「500本は木を切り倒した」芸能事務所の取締役が、あえて不便な北海道の原野を購入し開拓しながら住む理由が深い
不便だからこそアイデアが出る
やまだ:
鈴井さんとは、ご飯にご一緒させていただくんですけど、そのたびに北海道、赤平への思いが強いことはずっと感じています。僕も地元が北海道なのに、何一つできていないなと思うんですけど、鈴井さんは地元で新しくできることを探していますよね。
鈴井:
赤平だけじゃないですけど、いま北海道の市町村に元気がなくなってきているので、せめて生まれた地元で、できることはないかなって思ってます。いまは、北海道赤平の名前だけでも覚えてください、っていう若手芸人みたいな宣伝活動をしていますね(笑)。
やまだ:
自分の名前よりも赤平を言いたい気持ちなんだ(笑)。びっくりしたのは鈴井さんだけじゃなくて、ロケットの開発をしている植松電機さん【※】みたいな会社もあったり、面白い企業があるんですよね。
※植松電機
産業機器メーカー。創業当時は、炭坑用の特殊電動機や電気部品の販売修理を手がけ、2005年から北海道大学との共同研究としてCAMUIロケットの開発を行っている。
鈴井:
そうですね。プログラミングをしていたり、鞄を作っていたり、優良企業はたくさんあるんですよ。
やまだ:
いま、実際に住んでいて一番うれしいことってなんですか。
鈴井:
町に住んでいる人たちがみんな笑顔で接してくれて、魅力的なことですかね。町自体は不便なんですよ。ファミレスもない、ゲームセンターもない、いろんなものが欲しいと思っても手に入らない。
一見、不便っていうのは、生活する上で不自由でつまらないように思えるんですけど、素敵な人がいるし、豊かな自然はあるし、逆にこの町には可能性があると思いますね。
鈴井:
なければ自分で考えて、じゃあなんとかしよう、ってアイデアが生まれます。考えるってことが、この町に来てたくさんありますね。札幌や東京にいると、考えなくても時間が流れてくれるときってあると思うんですよね。 あとは、ここに住んでいるとイラつかなくなりましたね(笑)。
やまだ:
確かに大泉洋さんとかいろんな方が、「鈴井さんは一回キレはじめるとやばいぞ」って言いますもんね(笑)。
鈴井:
それは噂ですよ(笑)。僕は森の中に住んでますから、冬になると雪がすごい積もってて、札幌に戻らないといけないのに家から出られないって状況になったりするんです。
雪かきもスコップじゃどうしようもなくて、大型重機に乗ってやらないといけないですから。 そうなってくると、昔は時間に間に合わなくてイライラしていたのが、いまは「しゃあねぇな! 」って思って。会議に間に合わないときも電話で「悪いけど、会議1本飛ばすから。いや無理なもんは無理だからさ」って(笑)。
やまだ:
こんな雪なら考えてもしょうがないだろと(笑)。
鈴井:
「なんとかなるだろ。いま時間をずらしても、また明日でもなんとかなるべよ。いまここで絶対やんなきゃいけないって思いすぎるよ」っていうような気持ちになりますもん。そうするとイライラしないですし。まぁ、他の人がイライラしてるかもしれないですけど(笑)。
やまだ:
本人はいたって健康的だと(笑)。
鈴井:
赤平は人口が減少して、名物も観光名所もホテルも旅館もない、何もない町なんです。でも素敵な人たちはいっぱいいますので、いまから素敵なものが生まれていく、可能性がある町ですね。
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