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二日酔い対策で”粉末のウコン”を毎日摂取し続けた結果急死!? 肝臓の負担軽減のはずが取りすぎたせいで負荷になってしまっていた事例の紹介

 今回ご紹介するのはゆっくりするところさんがニコニコ動画に投稿した『【2002年】『二日酔い対策で死亡』お酒を飲む前にウコン摂取していた男性が死亡 ⁠呑む前に飲む「ウコン」に意外な落とし穴 【ゆっくり解説】』です。

 季節はすっかり忘年会、そして新年会シーズンを迎えています。となればお酒の量も当然増えて、あまりお酒が強くない人は二日酔いに苦しめられる時期です。
 そんな時に多くの方が頼るのが『ウコン』ではないでしょうか。
 今回はそんな二日酔い対策で有名な『ウコン』を摂取しすぎてしまったがために起きた事例をゆっくりするところさんが解説します。


魔理沙:
 関東地方某所に暮らしていた当時30代の会社員男性Aさんは、この日仕事帰りに同僚たちとの飲み会に訪れていた。
 彼はお酒が大好きでこういった飲み会には積極的に参加していたが、つい飲みすぎて二日酔いになることが多かった。
 そこでこの日は二日酔い防止のため、以前知人から教えてもらった「ウコン」の粉末をあらかじめ摂取してから飲み会に参加することに。

霊夢:
 二日酔いって辛いらしいもんね……飲み会の前にウコンを飲む人結構いそうよね。

魔理沙:
 Aさんウコンの効果については半信半疑だったそうだが、飲んだお酒の量はいつもと変わらないのに、このウコンを飲んでいたせいか、翌日にお酒が残るようなこともなくすっきりと起きることができたという。

 このことからAさんはさらにウコンを追加購入し、お酒を飲む直前には必ずスプーン一杯のウコン粉末を飲むことを習慣にするようになった。
 Aさんはウコンのおかげか、毎日楽しくお酒を飲むことができていたそうだ。

 しかし、それから約3か月後、Aさんの身体に異変が出始めた。ここ数日ほど喉の痛みや頭痛、発熱といった風邪のような症状が現れ、食欲が全くなく全身に強い倦怠感を覚え自宅で休養していたが、ある日猛烈な吐き気の症状に見舞われた。
 またこの時の彼の尿は異常なほど茶色くなっており、恐怖を覚えたAさんはすぐに自宅近くの医療機関に電話を入れ医師の診断を仰いだ。

霊夢:
 ちゃ、茶色!? 絶対風邪じゃないでしょそれ……。

魔理沙:
 病院では当初Aさんの症状は食中毒によるものだと考えられたそうだが、彼の症状が非常に劇的に変化していたこと、そして血液検査の結果肝臓の数値が異常な値を示していたことから彼は急性肝炎を発症していると診断された。

 肝炎というのは簡単に言えば、何らかの原因で肝臓に炎症が起こる病気のことで発熱黄疸全身倦怠感などさまざまな症状をきたす疾患の総称だ。
 肝炎にもさまざまな種類があるが医師がAさんから発症までの経緯を聞き取り検査結果などから判断した結果、彼は劇症型の薬剤性肝炎である可能性が高いということになった。

霊夢:
 それって薬で炎症を起こすってこと?

魔理沙:
 これは漢方薬サプリメントの服用、総合感冒薬や解熱鎮痛薬に含まれるアセトアミノフェンによって肝臓に炎症や障害が起こる病気のことだ。
 原因となる薬剤には、医療機関での処方薬、薬局などで市販されている一般医薬品、そしてサプリメント、漢方薬などがあるが、医師はAさんの普段の生活や発症までの経緯を聞き取り、常用していたウコン粉末が主な原因だと推測した。

霊夢:
 ウコン粉末でこんなことに……?
 健康にいいものなんじゃないの?

魔理沙:
 ウコンはショウガ科クルクマ属の多年草で、主に東南アジア原産の植物だ。
 その根の部分は黄色い色素を含み、香辛料や着色料、そして薬用として、昔からインドやタイ、ミャンマーなどの国々で利用されてきた、健康食品の一つだ。

 このウコンの最大の特徴は「クルクミン」という抗酸化作用や抗炎症作用を持つ成分を豊富に含むという部分で、健康維持や美容疾病予防に役立つと考えられ日本では沖縄を中心に栽培されている。
 このクルクミンは肝臓の解毒作用をサポートし、肝機能の向上に寄与するためアルコールの分解を助け二日酔い防止に効果があると考えられている。

 まあ簡単に言えばウコンの成分が肝臓に作用してより肝臓が働くようになるという感じだな。

霊夢:
 なるほど……アルコールっていう毒を分解するのを助けてくれるわけね。

魔理沙:
 そんな感じだ。しかしそのせいで肝臓に大きな負担がかかってしまい健康被害をおよぼす可能性もある。
 Aさんはほぼ毎日飲酒しており、3か月ほど前から飲酒前に必ず大さじ山盛り1杯のウコン粉末を摂取していた。
 そのためAさんの肝臓はアルコールを処理し続けていたところにさらにウコンの成分が大量に入ってきて、それ自体も処理するべき化学物質となってしまい肝臓に大きな負担をかけてしまった。

