「長年の夢が叶いました」ーーNetflix制作『人間、明石家さんま。』でインタビュアーを務めた吉田豪が撮影の様子をふり返る
ブレない男・明石家さんまの“ルーツ”と、たった一度だけブレた「結婚」「離婚」の秘話を語る
久田:
僕も25年くらい前ですかね、この人がTOKYO FMで番組をやる時に、「自分の原点はラジオです」と言ったのがかっこよかったなと思って。「『ヤングタウン』ですかね」と言っていた記憶があるんですよね。
だからラジオも、「FMラジオでトークをやりたい」と言ったのを覚えていますけどね。僕が三才ブックスの頃だったので、すごい昔なんですけど。オーラがすごかったです。
吉田:
さんまさんの死生観を聞くとか、あんまり話さないような話を聞くのをテーマにして。自分の中で絶対に聞こうと思っていたのが、「さんまさんは本当にブレがない人だけど、1回だけブレた瞬間があるじゃないですか」という。結婚した時につまらなくなったという評判が、たぶん本人の耳にも入っていたんですけど、どう思っていましたか。というのを聞いたらちゃんと答えてくれて。「意図的にあの時はそうしようとしていた」という。
Kダブ:
ちょっと抑えたと。
吉田:
抑えたというか、芸能界が嫌になっていた時期で、辞めようと思っていたくらいで、『ひょうきん族』とか出ても、みんな財テクの話とかしかしていなくて嫌になっちゃって。
Kダブ:
でも『秋物語』【※】やったじゃないですか。
※秋物語
『男女7人秋物語』。1987年にTBSで放送された、明石家さんまさん主演のテレビドラマ。
吉田:
ドラマはドラマで出たことで、スキャンダルも出て、落ち着かなくなり、全部嫌になって、「もう結婚してしばらく辞めていいや」ってモードになって。だから、「まあつまらなかったやろうな」と言っていて。でも、今はつまらなくても、「何年か後で追い抜くだけの距離は保っておこう」と思って、その距離で。
Kダブ:
体力は温存しながら。
吉田:
「背中が見えるくらいの距離で走っていた」という言い方をしていましたね。だから離婚して取り戻したのも、それはそうなんですよね。一気にそこで抜きに行っていて。
Kダブ:
好感度1位とかずっと取っていた頃ですか、それ。
吉田:
そうですね。84年で。
Kダブ:
色々面倒くさいこと多かったんだろうな。
吉田:
結局、嫁とか子供を守るためにはある程度、面白い人でも抑えなきゃいけなくなるし、ひどいことも言えなくなるじゃないですか。
Kダブ:
また、言えないようなことをいっぱい見ちゃったりもするだろうしね。特にあの時代だったらね。
吉田:
離婚した後だったら全部ギャグになるけど、両立させるというのが難しいんでしょうね。と聞いたら、「そんなもの両立はできるものなのに、俺がだめだっただけだ」みたいな。その辺のバランス感覚がうまいんですよね。
Kダブ:
力を抜いていたということか。
吉田:
そういうことですよね。僕が娘のIMALUさんに聞いたのが、「さんまさんが寝ている姿を1回しか見たことがない」と言っていて、本当に家でも明石家さんまなのがすごいなという。
Kダブ:
杉本高文【※】じゃなんだね。
※杉本高文
明石家さんまさんの本名。
吉田:
見せないという。そんな感じです。