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ピクサーの“神ってる”社員待遇! 本社で働く日本人が語るクオリティの高いものが作れる理由

倍率100倍!? ピクサーのインターンは超狭き門!

よしひろ:
 ご飯が好きな社長で良かったですね~。小西さんは、ピクサーを長きに亘って見続けている唯一の日本人だと思うのですが、入社したとき、つまり『トイ・ストーリー』の時代と今の時代を比べて変わった部分はありますか?

小西:
 まず、人数がものすごく増えたこと(笑)。あとは、プロジェクトがかなり先まで詰まっているので、休みがないというわけではありませんが、ローテーションは早くなっているかなぁ。そして、学生さんやベテラン、他のスタジオで働いていた方などなど、いろいろなバックグラウンドの人が来るようになったので、メリハリがついてバラエティのある仲間が増えたと思います。

よしひろ:
 インターンからそのまま入社というパターンもあるんですか?

小西:
 ありますね。インターンシップを開始した場合、大学を卒業した後にアプライ(申請)する流れになります。

よしひろ:
 それって入社試験はあるのですか?

原島:
 入社試験というわけではないです。ピクサー社内で使っているシステムは、社内独自のものだったりします。そうすると、インターンシップでピクサーのシステムを勉強しつつ、アニメーションであればアニメーションの基礎を習って、そこである程度のレベルに達した人に対しては、そのまま雇おうという流れになる感じです。

よしひろ:
 なるほど。相当頑張らないと厳しいわけですね。

原島:
 そもそもインターンシップが狭き門だと思います。

よしひろ:
 そうなんだ! 応募総数や倍率って聞いたことありますか?

原島:
 きちんとした数字はわかりませんが、今年で言えば10人に満たないくらいのインターンを採用したのですが、おそらくは1000人くらいの応募があったのではないかと。

小西:
 うんうん。テクニカルの方もそれくらいの人数です。

ピクサーで働くために必要なこととは?

よしひろ:
 倍率100倍……(苦笑)。ピクサーってリクルート活動はどうなっているのでしょうか? あまり聞かないので気になるんですよね。

小西:
 大学でジョブフェアのようなことをすることもありますよ。

よしひろ:
 ピクサーも就活フェアに出るんですか!?

小西:
 アニメーションだったらカルアーツ(カリフォルニア芸術大学)とかですね。

原島:
 大学から招待されることもありますが、こちらから出向いて生徒さんたちの作品を見て声をかける場合もあるし、学生さんから声をかけてくるケースもありますよね。

よしひろ:
 なるほど~。ピクサーで働くための条件を挙げるとしたらどんなことでしょう?

小西:
 う~ん……才能(笑)?

よしひろ:
 そうだよな~(笑)。

原島:
 あとは、人間的に一緒に仕事をしたいと思える人じゃないといけないかも。

小西:
 うんうん。ワンマンタイプは厳しいかな。

よしひろ:
 そうなんですか!?

小西:
 ワンマンと言っても、仕事を任せられて一人でやりきるタイプは必要です。でも、最終的にはチームワークですからね。

よしひろ:
 我が強すぎる人は厳しい?

二人:
 (頷く)

原島:
 映画を作るということは、監督がいて監督のビジョンをみんなで共有して作ることです。それができないというのは好ましくないですね。

よしひろ:
 たしかに。それにしても、これだけ居心地がいい会社だと「辞めたくない」と思う社員さんも多いのでは?

小西:
 それはありますね。だから逆に長い人は長いんだと思います。

ピクサーを「辞めたい!」と思ったことはありますか。

よしひろ:
 お二人は辞めたいと思ったことはないんですか?

小西:
 うわーー! すごいこと聞いてくるなぁ(笑)!

小西:
 22年間もいると色んなことがあったからなぁ……。

よしひろ:
 もはや“第二の家”ですよね(笑)。

小西:
 あはははははっ! 夫といるよりも長い時間を過ごしているくらい(笑)。キャラクターをいじっている時間の方が、家族と遊んでいる時間よりも長い!

