就活に学歴って必要? 「学歴よりも業務に対する耐性を見るべき」茂木健一郎氏らが企業の採用方式に言及
会社は学校よりも優秀な教育機関であるべき
小飼:
でも、教育というのは実際そういうもので、その意味では、難関校というのは教育機関としてはしょぼいわけですよ。なぜなら、既に出来ている子を採用するわけだから。学校は出来ない子を出来るようにしてなんぼでしょ?
だから、しょぼい人材を採用しても、まともな仕事をアウトプット出来るようにするというのが、一流企業の仕組みというものだと思うのです。
山路:
うんうん。
小飼:
だから、ウォルマートやセブン-イレブンは一流企業です。何故かと言ったら、その辺の人を捕まえて、ちゃんと業務が出来るようにするからです。
山路:
「東芝も一流企業か?」とコメントが来ていますが、その理屈なら明らかに違いますよね。
小飼:
こう言うのもなんだけど、測定可能な技能が高い人ばかり採用していたのかな?
茂木:
まあでも、日本の大企業はどこもそういう傾向があるんじゃないですかね。
山路:
「何で採用したのか」と、後で責められたくない、というのはあるのかもしれませんね。「こういう理由で採用した」と説明出来たらそれで良い、みたいな。
小飼:
もう、先着順で多過ぎるようであれば、抽選でいいんじゃないですかね? 例えば「うちの業務は1日8時間は立ち仕事ですが、耐えられますか」というようなテストは出しても良いと思うんですよ。
茂木:
「8時間立ってるテスト」とかね。
小飼:
コンビニのバイトとかまさにそうじゃないですか?
茂木:
まんまそうですね。
山路:
ただ立ってるのって、意外に辛いですよね。
小飼:
はい。だから、そういう人でも働けるような環境を作るのであれば、本当に先着順で良いと思うんですよ。一流企業であればあるほど、誰が入ってきても良いようにするべきなんですよ。
小飼:
まあ、人気が出過ぎると、抽選に頼らざるを得なくなるのですけども。始めから出来る人を一本釣りするようなものはスタートしたばかりの零細企業でしょう。
“難関校を出た”ことが優秀というわけではない
小飼:
「判断材料はもうオープンになっています」というのは、確かに学歴というのはあまりにシンプルですよね。しかも、日本の場合は、学部とか専攻とかは、あまり見ないじゃないですか。結果的に、“難関校と呼ばれる所を出た人が優秀になる”ということはある。
しかし、それは難関校を出たからというよりは、そういう関わりを積み重ねてきた結果、その過程の中に難関校があるというケースが多いですよね。
茂木:
俺、高卒で全然問題ない。むしろ幼稚園卒でいいよ。
山路:
幼稚園(笑)。
小飼:
こういうのもなんだけれども、今の学校などの“学ぶ機会”による教育というのは、教えるべきものを教える、学べるべきものを学ばせるというよりは、“教えられるものを教える、学ばせられるものを学ばせる”というのであって、やっぱり需要と供給には結構なズレがあるんですよね。
茂木:
例えば、アメリカのミネルバ大学は、キャンパスはあるんだけど、大学の先生がいなくてオンラインでいろんな所からいい人を集めてくる。42(forty-two)というフランスの私立のプログラミング学校では無料のプログラミングの授業を開います。
山路:
MOOC【※】みたいなものですか。
※MOOC
Massive Open Online Courses.ムーク。大学などの高等教育機関が連携しインターネットを通じて講義をオンライン公開する取り組み、あるいはそのシステムを指す言葉。
茂木:
いや、実際にキャンパスがあって、大学期間も任意なんです。オンラインでロジカルな問題を解いて、それで入るんだけども、試用期間がある。42やミネルバは、日本の大学設置基準とか訳のわからないこと言い続けている国だと出来ないんですよ。
もりかけ(森友・加計)の問題は、“国が設置基準を決めて、お墨付きを貰うと補助金を貰える”という構造自体が、ものすごくダサい。
山路:
あれはもう大学ビジネスの話ですよね。
茂木:
それに安倍さんが関わっているかということよりも、その構造自体がもう、イケてないという感じがしてしまって……。
小飼:
でも逆に、こういう風にやれば身につくというのを、きちっと徹底的に仕組み化が出来ているのであれば、それをビジネスにするような、ライザップ的な教育機関でも資本主義的には全然問題ないと思います。
茂木:
結果にコミットする。
小飼:
そうそう。
茂木:
ライザップ大学、いいかもしれない。
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