韓国のクリエイターは何故、文化・社会を描くのか?日韓の違いが明らかになったCGアニカップ日韓クリエイター座談会
ネットでは、20代と30代半ば以降のアプローチの仕方が全然違う
──ネットで動画を公開して、反応を得る機会も多くなったのではないかと思いますが、高尾さんは『ROBBER’S COMPANY』を有料で配信してみていかがでしたか?
高尾:
アート的なものより、完全に商業を作りたくて、なんとか個人というか小さい集団でもそういうことができないか?という挑戦の意味で、『ROBBER’S COMPANY』で商業作品を作ろうとしてたんですけど、なかなか難しい所もありました。
今、自主制作を作ってネットに上げて見ていただけるという方法が、昔はなかったけど今はある。それが可能だということで、いざ始めてみましたけど、やってみた感想としては20代ぐらいの方のネットに対するアプローチの仕方と、30代半ば以降の人とアプローチの仕方が全然違うと思っています。
──ひょっとしたら若い世代になるとスマホで見てしまうので、スマホだと重い動画は嫌われるのかなというのはちょっと思います。
高尾:
スマホネイティブとネイティブじゃないというのとかでも扱い方が全然……
多田:
変わってきますよね。今日も『レゾナンス』見たけども、スマホで見る画面と大画面で見る画像とは全然印象が変わってくる。
ネットの動画は10分を超えると「10分かぁ……」って思ってしまう
──ネットで見られる、止めたり戻ったり、コメントするなど、そういったことを意識する必要は感じられたりしますか?
岡田:
僕個人としてはそんなにアニメを見る量が少ないというか、もう我慢できないんですよ。テレビアニメでも5分ぐらい見て、楽しくなかったら途中で替えちゃう。僕飽きっぽいんで、飽きられないようにというふうに意識するのは、結構あると思います。だから僕がネットの動画見たときに、もう10分でも変えていくと。
──10分で見ないんですか!?
岡田:
自主制作もそうだし、これが流行ってるらしいって言ってクリックしたりして再生時間10分って出ると、「10分かぁ……」って思っちゃうんですよ。
だから、そういうところは意識する必要はあるかもしれないですね。例えば、4コマだったら「いや、見ようかな」っていう気に(笑)。
多田:
気軽なんですよね、YouTubeとかニコニコっていうのは長編を見る用ではないと思う。やっぱり3分~5分ぐらいがベストだと思うんですよ。
岡田:
他の動画に変えられちゃうから。映画は閉じ込められて2時間必ず見なければいけないけど、目の前に次の動画があると、コッチ見ようかな……って(笑)。この後も面白くないかもしれないから。最初のフック、続きを見させるために興味を集める仕掛けが必要だと思います。
Waboku:
もはや、デジタルネイティブと呼ばれるぐらいの世代の人じゃないと、TwitterやFacebookなどで広める力を持ってないと思うんですよ。それは『君の名は。』がヒットした要因でもあるし、さっきのお話にもあったloundrawさんもそうですけど、若い年齢層のフォロワーがアニメを広めるための原動力になってるはずなので。僕自身もニコニコ動画に関わりのある人と一緒に動画をやって、そこから再生数が上がるようになったことがあったんです。より多くの人に見てもらいたいのであれば、やっぱりそういう層を意識する必要があるのかなという気はしてます。
ネットでの作品発表はありなのか?
ギヒョク:
自分はネット用の作品も作りたいと思ったんですけど、それはすごく難しい。自分にできるとすれば、例えばアメリカのマーベルのキャタクター。筋肉好きだからそれを少しずつファンメイドの映像みたいに作って。それなら再生数は増えてすごく人気が出るかもしれない…… でも、自分はそのような作品は作りたくない。オリジナルのキャラクターを作りたいんです。
ミンジ:
ネットは自分の作品を宣伝するのには意味があると思うんです。例えば作品を小さく編集してトレーラーとかをアップするのはいいかもしれないけど、自分の作品を全部ネットにアップするのはまだだと思います。
多田:
今回もネットで公開されてるものが少なかったですよね。そういう考えの人は多いんですか?
ミンジ:
半分半分で、韓国の短編の場合は配給しているところもあるし、さっき話をしてたようにネットでは見る人も気に入らなかったらすぐ途中で切ったりするのもあるので、ネットでアップしていいかどうか迷ってるんですけれども、でもやらないと思ったら少し時代遅れみたいに感じることもあって。でもやろうとしても、ちょっと怪しいなと思う気持ちもあります。
ネットの反応、コメントの影響とは?
──最後に、ネットの反応から作品に対する影響ってありますか?というところをお聞きしたいのですが。
Waboku:
モチベーションはもちろん上がるんですけど、それによって自分の作品性が右に行ったり左に行ったりっていうことは、僕はないです。
岡田:
結局、自分が思いつくときは、自分の体験とかによって思いつくから、企画自体は他者からの影響はないかもしれないですけど。もうわかんないですね(笑)。
ひとつあるとすれば前の作品、『CHILDREN』がすごい再生数がついてるんですよ。あっこんなに見てるんだな、こんなにウケるんだったらこれを3つ作ろうかなっていう気持ちは正直あるんですよね。そうしたら倍々になるかな?って(笑)。
Waboku:
ゲスいですね。
岡田:
ゲスいです。
──高尾さんは反応からの何かはあったりしますか?
高尾:
やっぱWabokuさんも結構それは一緒かもしれないけど、作ってる期間は特にはあまり意識せず、コメントとか二次創作みたいなものがあると嬉しいなとは思いますね。
──最後に、多田さんはいかがでしょうか?
多田:
僕はニコニコに『ゾンビ入門』を上げて、作品自体はオリジナルですけど、上げた時期が『がっこうぐらし!』が盛り上がってるときだったんでコメントに「ゾンビモノのパクリ作んな」とかいっぱい流れて。
──ゾンビにパクリもクソもないですよね(笑)。
多田:
「乗っかってんなお前」みたいな感じで、凄いその時凹みましたね。
──そんな影響が……
多田:
(笑)
──長いお時間お付き合いいただき、ありがとうございました!
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