 Aさんはその生活をほぼ毎日約3か月近く続けていたことで、この日肝臓がついに悲鳴を上げ炎症を起こしてあのような症状を発症していたものだと考えられた。
 Aさんはこの病院にすぐに入院し医師の治療を受けたものの容体が悪化し肝不全を起こしてこの世を去ってしまった。

 彼はお酒が好きだったが健常な成人男性で肝疾患などは持っておらずアルコールとウコンを摂取し続けたことで死亡したと考えられた。

霊夢:
 ウコンでこんなことになるなんて信じられない……。

魔理沙:
 先ほども少し述べたウコンは肝機能の回復や強化を目的として広く利用されている健康食品だ。
 しかし2005年に行われた『民間薬および健康食品による薬剤性肝障害の調査』では、薬剤性肝障害の原因薬物としてウコンは報告件数が最も多く全体の24.8%を占めていることが報告されていた。

霊夢:
 四分の一近くがウコンのせいで病気になってるじゃないのそれ……。

魔理沙:
 また同様に2013年に報告された『健康食品・サプリメントによる健康被害の現状と患者背景の特徴』についての論文では、ウコンが肝臓疾患の健康被害と関連があることが報告されており、さらにはもともと肝臓疾患の既往歴を持つ人に健康被害が起こっていることが分析されている。

 ウコンが肝機能障害を引き起こす要因についてはウコンの効能そのものが肝臓の負担となっていた。
 これが原因で引き起こされるものの他にはアレルギー性によるもの、また、ウコンに含まれている鉄分の過剰摂取により引き起こされるものもあった。

 ただ鉄分の過剰摂取についてはウコンそのものの鉄含有量が高いわけではなく、鉄分を添加したウコンのサプリメントによるものだという解釈をした方が良さそうな結果だったがな。

霊夢:
 えぇ……ウコンてこんなリスクもあるものだったんだ……。

魔理沙:
 こうしたことから日本医師会は肝疾患のある人のウコンの接種に関して注意喚起をしているし、国民生活センターも「健康食品の摂取により薬物性肝障害を発症することがあります」と具体例を挙げて警告している。

 ウコンが一般化し、サプリメントやドリンクなどで気軽に摂取できるようになったこと、そして二日酔い防止に効くと喧伝されその認識が広まったことで日常的に摂取している人が多くなっている。
 ウコン自体は歴史的に使用経験が長くそれ自体が危険なモノというわけではない。

 これはどのサプリや食品にも言えるが、過剰摂取すればどんな成分であったとしても体に大きな負担がかかり何かしらの不調をきたす場合がある。
 さらに言えば「ウコンを飲むことで二日酔いになりにくい」という件については現在でも賛否両論あり意見が分かれているところなんだ。

霊夢:
 えっそうなの?

魔理沙:
 ドイツの薬用植物評価委員会の評価によれば、品質の確かな製品を適切に利用すれば肝機能の改善に効果があるとされている。

 有効成分であるクルクミンはそのまま接種したとしてもほとんど体に吸収されないため、この評価を行う際のヒトでの研究では、クルクミンを4gから12g接種するという、かなりの量で検討されている。
 その一方で一般に流通しているウコンドリンクなどではクルクミンの含有量が約30mgから多くても50mgといったかなり少ない量になっている。

 この量で接種しても身体に吸収されるのはさらに少ないごくわずかな量で充分に効果が得られないという評価もある。

 そのためこういった健康食品の中には、クルクミンの吸収を助ける成分を添加した製品も販売されており、吸収量は飛躍的に伸びたとも言われているがな。

 ただその反面、吸収量が増えることで肝機能が元々良くない人には大きな影響が出る可能性も危惧されている。
 また薬などは服用した後体の中にその成分がいつまでも残ることはなく肝臓で薬物代謝酵素によって分解されその作用が弱まるようになっている。

霊夢:
 なるほど薬も言ってみれば毒みたいなものだもんね。

魔理沙:
 ある意味では毒と変わらないが、薬はこの肝臓の機能で作用が弱まることも計算されて作られている。

 しかし、クルクミンは一部の薬物代謝酵素活性を抑制することが報告されており、飲んでいる薬によってはその薬の分解を抑制し薬の作用を本来よりも強めてしまう可能性がある。
 そのため、もし常用している薬がある場合は、医師にウコンを飲んでもいいかどうか相談した方がいい。

 ウコンに二日酔いを予防する効果があるかどうかについては、賛否両論あるのでここでは言及しないことにするが、ウコンはもちろんこういった健康食品、漢方薬、サプリメントは摂取量や摂取する状況、その人の生活様式などによって意外な効果が出てしまうこともある。

 そのため「〇〇に効く」という部分だけを盲信し素人判断で摂取量や接種期間などを決めたりせずメリットとデメリットをよく考えて使うかどうかを判断することが重要だろう。

 

 今となっては飲み会のお供と言っても過言ではない『ウコン』ですが、取りすぎれば身体に悪影響をおよぼしていしまう、という事例についての紹介でした。飲み会が続く年末年始はウコンを摂取するにしてもその量には気を付けたいですね。
 ウコンを摂取しすぎるとどうなるか気になった方はぜひニコニコ動画でご視聴ください!


▼動画はこちらから視聴できます▼

【2002年】『二日酔い対策で死亡』お酒を飲む前にウコン摂取していた男性が死亡 ⁠呑む前に飲む「ウコン」に意外な落とし穴 【ゆっくり解説】』

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