原島:
 うん(笑)。辞めるという話で言えば、私がピクサーに入ってから二人ほどアニメーションから抜けました。その人たちはピクサーでアニメーションを作り、いろいろなものを作る中で、自分がやりたいことが改めて出てきた。仕事をしていく中で、別の目標が生まれて、違う方向に進むために辞めていった人もいます。アニメーションって、監督になりたい人もいれば、自分の作品を作りたい人もいる。もともとフィルムメーカーの心を持っていたけど、ピクサーでアニメーターとして入ってきた。でも、アニメーションをやっていくうちに、やっぱり自分の作品を作りたいから辞めるという人はけっこういます。

よしひろ:
 自分の方向性が見えてくるわけですか。

原島:
 違うことをやってみたいという思いでしょうね。

小西:
 いろいろなことを個人レベルでできてしまう時代ですからね。

よしひろ:
 なるほど~。一人である程度作れちゃいますもんね。

原島:
 しかも、作品を公開する場がオンライン上にあったりする。昔はフェスティバルに出すことくらいしかなかったですから。

よしひろ:
 おまけにオンラインでお金を集めることもできる。

小西:
 才能を発見する場にもなっていますよね。

他にはないピクサーだからこその“やりがい”

よしひろ:
 ピクサーだからこそできることを挙げるとすれば何でしょう? ピクサーでないとできないこと。

原島:
 クオリティに対して妥協せず、多くの予算と時間をかけて、これだけのレベルの作品に関わることができるのは、ピクサーならではだと思います。

小西:
 ピクサーは作品を作り上げた後にそこで終わるのではなく、作ったキャラクターなどのアセット(資産・財産)を持っているため、その他にテーマパークやDVDという具合に、違う形で作品に触れ続けられることができます。そういうことって一つのスタジオでは珍しいことだと思いますね。

よしひろ:
 今でこそディズニーの一スタジオですが、その前は独立した形でキャラクター展開などをしていたわけですもんね。それがディズニーと一緒になったということは、もっと大きいことができるということですよね。

原島:
 テーマパークなどは素晴らしい機会だと思いますよ。

小西:
 ピクサーでは“レガシー”と呼んでいますが、今まで作った作品を映画の外へと飛び出させることで、映画以外でもみんなにずっと覚えていってもらおうという願いがあります。

よしひろ:
 言葉では簡単ですが、聞けば聞くほど責任が伴う仕事……重責ですね。

二人:
 やりがいがあるんですよ。

原島:
 今年の夏に日本で開かれたピクサー展が、「2時間待ちだった」というような話を聞くと、みんなディズニー、ピクサーが大好きなんだなってうれしくなります。ピクサーのキャラクターと一緒に写真を撮っている姿を見ると、「頑張って良かったなぁ」って。自分の作った映画を、たくさんの人に見てもらえるって幸せなことです。

アイデアを出すためにインプットを怠らない

よしひろ:
 形に残る仕事に従事することって幸せなことですよね。お二人にとって働くために大事なこと、モットーのようなものってありますでしょうか?

原島:
 最近、私自身、足りていないところでもあるのですが、“インプットする”ということ。いろいろなことをインプットすることが、アウトプットをするためには大事です。自分の作業であるとか、アニメーションをつけたりであるとか、アウトプットをするためには、いろいろな情報や仕事以外のものを吸収しなければいけない。例えば、映画を見たり、遊びに行ったり、外に出るだけでもいいので、インプットをすることが大切だなって思います。仕事が忙しいときは、残業や休日出勤もありますけど、仕事だけずっとしていても……アウトプットだけしていると枯れてしまう。アイデアを出すために吸収することこそ、絶対に必要なことだと思います。

よしひろ:
 小西さんはいかがですか?

小西:
 アンテナをたくさん張ることは大事ですね。映像の作り方しかり、自分から学んいく姿勢を止めないこと。「どうして周りはこんなにエキサイトしているのか?」ということを知るためには、自分でやってみないとわからないところがありますよね。

よしひろ:
 小西さんは仕事もそうですが、趣味も幅広いですもんね(笑)。

小西:
 あははははっ! そうですね~。ピクサーに22年いて、最終的にやっている趣味が「モデリングをして3Dプリンティングをする」ですからね(笑)。あくまで趣味ですけど(笑)。

よしひろ:
 では、最後に! ピクサーのファンの方々へメッセージをお願い致します。

小西:
 今回の『ファインディング・ドリー』、是非ともよろしくお願い致します。ものすごく美しい映画ですし、お話も素晴らしいので、ご家族全員で見直して何度も楽しんでいただければうれしいです。

よしひろ:
 ありがとうございます! そして、原島さん、お願いします! ……と言いたいところなのですが、実は原島さんにはこの後、お一人で再登場していただく予定ですので、そのときまで取っておきましょうか!?

原島:
 わかりました(笑)。

よしひろ:
 そのために残業していただくという大変恐縮なことでありまして(苦笑)。原島さんには、この後もピクサーのお話をいろいろと伺いますので、そちらに関しては番組をチェックしたユーザーさんだけのお楽しみとさせていただければ。小西さん、原島さん、本日はお仕事中にどうもありがとうございました。

二人:
 こちらこそありがとうございました。

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