうことが。
マキエマキ:
年齢のいった男性が「きょう勃つかな」って思うのと同じように、「きょう出るかな」って思いながらしていたりすることがあるんです。だからセックス真っ只中のみなさんのそういう感覚が非常に羨ましくて、私にもバルトリン腺液を分けてください(笑)。
神田:
わかります(笑)。
作品の裏側にある、せっかくやり放題なのに、逆にバルトリン腺は衰えていくという悲しみ
柴田:
若い時に女性性への嫌悪があった方とは思えない変換が素晴らしいですよね。
安藤:
そうですよね。本当だったら女を閉じるというような方向に行きそうな感じがするんですけれども。
マキエマキ:
やっぱり閉じてしまうことが悲しいんでしょうかね。悲しいんですよ。
柴田:
閉経することによって開かれた門みたいな?
マキエマキ:
ありますね。いくら中出ししても妊娠しないので、やり放題と言えばやり放題なんですけれども、せっかくやり放題なのに、逆にバルトリン腺は衰えていくっていう悲しみが実はこの作品の裏側にある。
神田:
すごくわかりますね。女性って自分の体を取り戻すのって、たぶん40代くらいでやっと自分の体になるような感じがするんですよ。でもその時には、なぜか老いに向かって行くっていうところを、逃げないで楽しく切り取ってらっしゃるっていうところが、健やかだなと思います。
マキエマキ:
ありがとうございます。楽しまないとこの先、人生長くないんで(笑)。
神田:
同じくです。さっきフェミニズム云々とおっしゃった時に、ニコ生のコメントが「いいぞ」「言っちゃった」「88888888」といただきました。
マキエマキ:
ありがとうございます。
神田:
では『自撮りカレンダー熟女』のマキエマキさんでした。ありがとうございました。